街に新しい求人が出ています。
GoogleやAmazon、DropboxにPaypal…名だたる大企業が今、ユーザー・エクスペリエンス・ライター(ユーザー体験ライター)、UXライター(またはUXデザイナー)を探しています。
今後、ユーザー体験をデザインしていく上で、文章集中型のUXデザイナーは欠かせない存在となるでしょう。
UXライター(とUXライターでないもの)とは何か、企業がライターに求めるもの、そして一般によく実践されるルールについて見ていきましょう。
UXライティングとは何か?
UXライターという職種の募集要件を数十件ほど掘り下げているうちに、共通して求められる能力が見えてきました。
リサーチ力
共通して求められるUXライターは、UXチームの成熟したメンバーであり、ユーザー中心のデザインを作成するにあたり、ユーザーやオーディエンス調査を実施または協力できること、があげられています。
ライティング能力(当たり前ですが…)
当たり前のことですが、ライティングはUXライターに必要な能力です。
「文章が上手だねと人から褒められる」ライターのことではなく、「人から素晴らしい文章力だと言われ、それぞれ選んだ言葉の理由を一つひとつ説明し、その主張をどこまでも保持できる」というライターを指しています。GoogleはUXライティングチームを「常駐言葉職人」と呼んでいます。
連携して作業を進める力
この職種に特化して必要な能力だとは思いませんが、UXライティングをする上で、様々なチームと協力して仕事を進める力は大変重要になります。
職種を問わず、プロのライターであれば驚く方はいらっしゃらないと思いますが、誰もが言葉に対して考えがあるのです。
求人情報に共通して記載されている能力ではありませんが、以下もあちこちで見られた必須能力です。
- ・編集戦略を立て、実行できる
- ・コンテンツ戦略を立て、指揮をとれる
- ・マーケティングコピーを作れる
- ・分かりやすいトレーニング資料を作成できる
UXライターは他のライターとは種が異なる、ということも気を付けておきたい点です。
UXライティングの公式な研修などはほとんどないので、UXライターは否応なしにいろいろこなせるようになります。
しかし、以下のようなライターと混同しないようにしましょう。
- ・テクニカルライター — 明確性と正確性第一。体験は不要。
- ・コンテンツ戦略者 — 大規模なコンテンツ計画を立てる。必ずしも書く必要はない。
- ・情報設計者 — 維持可能な情報構造と分類学の構築。
- ・マーケティング立案者 — 顧客新規開拓に向けた戦略とキャンペーンの考案。
企業がUXライターに求めるもの
さて、UXライターの能力と、なぜその職種が今注目を集めているかが分かりましたので、次は、企業がUXライターに熱望している、包括的な資質を見ていきましょう。
コミュニケーション関連の学歴
これはほとんどの企業で共通しています。
UXライターを求める企業は、ジャーナリズム、テクニカルライティング、クリエイティブライテイング、コミュニケーションその他広報など、ライティングに直接関係のある分野で、正式な教育を受けている人物を探しています。
非常に優れた文章力(とその根拠)
UXライターを面接する企業は、視覚的に表現できるデザイナーとして、自分の選択を説明できるライターを求めています。
ラベル用に言葉を選んだならば、リサーチ結果と共に、なぜその言葉が他の言葉よりも適しているのか、正当に説明できなければなりません。
柔軟性と自発性
UXライターという職種はまだ新しく、企業もまだはっきりと定義づけできていないかもしれません。
UXライターは断片的なものを一度に考え、目まぐるしく変化する環境で力を発揮しなければなりません。
チーム間の枠を超えて効率よくタスクをこなしながら(例えばワイヤーフレームを構築したり、ボイスガイドラインを決めたり、編集戦略を計画したりなど)、自身の役割を明らかにしていく必要があるのではないでしょうか。
UXライターの目指すところ
テクノロジーが私達の日常生活と社会生活に密接に絡み合っている以上、必要とされている言葉とタイミングが本能的に分かる語り手は欠かせません。
今日のライターはその話術をテクノロジーに貢献できるのです。こんなわくわくすることはありません。
※本稿は「What is UX Writing?」を翻訳・再編集したものです。