ロケーションインテリジェンスプロバイダーHEROWの新しいレポートでは、3人のうち1人は、位置情報の共有を拒否していることがわかりました。
要約
・位置情報の販売に関するNY Timesの記事をきっかけに、HEROWは「位置情報が提供する価値」に関する調査レポートをリリース。
・その「価値」とは、サードパーティの広告などのターゲティングだけではなく、ユーザーエクスペリエンスを向上させるというものである。
・レポートには、ユーザーが位置情報の用途理由を把握していて、自身で制御できる場合は現在地の共有に問題がないという回答結果についても紹介されている。
位置情報のデータについて
ロケーションインテリジェンスプロバイダーHEROWがリリースした「モバイルデータプライバシーに関するレポート」は、2019年12月に話題となったNY Timesの記事が発端となっています。
同年11月に得た1357人の調査回答に基づいたその記事では、販売のための位置情報ブローカーシステムは非難されるべきだと紹介しています。
これに対して、HEROWのレポートは「モバイルジオロケーションは価値を提供している」、モバイルデータを使用することでユーザーエクスペリエンスを改善するものであって、転売することはないと述べています。HEROW独自の見解ではありますが、データに基づいたレポートでは、モバイルデータプライバシーの懸念事項についても紹介されています。
プライバシーの遵守
このレポートでは、位置情報は広告のターゲット設定だけに使われているのでなく、ユーザーの帰宅サポート、荷物の配達、関心のあるイベントの把握など、位置情報がユーザー個々のエクスペリエンスを向上させるということに注目しています。
要するに、モバイルアプリにはプライバシーを遵守した方法があると述べているのです。
HEROWのシニアプロダクトマーケティングマネージャーであるLucas Brechot氏は、ユーザーの3分の1が常に位置情報の共有を許可し、3分の1は一切許可せず、3分の1は状況によるという調査結果に着目しました。
ミレニアル世代とZ世代は、位置情報の共有をしている傾向にあり、団塊世代が最も少ない結果となっています。
明確な説明と価値
回答者の4分の3近くが、「データの用途理由とコントロールする方法」を説明された場合にのみ、アプリを介して位置情報を共有しています。そして、最も価値のある位置情報の用途には、不正行為の識別、健康管理、情報の取得、近くで開催されるイベントの通知などが含まれています。
位置情報が求められている理由とユーザーが得られるものを明確にしている場合、70%が現在地を共有し、アプリを頻繁に使用するユーザーに関しては、位置情報を共有する可能性が10%高くなるとされています。つまり、ユーザーは位置情報の共有がエクスペリエンスの向上につながると期待しているのです。
しかし、レポートでも指摘されているように、位置情報データには大きな問題点もあります。ユーザーの半分以上が、位置情報の不正利用や監視、身元詐欺、ストーカーついて懸念しており、かなりの割合で「不要な広告」、不法侵入、パフォーマンスの低下についても懸念しています。
HEROWは、こういった否定的な見解に対して、用途理由を理解した場合にのみ、位置情報を共有するよう主張しています。