皆さんも実感しているかと思いますが、オーガニックコンテンツだけではソーシャルメディアで今までのように投稿を見てもらうことはできなくなりました。実際、BuzzSumoによりフェイスブックの企業ページからの投稿へのエンゲージメントが2017年1月から20%減少していることがわかっています。これは痛手です。痛感していらっしゃるかと思います。
しかし、だからこそ多くの企業がソーシャルメディア広告に乗り出しているのです。これはすぐにソーシャルメディアの一大トレンドとなり、顧客にコンテンツを届けるためにあらゆることができるようになりました。あらゆる、といっても何でもできるようになったわけではありません。ですが、ソーシャルメディアにおける広告費の増大からも、企業は実感しているはずです。このような状況なので、ソーシャルメディアで広告を出すにはより賢く戦略的なアプローチをとらなければなりません。
ソーシャルメディア広告は統計をもとに特定のソーシャルメディアのユーザーをターゲットとしてフィードに広告を表示させる広告手法です。正しく行えば、この方法は大変効果があります。しかし無作為にユーザーに向けて広告を表示してもすぐには全く効果は表れてくれません。広告費、コンテンツ内容、ターゲットを絞る回数、ユーザー統計について戦略的に考えなくてはいけません。
通常の投稿でのリーチが減って苦しんでいる皆さんのために、この記事では戦略の効果を出すための段階的なアドバイスを用意しました。こちらで紹介する7段階のソーシャルメディア戦略で、広告費を効果のない広告に無駄に使うことが内容に学んでいきましょう。
ステップ1:キャンペーンの目的を把握し、ベストなものを選ぶ
まずは一番重要な質問から。ソーシャルメディア広告戦略の最終的な目標は何ですか?目標のないまま広告を行ってもお金と時間を無駄にするだけです。かといって結果を出すために広告のエキスパートになれといっているわけではありません。
そうではなく、目標の優先順位を決め、一番いい目標を選んで最初に目指せばいいのです。どの企業にもそれぞれの目標があります。MozはLinkedIn広告で電子書籍の宣伝とコミュニティの拡大を狙っていますが、あなたの会社は別の独自の目標を持っていることでしょう。
よくある広告の目標5例
目的のブレインストーミングのため、まずはよくあるソーシャルメディア広告の目的の例を5件見てみましょう。
1.トラフィックの拡大:ホームページやブログ、製品のランディングページをもっと見てもらいたい場合は、トラフィックが重要です。トラフィックを目標にすればユニークビジターやページビューの合計を格段に上げることができます。この目標は新サイト、ブランド、製品やセールの宣伝に有効です。
2. ブランドをもっと見てもらう:ブランドの認知度が上がれば購入数も、知名度も、ファンの数も増えます。認知度を目標にするのは、リーチやインプレッションを拡大するのでブランドを知ってもらうためのキャンペーンに理想的です。
3. エンゲージメントを増やす:顧客が投稿を気に入っているかどうか、どうやって判断すればよいでしょう?共有、コメント、いいね、リツイートといったエンゲージメントの統計を取ることでどの投稿が効果があるのかわかります。ユーザーとのコミュニケーションにもつながります。
4. リードジェネレーションを増やす:多くの企業が、ソーシャルメディア広告をきっかけづくりに利用しています。この目標は登録制コンテンツやその他のコンテンツを宣伝し、顧客がブランドの製品やサービスにより投資してくれるよう促すのに理想的です。これはこうして投資してくれた顧客を次の広告へと誘導する段階的なキャンペーンにも使えます。見込み客を呼び寄せるのにも有効です。
5. 売り上げを上げる:オンラインショップの経営者には製品やサービスを売るための数多くのソーシャルメディア広告の方法があります。ソーシャル広告で製品絵の関心をテストしたり、セールの宣伝もできます。製品の新機能を宣伝したい企業にも有効です。
ステップ2:ソーシャルメディアを慎重に選ぶ
まずはっきりと目標を決めましたが、次に決めるべきは、広告を出すソーシャルメディアです。
それぞれのソーシャルメディアに広告を出すメリットが数多く存在します。しかし、ブランドによって特定のソーシャルメディアで広告を出す理由があることを覚えておきましょう。以下の点を考慮する必要があります。
・そのソーシャルメディアで自然な効果が期待できるか
・そのソーシャルメディアのユーザー数はブランドに適切か
・競合相手がそのソーシャルメディアに広告を出しているか
・ターゲットとなるユーザーはそのソーシャルメディアで活発に活動しているか
・広告の形式(複数の画像、GIF、動画など)はそのソーシャルメディアに合っているか
例えば、Everlaneはインスタグラムの広告で有名です。画像重視のコンテンツで、ユーザーのクリックや購入を促しています。どこにターゲットのユーザーがいて、一番アクセスしやすいか考えるのが重要です。
ソーシャルメディアごとのメリット
ソーシャルメディアごとに広告を出すそれぞれのメリットがあります。しかしすべてのソーシャルメディアを使う必要はありません。初心者の方は、自分の会社の目的や目標に合ったソーシャルメディアを1、2個選んでみましょう。
理解しやすいように、ソーシャルメディアごとのメリットとどんなタイプの広告がそれぞれ効果があるのかをまとめました。
・フェイスブック:広告の形式がたくさんあるのでB2C広告向きです。オーディエンスを増やしやすいところはB2Bに効果的でもあります。認知度とソーシャルメディアでのリーチを上げることでユーザーのことをより深く知り、新たな見込み客を発見するのに最適な形式です。
・インスタグラム:トラフィックを拡大し、認知度を上げるのにインスタグラムは理想的です。視覚を重視したコンテンツはユーザーのエンゲージメントを増やし、製品の良いところをアピールして消費者のコンバージョンを促します。
・ツイッター:ツイッターには様々な広告形式があるので新製品発売時の新たなフォロワー獲得や新しくソーシャルメディアアカウントを始めるのにも有用です。ツイッター広告はウェブサイトの認知度やクリック率を上げます。
・LinkedIn:ユーザーが特徴的で、B2B向けです。LinkedIn広告はソートリーダーシップのコンテンツによってサイトの認知度を上げ、きっかけやトラフィックを増大します。
・Snapchat:このB2Cソーシャルメディアは特に若年層の、エンゲージメント増大に有効です。スポンサー付きのフィルターやレンズは、ユーザーが楽しみながらアクションを起こし、製品の宣伝になることを目的に作られています。Snapchat広告は認知度を上げるのに効果的です。
・Pinterest:Pinterestの広告は製品やサービスを即時購入してもらうためによく使われます。ほかのピンに混ざって広告が表示され、ショッピングサイトの別館のような役割を果たしてくれます。
ステップ3:ターゲットとなるソーシャルメディアユーザーの中心を見つける
ソーシャル広告のターゲットとなるユーザーを見つけるのは簡単ではありません。フェイスブック広告マネージャーとして何時間もかけてターゲットとなるユーザーを厳選して最高のコンテンツを共有してきた筆者のアドバイスを参考にしてください。ブランドのトーンに合わせながら、ブランドについて聞いたこともないような全く新しいユーザーを選定するのは至難の業です。
たとえソーシャル広告のプロだろうが初心者だろうが、このことだけは同じです。それは、ターゲットとなるユーザーの中心を見つけることです。広告プラットフォームは複雑化の一途をたどっているため、ユーザー選定には効率よく時間を使う必要があります。
初心者にとっては、コアとなるユーザーを見つけるのにはフェイスブックが最適です。Interest Targetingのようなターゲット機能を使って自動的にターゲット候補を見つけましょう。この機能を使うとユーザーの好みやいいねをした投稿やタイムラインにシェアした投稿のみからターゲットを絞ることができます。
さらに、Audience Behaviors機能を使えば購入履歴や旅行の予定などの特定の行動からさらにターゲットを絞り込むことができます。こうしてターゲットを絞ることによって売り上げによい影響が及び、また正しくターゲットを選べば自分に関連するブランドに対してアクションを活発に起こしているユーザーを特定することができます。
最後に、特定のユーザーをターゲットにする際はコアとなるターゲットユーザー層を把握しておく必要があります。この点において、広告に対する反応を理解するために広告を出すソーシャルメディアのユーザー層を把握する必要があります。
ターゲットユーザーを保存する
フェイスブックのは簡単にターゲットユーザーを保存したり変更したりできる機能があります。LinkedInやツイッターでも同じです。ターゲットの中心となるユーザーの興味、行動、ユーザー層を見つけたらユーザーを保存しましょう。
保存したユーザーはいつでも変更できます。しかし、後でいつでも編集できるので、ターゲットユーザーの選定にこだわりすぎてはいけません。
例えば、スペインの高等教育の分野のマーケッターを広告の対象にしたい場合、この対象ユーザーを最初に保存します。テスト後、それぞれのサブカテゴリを変更して調整します。
ぶっちゃけた話、ソーシャル広告の戦略で悩んでいる方は、一発でターゲットを絞れるとは考えないものです。ですが、それでいいんです!ターゲットユーザーを決める作業というのは試行錯誤の繰り返しです。学びながら、変更しながら、ターゲットユーザーを決定しましょう。
ステップ4:通常投稿にうまくまぎれるように広告を出す
目標を決め、ソーシャルメディアを選び、ターゲットも定めました。次は、広告する内容を決定しましょう!ソーシャルメディアでは、様々な広告手段を選べることに注意しましょう。
どんなタイプの広告でもブランドに適しているとは限りません。広告タイプを選ぶときの基本は、フィードや、ウォール、タイムラインに広告をうまくまぎれさせることです。TDアメリトレードのツイッター広告がいい見本になってくれています。
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— TD Ameritrade (@TDAmeritrade) 2017年6月22日
この広告は悪い印象はありませんね。フィードには似たようなストックフォトを使った最新情報が流れてきますが、うまくほかのツイートに混ざっています。広告は常に人の目を止めてアクションを起こさせるものでなくてもいいのです。
そうではなく、ソーシャルメディアではほかの投稿と混じって広告以外のコンテンツのように見せかけることができます。Sproutの2016年第3四半期の指標では、46%のユーザーが広告ツイートを頻繁に繰り返すアカウントのフォローを解除していることがわかっています。大体の場合、広告は広告だとわかってしまうので、スパムのように見えない広告にすることが大切です。
Lenovoは新製品の宣伝にフェイスブックの動画広告を使っています。しかし、この動画は他の通常の投稿に混ざっているため、何かしらのアクションを起こすまでは広告だと気づかないでしょう。
複数のソーシャルメディアにおける広告形式を調べる
上に挙げた例のように、それぞれの形式には違いがあります。なので通常の投稿にうまく溶け込むためのいろいろな形式を知っておくことが重要なのです。例えば、インスタグラムでテキストのみの広告を行った場合、動画やカラフルな画像に比べて「ポップさ」や「驚き」の要素は少なくなります。
インスタグラムのフィードはモバイル画面のほぼ全体を占めるため、キャッチ―な広告を出す必要があります。しかし、同じスタイルの広告をツイッターやLinkedInで行ってもうまくいきません。
現在、フェイスブックで企業が広告に使っている動画には6種類の形式があります。投稿する前にそれぞれの形式のメリットやデメリットを把握しておきましょう。
ステップ5:広告から流入するユーザーに特定のファネルを作る
ソーシャル広告に携わる人がついつい忘れがちなのが、この「見込み客から実際にオンライン・実店舗で購入してくれる顧客へ」のマーケティングファネルを作るというステップです。Next Adは広告から流入したユーザーに実際に商品を購入してもらうための3層のファネルを紹介しています。以下がその3層です。
・認識:最初の目標はユーザーがブランドについて全く知らないかかなり興味を持っているかに関わらず、多くのユーザーにアピールすることです。様々な経歴を持った、幅広い年齢層のユーザーを取り入れる段階です。
・検討:この段階では、それぞれのユーザーの行動でふるい分けします。すでに顧客だったユーザーでしょうか?購入の見込みのあるユーザーでしょうか?まったくブランドのことを知らなかったユーザーでしょうか?広告がスパムのようにしつこくならないように、ターゲットをし直す必要があります。
・取引:最後の一押しの広告を出す段階ですので、注意が必要です。コンバージョンに成功したら、そのユーザーには売りつけるための広告をするのは避けましょう。
こうして順当にユーザーにファネルを下ってもらうためには、ソーシャル広告の各領域で正しい段階を踏むことが大切です。さらに、見込み客にはそれぞれファネル内の位置に見合ったランディングページを訪問させる必要があります。
繰り返しになりますが、ファネルの最低部にいる顧客に製品の紹介広告をしてはいけません。ファネルの位置に合わせた広告を作成する必要があるのです。
モバイルのことも忘れずに
ソーシャル広告のファネルは、モバイルのことも考慮して作らなければなりません。実際、Pew Research Centerによるとソーシャルメディアの閲覧時間の8割はモバイルからのものだそうです。つまり広告からランディングページ、そして実際の取引までのつながりがわかりやすくなくてはなりません。
Smile Direct Clubのインスタグラム広告はモバイル向けに、見込み客にブランドについて紹介しています。シンプルなランディングページはこの企業による広告の共有、ライブチャットを促し、さらにはユーザーが広告の対象かどうかも判断できるようにしています。
このファネルは広告から流入した様々なユーザーを見事にランディングページにふるい分けするように作られています。モバイル向けのアプローチで、ソーシャルメディアの広告からユーザーのエンゲージメントを促し続けることによって成り立っています。
ステップ6:広告入札戦略を最適化する
ここまでに、ソーシャル広告戦略のため様々な努力をしてきました。入札戦略が未熟であったためにこの努力を無駄にするのはもったいなすぎます。広告入札では、高値を張りすぎたり逆に安すぎて対象ユーザーの幅が狭まってしまうということがよくあります。
そうならないために、適切なバランスを見つけて競争力のある入札戦略に最適化し、お金には慎重になる必要があります。初心者は、同じユーザーをターゲットにするためにたくさんのライバルを相手にすることになります。
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— FIAT USA (@FIATUSA) 2017年6月30日
広告を出す人全員にチャンスがあるように、入札システムが決められています。しかしご存知の通り、値段はすぐに上がってしまいます。まずは最低額から入札していく必要がありますが、入札額が低いと広告の閲覧数はあまり上げることができません。
しかし、だからと言って高額入札を避けるべきだといっているのではありません。結局のところ、フェイスブック(又はインスタグラム)のようなソーシャルメディアでは誰かの行動の恩恵を皆が受けられるようなシステムになっています。これはその人が支払った金額によります。
もしライバルのなかでも一番低い金額しか出していなければ、インプレッションは一番少なくなります。しかし真ん中あたりの金額を出せばインプレッションも真ん中ぐらいに、そして最高金額を出せば最もエンゲージメントを多く得られます。
入札の裏にある計算を理解する
誰にでも当てはまる戦略がないというのが、入札戦略の難しいところです。しかし、ここでは適切な入札額を出すための計算を理解するための戦略を1つ紹介します。
まずはこの式を見ていただき、解説していきたいと思います。
・コストの合計(Total Cost):クリックの合計数×クリック当たりの平均コスト(例:クリック100回×1ドル=コスト100ドル)
・コンバージョンの合計(Total Conversions):クリックの合計数×コンバージョン率(例:クリック100回×1%のコンバージョン率=1コンバージョン)
この場合、CPA(Cost Per Acquisition)はクリック数×平均のCPC÷クリック数×コンバージョン率です。しかし、両側にあるクリック数は除いて計算できます。なのでCPAはCPC÷コンバージョン率になります。
まだ計算は続きます。最大のCPAが20ドルだったとします。CPAを達成するために入札するCPCの最大値を求めます。なので、CPAの20ドルを今までのコンバージョン率にかけ、最大のCPCを求めます。
この場合、最大のCPAは20ドルでコンバージョン率はわずか1%だったので、式が完成します。$20 × 1% = $0.20 CPCとなります。共通の履歴データを使って計算することで、賢く入札額を決めることができます。おそらくほとんどの場合、式に当てはめる2つの数字はわかっているはずなので、後は3つ目を求めればいいのです。
繰り返しますが、この戦略はどのブランドにも有効というわけではありません。しかし、目標や予算に合わせて使える賢く安全な戦略です。
ステップ7:定期的に更新し、すべてテストする
広告キャンペーンのサイクルとして、広告の内容を更新し、変更し、テストしていくことで効果が最大限に発揮できます。ソーシャル広告マネージャーとしてやってはならないことは、いろいろな広告を使い古してしまうことです。
広告を更新することで、エンゲージメントを受け続け、ターゲットし直したユーザーの注目も集めることができます。広告が古くならないための注意点を以下に挙げます。
・キャッチコピーをチェックする:テキストや、キャッチフレーズ、CTAがユーザーに対しどんな印象を与えるか常に考えましょう。キャッチコピーに自信を持ち、広告に最適なコピーだといえるようにしておきましょう。
・画像を更新する:写真やイラストを広告画像に使っていますか?どちらがユーザーの反応をより多く呼んだかテストしましたか?シンプルなデザインの変更にも意味があります。
・ランディングページを更新する:最後に、広告がしっかりファネルを作っているかどうか、ランディングページをチェックします。広告からたどり着くランディングページが不十分だと、ファネルの幅を狭めてしまう可能性が高いです。
自分にぴったりの戦略を学ぶ
ソーシャルメディア広告戦略最後のステップは、自分に合った戦略に重点を置くことです。自分にとって最高の事例を学び、今後の広告キャンペーンのために常にテストを行います。広告担当者は多くの場合デザインチーム、コンテンツチーム、開発チーム、そしてソーシャルメディアチームと協力して広告を行います。
テストを続けて自分に合った広告の戦略を導き出していくうちに、チームとの仕事もスピードアップし次のキャンペーンを自信をもって打ち出せるようになります。何度も言うように、戦略は人によって千差万別です。本当に成功したいのなら、それはあなた自身がどれだけキャンペーンを綿密に計画できるかにかかっているのです。