デザイナーは自分のプロセスについて話すことを好みます。突飛なアイデアをブレーンストーミングすることから潜在的な解決策を試作することまで、愛すべきことがたくさんあります。
しかし、デザインプロセスの中で最も重要な部分の1つは、会議などでも滅多に議題にあがっていません。ユーザー調査をにおいてシンセシスを行うことです。
この記事では、California College of the Artsの過去のインストラクターから得た知識と、大小さまざまな企業のプロダクトデザイナーとして働いている私自身のプロフェッショナルなキャリアから学んだシンセシスの大切さについて取り上げます。
「シンセシス」とは?
シンセシスとは、明確な問題が発生してそれを解決しなければいけないときに行うものです。主要なステークホルダーと顧客へのインタビューも行われます。
アナリシスは「分析する」こと、シンセシスは「合成する」ことを意味します。得られた複数のデータを使い、新たなデータを得ることをさす言葉です。
シンセシスの結果、あなたが解決しようとしている問題が変わるかもしれないことに注意することが重要です。それはだめなことではありません。また、シンセシスとブレインストーミングのソリューションは、常にプロセスの別々の部分でなければならないことに留意してください。
リサーチにおいてシンセシスを行うには、4つのステップがあります。
- 1.インタビューの文書化
- 2.類似性クラスタリング
- 3.インサイトステイトメントを作成する
- 4.どのように問うのか具体化する
なぜシンセシスが重要か
残念ながら、リサーチとシンセシスは組織では過小評価されています。多くの場合、プロジェクトのタイトなタイムラインや少ない予算のためです。デザイナーには何かを「提供する」ためにプロセスのこの部分を急がなければならないというプレッシャーを感じます。
私たちは、リサーチとシンセシスの価値、重要性を主張しなければなりません。そのプロセスを経ずに、誰も使用しないものを作ると、プロジェクト全体の予算が無駄になります。
○インタビューの文書化
優れたシンセシスは、常に適切な文書化から始まります。インタビューをまとめるときは、情報を簡潔に管理してください。経験則の1つは、1つのポストイットに1〜2つのセンテンスだけを使用することです。私はまた、あとから参照するために右下隅にインタビュー相手の頭文字を書き留めることを習慣にします。
メモを転記するとき、私はポストイットの色を変えて、3種類の情報を区別します。
・観察:インタビューを通して気づいた間接的な引用や繰り返しパターンです
・相手の話したことをそのまま引用する
・解釈:明確に言及されていない動機または仮定である
これらは区別するのがかなり難しいです。
○類似性クラスタリング
類似性クラスタリングは、研究からの観測と洞察を外部化し、有意義にクラスタリングし、デザインチームがデザイン時にデータに根ざした状態を維持するために使用されるプロセスです。
情報が一旦アップされると、類似性クラスタリングは、データで発見された新しいテーマに基づいて情報を自然にグループ化するのに役立ちます。すべての情報をグループ化した後、各カテゴリにラベルを付けます。これらのグループは、残りのシンセシスプロセスの基礎を成しています。
必然的に、いずれのカテゴリにも適合しないものも存在することになります。これらの情報が問題に関連していない場合は、自由に削除してください。
○インサイトステイトメントを生成する
これがマジックが起こる場所です。すべてがグループ化されると、あなたにはインタビューした人々の満たされていないニーズと欲望が見え始めるでしょう。これらは私たちが研究成果と呼ぶものであり、インサイトステイトメントとも呼ばれます。
あなたがこの段階で良い考えをひらめかないのであれば、もっと多くの人にインタビューする必要があることを示す良い指標かもしれません。
○どのように問うのか
何千もの驚くべきアイデアが出てくる前に、インサイトステイトメントを質問として再構成することで、われわれが発見した根底にある問題のいくつかについて考えることができます。どのように各質問を構成できるのかを考えれば、真の人間中心、ニーズを中心としたソリューションのブレインストーミングの枠組みを提供することができます。
※本記事はThe most neglected part of the design processを翻訳・再構成したものです。