ジャーニーマップとは、ユーザーの需要やユーザーが持つ問題点を理解するためにユーザーエクスペリエンス(UX)を視覚化したものです。ジャーニーマップには、基本的に下記の3つのパートがあります。
1つ目は可視化されるユーザーエクスペリエンスの重要点や背景を提供する「レンズ」
2つ目はユーザーエクスペリエンス自体を描く「体験」
3つ目は体験を分析することで得られる「インサイト」
です。
今回、企業がどのようにジャーニーマップを利用しているのか、といった観点から48人のUX専門家へ以下のアンケートを行いました。
Q1:ジャーニーマップにはどの要素を含めますか?
多くの専門家が、「レンズ」と「体験」を含めると答えました。また、ペルソナとシナリオ、ユーザーの行動、思考、感情も基本的にジャーニ―マップに含まれています。一方、「インサイト」に関してはほとんどの専門家が含めていません。
「インサイト」はジャーニーマップからアクションプランを作成する時に非常に需要な要因となります。「インサイト」に含まれる「タッチポイント」「誰が所有者であるか?」「数値化された指標」なしでは、UXが改善しているのかどうかを計ることができません。
Q2:ジャーニーマップ作成時に難しいと感じることはなんですか?
52%の専門家が「ジャーニ―マップのプロセスと範囲を理解すること」と答えました。これを間違えると、ジャーニーマップから得られる情報も間違えてしまうためです。また、「ユーザーの需要や目的ではなく、現実を表すデータを得ること」(15%)、「各部署間での共同作業」(15%)という回答が続きました。
Q3.ジャーニーマップを作成することで得られる利益はなんですか?
「関係者個人や関係部署間で共通のゴールやビジョンを持てること」(32%)、という回答が上位に来ました。他には「隠れていた事実が表に出る」(24%)、「ユーザー中心の考え方になる」(18%)といった回答がありました。
Q4.ジャーニーマップの作成に失敗するのはどういう時ですか?
おそらく最も興味深かった項目はこれでしょう。多くの専門家は「目的が明確に定義されていない時」(36%)を選びました。そういった場合に、ジャーニーマップはありきたりなものになってしまい、焦点の合っていないものになってしまいます。
Q5.ジャーニーマップの作成に成功するのはどういう時ですか?
これには、「全員が協力し、共有しつつ作成した時」(37%)、そして「マップから行動が起こされた時」(27%)という回答が上位に来ました。
まとめ
1.マップから行動を起こすためには「インサイト」の要素が必須
2.マップを有効なものにするためには以下3点が重要
・明確な目的が設定されていること
・協力して作成すること
・解釈の入っていない生のデータを使うこと
(※本稿は「Journey Mapping in Real Life: A Survey of UX Practitioners」を翻訳・再編集したものです)