デザインの原則についてご紹介します。今回は「希望路線図」と「獣道」についてです。
まずは「希望路線図」から。
昔、素晴らしい建築家がいました。新しい建物を完成させた後、彼は建物の周りにある中庭と草の生える場所に歩道を作らず、そのままの状態にすることにしました。これは、人々がこの建物を1年間利用した後、草むらに残る足跡を見てから歩道を作るためです。
この物語にあるように、「希望路線図」というのは目的にたどり着くまでの最短経路を使った結果なのです。
どの道にどれくらいの交通があるかの証拠であり、「希望路線図」はデザインのブループリントを作る方法として使えます。シンプルかつ効率的ですよね。
この方法を使えばユーザーが本当に何を求めているかを知ることができます。
実際にユーザーと会話して彼らのニーズを知ろうとするより、ユーザーの自然な行動を観察する方がずっと正確な指標なのです。
ここで大事なのが、ユーザーの行動を観察していると知られずにリサーチを行うこと。良いデザインのUXのためには、忍者のように気づかれずに観察するのです。
「希望路線図」を使わなければ?
歩道があるにも関わらず、誰かが草むらの中を歩いて道を作った形跡を見たことがありますか?
同様に、ユーザーがインターフェースのあちこちに行くのに、ユーザーを誘導するためのボタンを一度もクリックしないなんてこと、経験したことはありますか?私は不適切な配置やレイアウト、コピーテキストのために、こういったパターンを何度も経験しました。
「希望路線図」を観察しないと、デザイナー中心のデザインになってしまうという問題が生じます。いくら歩道やらボタンやらにどれくらいにスペースを使おうか考えても、単に人々はその路線に従わなかったりするものなのです。なので、人のニーズを捉えられるデザイナーになりましょう。
デジタルデザインに「希望路線図」を使う方法
実際の世界で「希望路線図」を観察するのはデジタルよりずっと簡単ですが、時間がかかるもの。一方デジタルではユーザーの行動データをずっと早く集められ、コストも安くすみます。ヒートマップやクッキートラッキングなどの解析ツールでパターンや「希望路線図」を発見できます。
Amplitude、Google分析、MixPannel、Hotjarといったツールを使えばデータ集めと分析ができます。あなたの商品でユーザーがやりとりをする際に、彼らが何をしているかを知れるのです。ここで、なぜユーザーがその行動を起こすのかを理解するようにすること。余分な時間をかけてでもユーザーのニーズを理解しようとする、そんな素晴らしいデザイナーになりましょう。
最後に
「希望路線図」は、人々があるゴールを到達したい時にどんな行動を起こすかを見る、普遍的なデザインの原則です。しかし、残念ながら「なぜ」それをするかまでは見れません。ユーザーと実際に会話することで、もっと深く彼らのパターンを見つけることができるでしょう。
※本稿は 「Design principles: The power of desire lines」を翻訳・再編集したものです。