ミニマリズムは常に最新のデジタルデザインの重要なポイントになります。
これを適切に応用できれば、製品やサービスを簡素化し、誰にでも使いやすくするという大きな強みをもたらすでしょう。
ミニマリズムとは、いってしまえば、デザインを必要最低限に省略化することです。
つまりユーザーエクスペリエンスにマイナスの影響を及ぼさない、余計なデザインディテールを削除する処置などを指します。
具体的にはテキストを読みにくくするカラフルな背景を削除したり、8つのナビゲーション項目を3、4つに縮小したりすることなどが含まれます。複雑すぎないサービスがユーザーに好まれることは誰だってご存知のはずです。
またミニマリズムはユーザー目線の利益だけでなく、開発やロード時間のスピードアップ、メンテナンスのしやすさ、セキュリティ上の欠陥やバグの可能性の低減など、多くの副次的な効果があります。
しかし場合によってはミニマリズムの概念がマイナスに働いてしまうことがあります。この記事では間違ったミニマリズムの取り入れ方をご紹介します。
1.極端ミニマリズム
これは、デザインの骨組みだけを残して、最適なユーザーエクスペリエンスの確保を忘れてしまっているケースです。
デザインをより簡潔にすることに注目するあまり、しばしば実際のユーザーに悪影響を及ぼします。
例えば明確に定義されたボタンをあいまいで微妙なアイコンに置き換え、デザインの要素とセクションを明確に区別しないなどの例が含まれます。
そういったデザインは一見簡潔にみえても、アクセシビリティと利便性に大きな影響を与える可能性があります。
大半のユーザは利便性の喪失に気づかず不満をもたない場合もあります。しかし例え一部のユーザにでも、不便だという印象をもたせ信用を損ねていくのは大きな失敗です。
業界のトレンド、クライアントの要求など、最適なユーザーエクスペリエンスを生み出す際に、複雑な構造を避けようとするあまりデザイナーがこの問題に陥る可能性は非常に高いです。
ミニマリズムの概念を極端に取り入れてしまい、必要なものの判別がつかず削減しすぎてしまうのです。
2.偽ミニマリズム
偽ミニマリズムはさらに重要な問題であり、常に注意を払うべきです。これはトレンドを追いすぎることによって起こる、より表面的なビジュアルに意識をとられてしまったミニマリズムといえます。
例えば小さすぎるタイポグラフィ、ハンバーガーアイコンの後ろに隠されたナビゲーション、分かりにくいCTAボタンデザインなどの要素を使用することを意味します。視覚的には印象はいいものの、ユーザーエクスペリエンスを求める上で、これらはまったく役立ちません。
多くの偽のミニマリズムサイトは、多くのアクセシビリティについての考慮事項も後回しにしています。
このようなトレンドに伴って発生した偽ミニマリズムサイトは、そこらじゅうで見られます。
ユーザーエクスペリエンスをまるで無視しているため、Webアプリケーションやモバイルアプリケーションの使用を難しくしています。
ミニマリズムのトレンドはブランディングなどの視覚的なデザイン分野にも位置していますが、業界では常にユーザーの利便性を考慮する必要があります。
まとめ
デザインのトレンドは常に、デザインの中心にある利便性という真の問題から私たちの目をそらさせてきました。時に利便性を無視するほどの美学がデザインに大きな役割を果たしていることもあるので、この問題を攻略することは難しいです。
デザインにアイデンティティを個別に提供するだけでなく、画期的で最新の気分を感じさせるデザインを望む新規顧客の獲得のためにはそういった「表面」的なデザインは非常に魅力的なのです。
しかし、美しさと使いやすさの間に妥協が見出されるべきかどうか、今一度自分自身に問いかけることが重要です。
ポートフォリオなど、より視覚的なサイトであってもこの問題は付きまといます。Webを使い慣れていない人々もそのサイトにアクセスしたがっているかもしれないのです。
ミニマリズムにはこういった落とし穴がありますが、うまく適用できれば大きなメリットをもたらします。
デザイン上のバランスをうまく保つことは最も重要なデザイン理念の1つです。
それを忘れなければ、複雑すぎてわかりにくいデザインや、表面的だけ中身のないデザインに行き着くことはないでしょう。私たちはいつもその中間を実現したデザインを模索することが必要なのです。
最後になりますが、デザインにミニマリズムを採用する場合は、ナビゲーション、タイポグラフィのサイジングとコントラスト、リンクの書式設定、ボタンのデザインなど重要な要素に注意を払ってください。
これらの重要なコンポーネントに特別な注意を払うことで、ビジュアルメリットだけでなく、すべてのユーザーにとっての使いやすさとアクセシビリティの両方が高いデザインになります。
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※本記事はStop With the Fake Minimalismを翻訳・再構成したものです。