今、アメリカ人の炭酸飲料離れが激化しています。
今年の初めに発表された調査によると、アメリカ人の60%以上の人が炭酸飲料を避けているという調査結果が出ています。というのも、U.S. Dietary Guidelineによると、一日当たりの糖質の推奨摂取量が200kcal以内なのに対し、20oz(550ml)のコーラのペットボトルに含まれる糖質は240kcal。ペットボトル一本で一日の推奨量を超えてしまうほど糖質が多いということで、健康志向の人口が増えたアメリカでは炭酸飲料は避けられる傾向にあるようです。
年々伸び悩む売り上げに対して、2013年に消費者を取り戻そうとコカ・コーラがとった作戦は「値下げ」でした。マクドナルドやバーガーキングをはじめとしたファストフードチェーンが消費者の好みに合わせて値下げをするように、炭酸飲料の有名企業も値下げをすることでこれまで売り上げを伸ばしてきました。
しかし、今回に関しては値下げのあともコカ・コーラの売上高は落ち続け、スランプを抜け出すことができませんでした。
そこでコカ・コーラが次に取った作戦が「値上げ」です。
具体的には、以前から売り出していた、小さいサイズのミニ缶のコーラの宣伝に力を入れました。
MARVEL で有名な「アントマン」と「ハルク」のコマーシャル。
巨大なハルクがミニ缶を飲んでいる姿が印象的です。
果たして、値上げ作戦は上手くいくのでしょうか?
あるスーパーマーケットでは12oz(350ml)のコーラが1oz当たり3.67セントなのに対して、7.5oz(200ml)のミニ缶コーラは1oz当たり6.65セントするそうです。ほとんど倍近くの値段の差があります。
値上げの結果は大成功でした。
ファストフードの店などで売られているカップのコーラの売り上げはいまだ伸び悩んでいるのに対して、ミニ缶は2007年の登場以来、2桁の成長率を見せています。
コカ・コーラのマネジメントディレクターを務めるCowen and CompanyのVivien Azer氏によると、「ミニ缶コーラへの需要は大きくなっていて、1oz当たりの単価が高くなったとしても、手ごろなサイズのコーラにお金を払いたい人が多くなっている。」と感じているそうです。
また、ドクターペッパーの経理主任のMarty Ellen氏によると「アメリカ人の炭酸飲料の消費量は少なくなったものの、好きな飲み物を楽しみたいという気持ちはまだ残っている。」「小さい缶が売れる傾向はずっと続くとでしょう。なぜなら、高くなると言ってもまだまだ安い嗜好品であることに変わりはないですから。」と発言しています。
ドクターペッパーは当初12ozの缶を積極的に売り出していたものの、今は8ozの缶になり、これからは7.5ozの缶へとフォーカスを変えていくそうです。12oz缶が150kcalに対して、7.5oz缶が95kcalということで、ヘルシー志向のアメリカ人をターゲットと考えてビジネスを展開します。
以上、コカ・コーラのマーケティングの裏側をご紹介しました。
値下げではなく、値上げという選択肢に踏み込めたのは、これまで世界中でコーラを売ってきて、「ダイエットコーラ」をはじめとした新しいビジネス戦略を常に展開してきたコカ・コーラだからこそできたことなのかもしれません。
あなたなら350mlと200mlのコーラ、どちらを買いますか?
この記事は
「http://www.wsj.com/articles/smaller-sizes-add-pop-to-soda-sales-1453890601#livefyre-comment」
「http://money.cnn.com/video/news/
2016/03/02/coke-mini-sizes.cnnmoney
/index.html?iid=ob_sf_video」
を翻訳・参照したものになります。