ECサイトブランドは、デバイスに関わらず、よりパーソナライズされた体験を顧客に提供できるよう奮闘している中で、人工知能は会話とコンテンツに革命を起こしつつあります。
最近コンピュータを使うことがあったなら、おそらく人工知能(AI)革命について何らかの知識を持っているのではないでしょうか。人によっては、すぐにロボット弁護士に意見に従い、ロボットジャーナリストからニュースを受け取るようになるかもしれません。 AIは、ブランドがますますパーソナライズされた方法で顧客にアプローチできるようにすることで、ECサイトの考え方を変えているのです。
AIは何世紀にもわたって人間の想像力を魅了し、その言葉は1950年代に考案されて以来、語彙目録の一部となっています。 ClickZのNico Bibbによれば、AIは3つの段階を経て進化してきました。
・人工知能 (1950年代)。感覚と理性を持ち、行動と適応が可能なプログラムとして定義されています。
・機械学習 (1980年代)。コンピュータはプログラミングされずに学習を始めます。単一のアルゴリズムが、過去の経験と人間によって与えられたデータから学習します。
・深層学習 (2010年)。機械は人間の脳の働きを模倣するようになります。 AIシステムは、一連の入力が与えられたときに出力を予測するように訓練することができます。
AIの進化の最終局面である深層学習は、AIをECサイトにとって非常に貴重なものにしました。ECサイトを運営する企業は、様々なデバイス上でのパーソナライゼーションを求める顧客の要求に応えられるよう努力しているため、個人向けにカスタマイズされたサービスを提供するために、顧客データを分析するだけでなく、そのデータを使用して顧客のニーズを予測する機械学習がこのゲームを変えつつあるのです。ここでは、ECサイトのAIが、顧客とのやりとりの方法に革命を起こすいくつかの例を紹介します。
AIが放棄された買い物かごと戦っている
ECサイトは商品を閲覧するのには優れていますが、顧客が商品の吟味をやめさせ、実際に購入させるのは難しいでしょう。実際、オンラインショッピングカートの70%以上が購入を完了する前に放棄されていると推定されています。衣料品小売業者にとっては、顧客に購入を約束させるのはさらに困難です。ほとんどの場合は購入の前に、実店舗へ入って、販売員に話しかけたり、または友達を連れて行ってセカンドオピニオンを貰ったりします。
最近、アウトドアウェア会社のノースフェイスは、IBMと提携し、AIをオンラインショッピングアプリに組み込むことで顧客体験をよりパーソナライズしています。IBMのWatsonは1秒以内に顧客データの精神分析のプロファイルを作成し、そこから顧客が製品をどこで、いつ、どのような活動に使用するかについて質問します。次に、AIは、「High Match」から「Low Match」にランクインされた、パーソナライズされた提案を行うことで、何百もの画像をスクロールした後に購入すべきかどうか吟味する手間を省いてくれます。
では、それはうまく機能するのでしょうか。初期のデータはそれを支持しています。IBMによると、顧客はAIと平均して2分間を過ごしましたが、推奨製品のクリック率は60%でした。ECサイトでのパーソナライゼーションにAIを使用することで、小売業者にとって深刻な、すなわち顧客が素通りしていくという問題を解決することができます。
画像検索は私たちのブラウズ方法に変化をもたらしている
ECサイトで、顧客の好みにあったオススメ製品を提案するのにAIを使用することは、店内の販売員とのやり取りとウェブサイトを一人でスクローリングすることの間のギャップを埋めるのに役立ちます。しかし、おそらく実店舗での買い物をすることの最も良い点の一つは、本当に気に入ったものが出てくるまで、似たような商品を探しながら通路を行ったり来たりし続けられることにあります。
AIは検索過程を単純にすることで、eBay、Target、ソーシャルメディア大手のPinterestといったECサイトの企業がオンラインショッピングから推測作業を行うのに役立っています。最近、Pinterestは、ユーザーの93%が買い物の計画を立てるためにサイトを使用しているという報告をまとめ、検索が可能な画像をAIで作成し、ユーザーが画像の一部をタップして製品情報を閲覧できるようにしました。 小売業者であるTargetは最近、Pinterestと提携して、アプリでのキーワード検索を画像検索に置き換え、「Mid-Century MODERN ソファー」と入力する代わりに、写真をアップロードすることでAI技術による完璧にマッチした商品を会社の在庫から捜しだすことができるようになりました。
eBayも最近同様の機能を追加しましたが、ユーザーがソーシャルメディアやウェブサイトの画像を共有して、サイト上でオークションにかけられている類似した商品を見つけられるようにすることで、業績をのばしています。
最近の調査によると、ソーシャルメディアプラットフォームでは毎日32億の画像が共有されており、顧客は共有した画像に含まれる商品を購入したいと考えるのは当然と言えます。画像検索の技術開発はまだ始まったばかりですが、AI技術はオンラインショッピングと実店舗でのショッピングの間の境界線を曖昧にしはじめているのです。
ロボットは素晴らしいカスタマーサービス担当者
薬局に電話をしたら、応答したのが自動音声だったことはありませんか?なめらかな女性の声。あらかじめプログラムされた質問。そして腹が立つほどの、機械的な遅さ。私たちは皆これを知っています。ほとんどの人は、ロボットにいらいらしながら、人間に電話を代わってもらえるように0を何度もプッシュした経験があるはずです。
しかし、近い将来、顧客は人間のカスタマーサービス担当者と話すのと全く同じようにAIと会話できるようになり、ロボットに向かってダイアルを連打する日々が終わるかもしれないのです。
例えば、Googleは最近、AIの音声技術を使って人間と自然な会話をするDuplexを発表しました。このデモンストレーションの過程で、Duplexはヘアサロンの人間の受付係と通話し、予約を行い、地元のレストランでの夕食を予約しました。 Googleがこの技術をどのように使用するつもりなのかは不明ですが、顧客との関係構築にとっては、この技術の可能性は無限大です。 AIは病気にならず、機嫌が悪くなることもなく、電話の受け答えもできるので、まもなく真の24時間カスタマーサービスが可能になります。
もちろん、ロボットの顧客サービス担当者と冗談を交わすことは、電子商取引におけるAIの未来の、1つの可能性に過ぎません。しかし、優秀なECサイト企業の多くは現在、チャットボットをマーケティング戦略に取り入れる方法で、AIを使用した顧客との良好な関係の構築を行っています。
チャットボット、つまりユーザーと人間的な会話を交わせるように設計されたAIは、1950年代からずっと発展し続けてきました。
最近では、多くのブランドがチャットボットを使用してユーザーエクスペリエンスを簡略化し、話している相手がチャットボットであるとユーザーが気づいているかどうかに関わらず、カスタマイズされた関係をうまく築いています。たとえば、Starbucksは最近、ユーザーが音声やテキストで注文することを可能にする「My Barista」アプリにチャットボットを導入し、AI技術を使用して顧客の注文データを分析し、次回の注文の際に、より的確な商品の紹介を行えるようにしました。ユニコーンフラペチーノが気に入っているユーザーがいたとしたら、その人は、Starbucksが次に「インスタ映え」するドリンクを発表したら気に入るかもしれません。
チャットボットは、AIテクノロジーの進化に伴って顧客サービスを常に提供しつづけることにより、ECサイトにまつわる面倒を軽減してくれる最先端技術です。実際、消費者はチャットボットが人間の担当者よりも質問に答えるのが35%優れていると感じているのです。
この記事を書いたのはロボットかもしれない
数年前、ガートナーは2018年までに、ビジネスコンテンツの20%がコンピュータで生成されると予測しました。その未来はもうやって来ていて、ガートナーの予測が成立したかどうかを証明する確実な統計結果はないものの、企業はコンテンツマーケティング戦略にAIを組み込むために全力を尽くしています。
たとえばワシントンポストは、超ローカルスポーツ報道を読者に提供したいと考えていましたが、数百もの試合に記者を送り込めるだけの従業員はいません。代わりにAI技術を使っています。ヘリオグラフと呼ばれるAIプログラムは、得点、選手のデータ、週別の地域ランキングを分析し、そのデータを使用して、人間の記者だけでは決してカバーできなかった何百ものスポーツ記事を書いているのです。
ECサイトにおけるAIの可能性は無限ですが、ほとんどのECサイト企業はオンラインショッピング用のAIに注力しています。チャットボットに、より正確で個人向けにカスタマイズされた商品の勧められることを考えるとワクワクしますが、AIを使用して顧客データと言語を分析し、”超”個人向けにカスタマイズされたコンテンツを作成することは、AIの持つもう一つの革新的可能性です。
しかし、SNSに投稿された写真を見て回ってる間にチャットボットがコーヒーの注文を聞いてくれるようにになっても、顧客はAIテクノロジーに慎重なままです。これは、AIを企業戦略に統合しようとするECサイト企業にとって最大の障害です。
最近、オリーブ園のコマーシャルを1000時間視聴させたボットに、オリーブ園のコマーシャルの台本を書かせたという話がトレンドになりました。その試みの(嘘の)結果は実に馬鹿げていて、「この無限に広がる棒を見てください。 はかり知れません。 木ばっかりです。」というものでした。
この一連のストーリーはいたずらだったのですが、冷淡で感情のないボットによって、コンテンツと会話が制御される未来に恐怖を感じます。オリーブ園に旅行する人間的な楽しみさえもボットが吸い取ってしまうようでした。
しかし、冷たくてよそよそしいというAIのイメージは、消費者の間では一般的であるようですが、実際にはAIはブランドがこれまで以上に個々人をターゲットにマーケティングをするのに役立っています。 この技術はまだ開発が始まったばかりですが、コンテンツ作成からカスタマーサービスまで、ブランドの購入体験のあらゆる側面に影響を与えるAIは単なる幻想ではなく、近い将来に現実になるかもしれません。
※本記事は、Here’s how AI is revolutionizing ecommerceを翻訳・再構成したものです。
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