レガシーアプリケーションとは
ICTアドバイザリー企業ガートナーによれば、レガシーアプリケーションは「基になっているテクノロジーは時代遅れなものだが、日々の業務に欠かせない情報システム」です。
業務用アプリケーションにおいては、「レガシー」はほぼサポートされていない製品、アプリケーション、ソフトウェアを意味します。矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、レガシーアプリケーションそのものは時代遅れですが、新たな技術を導入することが困難なため使用され続けています。レガシーアプリは必ずしも古いものばかりではありませんが、一般的に厄介な存在で、適応力が低く、非モジュール式です。
レガシーシステムは何年も前に導入され、使用用途がなくなっても残っているシステムだと考える方もいるかもしれません。しかし、レガシーシステムの存在年数はその非効率さとはほぼ無関係です。企業組織のニーズに合わなくなったシステムは「レガシー」とみなされます。そのようなソフトウェアは、ビジネスのニーズが変化する中での使用に不便で、構成、基盤となっている技術、設計などにより、他のシステムとの統合が困難であるのが一般的です。
レガシーアプリケーションの特徴
ユーザーニーズに対する適応力の低さ
レガシーアプリケーションの大半は、組織レベルで使用されています。企業アプリのインターフェースは、組織内の幅広い部門の複数のチームが多数の目的を実行するために設計されています。通常、企業アプリは特定の顧客を想定して設計されていないので、各従業員の使用パターンに必ずしもそぐわず、当然支障が出てきます。企業アプリにおいてこう言った異なるニーズを統合することは困難になっています。
UIの不便さ
レガシーアプリは「ユーザー中心」ではなく「製品中心」の設計になっています。このようなアプリは、タスク達成のために設計されており、使いこなすには訓練を受けたり、開発者からの定期的なサポートを受けたりする必要があります。アプリの人気は、ユーザー・インターフェースにおける反応に大きく影響されます。よって、アプリ設計時には、ソフトウェア処理によりUXを徹底検証します。レガシーアプリは、このようなユーザーに対する配慮が欠けており、エンドユーザーを悩ませる難解なインターフェースになっています。
製品選択肢の狭さ
企業経営陣が導入ソフトウェアを選ぶ際、既製品を選ぶかニーズに合わせてアプリをカスタム設計するかの2通りの選択が可能です。既製品を選択するとチームのニーズにぴったりのソリューションが得られない場合もある一方、カスタムソリューションを選ぶと、イテレーションや修正などで時間も費用もかかります。
ニーズに関する把握のギャップ
企業においては、多数のチームが使用するアプリを選ぶのは、少人数のメンバーです。この結果、経営陣が考える従業員のニーズと従業員の実際のニーズの間に差異が生じます。
なぜ、レガシー企業アプリを再設計するべきなのか?
レガシーアプリのモダン化は業務効率と企業全体のパフォーマンス向上を目的とする組織にとって、中心的な課題です。現在市場における課題への対応が遅れるという観点から、レガシーアプリケーションの保持には、懸念が付き物です。
現代社会で成功している企業は、素早く市場のニーズに対応るす企業です。これは、顧客満足度やリピーターの獲得にも繋がります。同様に、発展し続ける市場のニーズに最速に対応し、新たな技術やソリューションが発表されれば、それをその都度取り入れていくことができるビジネスが、競争に勝ち残っています。
レガシーアプリを再設計する主な理由
レガシーアプリケーションからの移行の際には、次の2つの選択肢があります。一つ目は、ゼロから新しい企業アプリケーションを構築する方法で、もう一つは既存のフレームワークを一つ一つバージョンアップする方法です。既存システムを基に再設計する場合は、次のような利点があります。
メンテナンス及びサポートのコスト節約
レガシーアプリケーションを維持する場合、可動部分の多くも維持されます。可動部分には大量のコードが含まれており、変更を加えればサポートシステムとの相互関係が崩れ、サポートができなくなってしまう可能性があります。このため、レガシーソフトウェアのアップデートには、多くの時間と計画が必要です。
レガシーソフトウェアの特徴は多岐に渡り、そういった特徴の中には知られているものもありますが、未知のものもありますので、アップデートにはシステム上のリスクを伴います。レガシーシステムの基盤となっているインフラストラクチャは古く、多数のデータベースやストレージセンターに分散している場合も珍しくありません。
もちろん、このようなシステムを分類化してモダンなクラウドベースのシステムにアップグレードするのは、従業員が新システムを理解しこれまで通り業務を行うために長時間を要する研修を行うといった大変な手間が発生します。このことで、企業の出費が更に増えてしまいます。
適合性・適応性の改善
現代の企業アプリは複数のプラットフォームの統合や適応性重視で作られています。これは、多くのAPIベンダーが大半のプログラミング言語やフレームワークのサポートを行っているためです。これこそが、レガシーアプリケーションに欠けている重要な機能です。
その結果、システム統合の際はコードの大規模なカスタム化が必要で、カスタム化をしたとしても、統合が上手くいく保証はありません。このため、レガシーソフトウェアをパーツごとにアップデートすることには、企業にとって退屈で単調な作業であるだけでなく、失敗のリスクも伴います。
企業の敏しょう性・効率
現代の企業組織は、基盤が安定した企業からスタートアップまで、様々な競合他社との厳しい競争にさらされています。このため、チャンスが到来したり、市場において参入スペースを発見したりした際に迅速に対応することで、新たな道がひらけ、収益源を増やすることができます。
新たな事業参入には、タイミングが全てです。レガシーシステムに依存しているビジネスは、今後の予測不可能な難題に迅速に対応する能力が不足しています。レガシーシステムは革新の妨げとなり、効率性が低下するため、組織の成長が低迷する原因となります。
競合他社に負けないために
現在の市場の変化に適応し難いレガシーシステムを使用することで、生産製品と市場の本来のニーズに大きな差異が生じてしまいます。こういった差異に競合他社が簡単につけ込み、市場の必要とする製品を提供することで、顧客を奪ってしまいます。
レガシーシステムの冗長なメンテナンスは、ビジネスチャンスを逃し、自社の市場の崩壊につながる可能性もあります。このような状況になってしまうと、競合他社や新興企業などが顧客ベースを奪い、市場シェアを伸ばしていってしまうでしょう。
カスタマーエクスペリエンスの向上
ここ数年で、UXデザインによりアプリのパフォーマンスは劇的に改善されました。モダンで直感的なUIとスマートな機能により、企業アプリケーションによる業務効率が改善され、その結果、従業員の生産性も向上します。この点は、収益の増加に直接関わっているので、企業アプリのパフォーマンスを改善することの最大の利点です。
業務用レガシーアプリ再設計における難題
レガシーソフトウェアのアップグレードには、主に2つの障壁画立ちはだかります。時間制限と予算制限です。組織内の複数層をまたいでアップグレードを行う場合、機会的に分解修理を行うのではなく、念入りな計画に基づいて行う必要があります。
その結果、この段階的なプロセスの中で見積もり以上の費用が発生し、システム交換が完了するまでに、複雑な作業が大量に発生する可能性があります。ソフトウェアの機能および運用の改善につながるレガシーシステムの交換における難題には下記のようなものがあります。
段階的な改善
レガシーソフトウェアに代わるシステムを構築する際は、既存の機能に支障が無いように、順を追って段階的な廃止を行う必要があります。レガシーソフトウェアの既存の問題点やリスクを認知し、入念に対処する必要があります。ソフトウェアの再設計を行う場合、当社Lollypopは、製品の発展に向けた今後のビジネスプランにおけるニーズを想定しながら、既存のユーザーや技術をあらゆる側面から調査します。
当社がレガシーアプリを再設計する差異、まず最初の段階でエンドユーザーに関する調査を行います。エンドユーザーの既存製品におけるUIの様子を査定することで、不足要素と改善を進めていく要素を分別します。ペルソナを設定し、そのユーザーのニーズを分析し実用的かつ業界最高レベルの調査を行います。その結果、UIのあるべき姿やその実現方法を見いだすことができます。
有効な軌道修正を
新しく導入する企業アプリのワイヤーフレーム作成を進める間、その基となる開発作業のフローが示されたブループリントが多数作成されます。しかし、段階的な導入を行うことで、企業アプリのベータ版の検証を継続的に行うことができます。
この結果、プロジェクトの鍵となる軌道修正を何度か行うことができ、導入するアプリケーションの生産性の将来的な向上につながっていきます。開発チームは、存続させる部分と改善の必要な部分を選択していくことができます。
調査を通し、我が社はユーザーの性質や製品の使用方法に関して理解していきます。こうして得た重要な知見を活かしつつ、適応プロセスをシームレスなものにするようにシステムの再設計を行います。当社の目標はエンドユーザーの手間の軽減です。エンドユーザーが一から全てを学ぶ負担を最小限に抑えると同時に、自らシステムを使いこなせるようにサポートしています。ユーザービリティの検証は多くの場合、下記のような段階を踏みます。
ユーザー目線のシステム設計
企業アプリ導入が結果として成功しているかの判断基準は、「適応能力」という単純なものです。開発チームはエンドユーザーが直面する課題を認知し、新たなシステムの設計に彼らのニーズを反映させる必要があります。結局のところ、このような技術革新が従業員の仕事に付加価値をもたらさなければ、本当のアップグレードとしてみなすことはできません。
ロリーポップでは、目的意識を持って作業を行うことを、システム再設計プロセスにおいて非常に重要視しています。当社はシステム再開発のプロセスにおいて全てのステークホルダーと密に連携し、彼ら自身の業務の流れにどのように関係しているかを説明しています。
明白な製品戦略とともに建設的なフィードバックを取り入れる柔軟性を保ちながら作業を行います。技術設計における決定事項は企業運営に影響してくるので、全てのステークホルダーには、再開発による利点をしっかり伝える必要があります。
結論
レガシーシステムをビジネスで使える企業アプリケーションに進化させることで、企業の利益が大きく変わりうるでしょう。UXおよびテクノロジーは企業アプリを役立てる上で、欠かせない要素です。現在のユーザーは、使いやすく直感的なUXを始めとする多くのニーズを持っています。UX全体を改善することは、企業アプリを有効利用する上で欠かせない工程であり、企業の利益にも必須です。