スーパーボールで楽しみにしていることは?という質問において、最近の調査では20%の回答者が「広告」だと述べました。実際のゲーム観戦に引けを取りません。Selligent Marketing CloudのCMO・ニキ・ホール氏は、今年のスーパーボウルで最も話題となった広告から得たマーケティング及びブランディングの教訓を説いています。
教訓1)自分以外の何者かになろうとしない
教訓2)消費者を楽しませよ
教訓3)メッセージを複雑にしない
教訓4)単なる広告であることを忘れない
今年もまたスーパーボウル・サンデーは、みんなで大量のスナックをかっ込み、浴びるほどビールを飲むためのパス(フットボールにちなんで)のようなものでした。
スーパーボールで楽しみにしていることは?という質問において、最近の調査では20%の回答者が「広告」だと述べました。実際のゲーム観戦に引けを取りません。多くの観客を楽しませるために、各ブランドは広告に予算をつぎ込んでいます。
NFLスーパーボウルのライブでは、ハリウッドのレポーターによると30秒の広告に560万ドルのコストがかかると言われています。しかし、一定の予算をつぎ込むことがマーケティングの成功とイコールにはなりません。ゲーム終了後、全ての観客が意見を交わすのは、その日最も驚いたことや、面白かったこと、一番大きな失敗をした人についてでしょう。
以下、私が試合観戦後に分析した今年のスーパーボウル広告から学ぶマーケティング及びブランディングにおける大きな教訓を述べます。
教訓1)自分以外の何者かになろうとしない
今年の主なニュースは、コカ・コーラが再びスーパーボウルに広告を出したことです。2019年の試合が行われた後に、同社は新しいエネルギードリンクを発表しました。
スーパーボウルのデジタル広告は数百万ドルかかると言われています。その価値があると思いますか?スーパーボール・サンデーの検索とSEO、つまりは大きな試合の最中に検索してもらうことが大切です。コカ・コーラが参入したエネルギードリンク市場は、すでにレッドブルやロックスター、モンスターエナジーがしのぎを削っています。
興味深いことに、彼らは新しい商品を宣伝するためにハリウッド映画監督のマーチン・スコセッシを起用しています。強豪ブランドはショーン・ホワイトやトニー・ホークなどスポーツ界のレジェンドを宣伝パーソンとしているため、コカ・コーラ社の選択には少々首をひねりました。
もちろん、私たちはとても奇妙なテーマのコスチュームパーティー(スーパーボールのパーティーとは確実に違う…が、おそらくハロウィンパーティーでもない…これに対しては私自身もひどく困惑しているのですが、一旦先に進みましょう)でマーチン・スコセッシが踊る姿を信じるはずです。
もしこのアイデアに固執したかったなら、おそらくマーチン・スコセッシと、共演している30代の俳優ジョナ・ヒルと役割をチェンジするほうが納得できます。
おそらく、このアイデアに合点がいく別のリアリティがあるのでしょう。77歳のシリアスなハリウッド映画監督を起用することに意図的な皮肉があるのかもしれません。
いずれにせよ、見たところフラットに収まっているようです。最初の印象では、あからさまに必死になっているように見えます(今どきの子どもたちが言うように)。―何者かになろうと一生懸命な誰かのごとく。
代わりに、マーケティング担当者は観客を知ることでブランドイメージを導くほうが賢明です。そしてなお、実際に誰があなたの商品を購入するのかを知ることが重要です(この2つは常に同じではありません)。
consumer profiles and data に基づいた情報を信用してください。ただのカフェインによる即興の興奮ではなく、長い期間のエンゲージメントを届けるために。
教訓2)消費者を楽しませよ
飲料市場における国産ビールは価格が下がっています。ミレニアル世代の多くがハードセルツァーに夢中になったからです。バドワイザーはこの市場へバドライト・セルツァーを武器に参戦しています。ミレニアル世代が夢中になっているラッパーのポスト・マローンが支持した新しい飲み物です。
ブランドのアンバサダーとしては、ポスト・マローンが最善策でした。彼は長い間バドライトと関係があり、ブランドが後援するダイブバーコンサートツアーも行っています。彼はバドライトと次の段階の関係を築きつつ、スーパーボウル広告で新しいドリンクのために二つ異なるバージョンのCMを撮影しました。
次に、大試合でどれを放映すべきかを消費者が投票し、何百万のコメントを受けて彼らは勝つほうを把握しました。(さらに彼らの中で急速に流行しました)。
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バドライトとセルツァー両方を取り入れた広告は面白く、細かい顔のタトゥーだけで会場には大笑いが起こりました。また、両方の商品にスポットライトを当てました。バドライトをここで登場させることは選択と消費者の権限に根付いています。
ポスト・マローンのインスタグラムの投稿は数日だけで200万以上のページビューと8万1千件以上のコメントを獲得しています。消費者がマーケティング・コンテンツに能動的に参加することで、マーケターは主要なポイントを得ることができます。
教訓3)メッセージを複雑にしない
今年の“What-The-Heck-Did-We-Just-Watch-Award”はアウディです!
ドイツの高級自動車メーカーは、2020年のスーパーボウル広告でゲーム・オブ・スローンズの女優であるメイジー・ウィリアムズを起用。ラッシュアワー渋滞、発煙車両、欲求不満のドライバーに囲まれ、彼女が立ち往生した姿を描きました。
次に、どうしてかわかりませんが「Frozen」のテーマソングが始まり、ウィリアムは渋滞に見切りをつけ、電気自動車にペダルをメダルに置いて、まさにレットイットゴーします。
メイジー・ウィリアムズがサンセットへ運転するのを見たとき、自動車メーカー側が環境への配慮をコマーシャルの結論としたことに少し困惑しました。しかしアウディのYouTube動画の説明ではこの情報しか提供されていません:
ディズニー「Frozen」の主題歌「Let It Go」を歌うメイジー・ウィリアムズと、まったく新しいアウディのe-tron Sportbackで明日をもっと持続可能なものにしましょう。あなたが手放すことができないかもしれない唯一のものは、歌です。
これに対して「何がポイントだったのか?」という疑問は外せません。アリア・スターク(メイジー・ウィリアムズの役名)の起用は良いのです。 ツイッターの世界では同意されている様子。
カスタマーが困惑したのは当然でした。最も大きな失敗の一つは「間違ったブランドメッセージ」です。長期のリワードメンバーへのウェルカムメールや、ずっと前にアイテムを購入したにもかかわらずカートリマインダーをするような。
代わりに、スマートな自動化と分析機能を使用して、一貫したCXを提供します。それ以外の場合はレットイットゴーしたほうがいいかもしれません…(そして「it(イット)」とは、つまりお客様のことを意味します)。
教訓4)単なる広告であることを忘れない
もちろん、スーパーボウル広告は巨大な予算がかけられたメジャーな制作物です。しかし私たちは本当にゲームの前にもったいぶるような予告編が必要でしょうか?
今年、バドワイザーの46秒コマーシャルや、サムエリオットが出演してリル・ナズ・Xをフィーチャーしたドリトスの1分ティーザー広告は、VICEを含めたメディアの支局から大きな反発を受けました。
世間では、その年の大きなスポーツイベントの間さえコマーシャルのためのコマーシャルを必要としていません。最新のエナジードリンクやハードセルツァーを大勢の観客にアピールできるのは魅力的ですが、マーケターは正確なタイミングで、購入の準備ができた見込み顧客に適切なメッセージを提供することで、より良い結果を得ることができます。