例えば魚の中には、繁殖期の雄特有の赤色に過剰に反応して、通常の時期にも赤いものなら何でも攻撃してしまうような種がいます。
本記事でとりあげる「超正常刺激」とは、このように習慣的な動機づけ(あるいはもっと深く、進化のプロセスで獲得されたような生理学的レベルでの動機づけ)により、通常ではありえないような仕方の反応を引き起こしてしまう刺激を言います。
人間で言えば、カロリーや塩分の多い食べ物を食べすぎてしまったり、かわいい/かっこいい商品に「目がなく」、飛びついたりしてしまうというようなことが、「超正常刺激」の例としてあげられるでしょう。
つまり、超正常刺激はときに依存状態を引き起こすのです。
大量に売れている商品の多くがこの超正常刺激を利用しており、私たちが「かわいい…おいしい…かっこいい…」と、思考の余地なく反射的に反応することを狙って作られています。
若い人たちでは特に顕著で、ときに深刻です。
私たちデザイナーは、ユーザがこうした依存状態に陥らないように工夫する責任があるのです。
超正常刺激の悪用がもたらすもの
誰もが一度は超正常刺激による依存状態に陥った経験があるはずです。
不幸中の幸いと言うべきか、超正常刺激を利用したテレビ番組、ゲーム、ソーシャルメディアに依存しても感情の起伏が激しくなる程度で済みます。
ですがいずれにせよ、超正常刺激に接触することでドーパミンが大量に放出され、その原因となる刺激に依存してしまうことになります。
こうしたデザインは倫理的に間違っていますし、そもそもこうしたコンテンツを作るべきではありません。
では、ユーザを楽しませつつ、しかもユーザがしっかりと自己制御できるようなコンテンツをデザインするにはどうすれば良いのでしょうか。
どうすれば良いか
・超正常刺激と物質的な商品
例えば食べ物であれば、超正常刺激を考慮したパッケージと商品である必要があります。
大きくて美味しそうなのに、実際の量は控えめで栄養が考えられているものにするなど、ユーザが自分を制御する手助けをするのです。
・超正常刺激とデジタル製品
常に新しい情報が追加され、それがモーションやちょっとした報酬と組み合わされているもの-インターネット、ソーシャルメディア、ゲーム、動画など-は超正常刺激を利用した代表例です。
こうしたコンテンツに利用制限を設けて、ユーザが刺激から離れる時間を設ける必要があります。
例えばNetflixでは動画をノンストップで見ているユーザに対し、安否確認のようなメッセージを表示するようになっています。
最後に
私たちデザイナーにはユーザを傷つけることなく、より良いものを提供する責任があります。
特に若い世代が依存状態に陥らないよう、コンテンツのデザインには注意が必要です。
人の習性を頭に入れたうえで、ユーザが楽しめるコンテンツを作っていきましょう!
※本記事は、Design principle: Supernormal stimuliを翻訳・再構成したものです。