20年前、ほとんどの人は、仕事に出る前に地元の新聞を読み、昼休みに雑誌をめくり、そして家に帰って就寝前に数時間のテレビをみていたでしょう。最近では、ニュース、ビデオ、ソーシャルメディアなどあらゆる情報源に、ポケットサイズのものでアクセスできるようになり、世の中はこれまで以上に多くのメディアで溢れています。
イギリスでは、成人がメディアの閲覧に1日に8時間近く費やしていることが研究によって明らかにされました。アメリカでは11時間を超えています。
視聴者にコンテンツを配信するメディア組織にとっては、これは素晴らしいニュースですが、その一方で、どのコンテンツがどのユーザーに合うのかを推測するのは困難です。そこでデータの出番です。
ここでは、データを賢く使用することで、メディア組織が重要な分野でどうやって生き残り、成長しているかご紹介します。
1.オーディエンス
「オーディエンス」という言葉は単数形です。おそらくそれが、オーディエンスを単数形のグループとして考える傾向がある理由です。 しかし、実際には、オーディエンスはさまざまなサブセットを持つ多面的なグループです。
たとえば、The New York Timesには大勢のオーディエンスがいますが、毎日全ての人が、全文を(おそらくほとんど誰も)読むわけではありません。 意見セクションをまず読む人、他のセクションを楽しむ人、世界で起こっていることの見出しまで進む人もいます。
データを使用してオーディエンスのさまざまな側面を把握することは、さらに有意義な形でデータを活用するための重要な最初のステップになります。
オーディエンスを把握するためにはデジタルデータの分析から始めましょう。
トップエントリページ、デバイスごとのページビュー、ソーシャルメディアのトップ記事と、このデータと顧客管理システムCRMデータ(視聴者層など)を組み合わせて、コンテンツの視聴者と、どの種類のコンテンツが見られているかがわかります。このようにデータを活用すれば、様々なオーディエンスセグメント用にコンテンツとフォーマットの開発が可能になるのです。
2. コンテンツ
もちろん、皆すべてのコンテンツがすぐにヒットし、閲覧されることを願い、ブログの投稿、記事、またはビデオに懸命に取り組んで、それをウェブページやソーシャルメディアに投稿しますが、反応がないことが多々あります。
ソーシャルメディアでは、コンテンツを簡単に共有でき、各投稿が人気コンテストに変わることがあります。
そこで、オーディエンスが反応するコンテンツを確実に作成できるようにするための重要なデータポイントをいくつかご紹介します。
1つ目は、もちろん、訪問者数です。 何人の人があなたのコンテンツを見ましたか? 2つ目はスクロールです。これは、視聴者が最後までコンテンツに興味を持っていたかどうかを示すことによって、コンテンツの質的なパフォーマンスを把握するためのものです。
そして最後に、オーディオやビデオのコンテンツの閲覧に費やした時間です。オーディエンスがどれだけの時間を費やしたかを示し、そこにポストロール広告とミッドロール広告が含まれているかを知ることができます。
3.収益化
だれもが皆、高品質のコンテンツを望んでいますが、広告は避けたいようです。
広告ブロッカーを使用している視聴者は多く、イギリスではインターネットユーザーの22%、アメリカでは25%が広告ブロッカーを有効にしています。
広告ブロッカーを避けるのは難しいことですが、一部の広告では単に視聴者にオフにするようと依頼することで広告ブロッカー回避に成功しています。 しかし、ニューヨークタイムズ紙などは、邪魔な広告を無くし、人々の望むコンテンツを提供するために有料化ペイウォールシステムを採用しています。
広告ブロッカーを無効にするよりも、有料購読を好むオーディエンスを調査してターゲットにする場合に、データは重要なツールになるでしょう。
ふらっと立ち寄った、時々訪問する、常連と訪問者をグループに分けることで、それぞれの訪問者を購読者に変える方法を明確にすることができます。
ふらっと立ち寄りグループは、一度サイトにアクセスしただけのユーザーで、無料のいくつかの記事を提供することで、通常の訪問者や購読者にさえ変えることが可能です。時々訪問の読者は、そのブランドのことは知っていますが、コンテンツを定期的には読みに来ません。無料のアカウントにサインアップするように求めることは、これらのユーザーを常連にするのに最良の方法となるはずです。常連は、もはやコンテンツを頻繁に訪れる忠実な訪問者です。
それぞれがどのコンテンツをどのくらいの頻度で閲覧しているかを把握すれば、「記事ごとの支払い」のアプローチとお勧め有料購読のオファーの決定に役立つでしょう。
4. 訪問者の維持
ほとんどのメディア企業にとって、新しいオーディエンスを引き付けることは長期的に掲げられる目標ですが、すでに存在する訪問者を維持することは、成功への不可欠な要素です。
実際、解約率を5%まで減らすと、利益が15%から95%の驚異的な水準まで増加するといわれることがあります。オーディエンスが企業とどのように関わっているかについての正確なデータを得ることは、新しい訪問者をオーディエンスに変えることに大いに役立ちます。
どの部分が訪問者を引き付けているか、またキャンペーンや特別コンテンツの影響に関する分析データは、訪問者を維持に優れているコンテンツのタイプを識別するのにも役立ちます。
また、どの訪問者がどのコンテンツを訪れているかを把握することは、解約を防ぐのに役立ちます。忠実なユーザーは報酬が大好きなので、特別プログラムのようなものを提供することは、解約数を減らすために有益な方法となるでしょう。
ニュースであったりエンターテイメントであったり、視聴者に情報を提供するということは、芸術の分野でも科学の分野でもあります。 そして、データは今日の複雑で変化の激しい世界で、ビジネスを存続させるために重要な要素です。