インフルエンサーは、ブランドと上手く提携し、有益で参加型のコミュニティを掲げている、と証拠づけるために常にライク数を上げようと努力しています。
しかし、インスタグラム上で最もライク数の多かった写真は今年の初めに投稿されました―インフルエンサーが投稿した写真ではありません。カイリー・ジェナの18億ライクを大きく超して、52億ライクを受けたのです。単純な卵の画像で、“インスタグラムの投稿で最もライク数の多い世界記録達成しよう”とキャプションがついた投稿でした。
赤いハートで写真をライクする行為も、ここ数年で綿密な検査の対象となりました。ボットスキャンダルが継続し、個人個人のシステム上での不正行為や、偽のやり取りも告発されてきています。とても大きな問題になったので、一夏前には、Unileverもインフルエンサー詐欺を掘り下げて調査していくと発表し、マーケティングチーフのキース・ウィード氏は“信頼を失い取り戻すことが不可能”になる前に至急取り組みが必要で、フォロワーを買っているインフルエンサーとは提携しない約束などの声明を発表しています。
これに加えて、ここでの新しい規制は、インフルエンサーがブランドとの働き方をより透明化していく必要性を意味しています―以前は宣言していなかった内容をより明確にするなど、再度アルゴリズムが変化し、多くの人のやり取りへ影響が予想されます。そして、中には未だに食欲抑制剤や減量ティーなどを促進する人もいるので、インフルエンサーはお金のためなら何でも宣伝する、というステレオタイプの火に油を注いでしまっています。
提供元:インスタグラム
そしてもちろん、悪名の高いFyre Festivalとその続編ドキュメンタリーがあります。この凄まじく悲惨な事件では、主催者は刑務所行きになり、これを支持していたインフルエンサーたちも、6桁以上(各投稿)もらってプロモーションしていた内容の明確な理解に欠け、結果的に、実在しない内容だったことを知らなかったことから批判の的になりました。そして当然のことに、プロモーションが広告だったという事実を宣言していなかったことも非難されました。
インフルエンサー市場にとってこれはどんな意味を持つでしょう?
これがインフルエンサーの終止符になるのでしょうか?しかし、私たちが見たものは、参加型のコミュニティやブランドに沿った目的の代わりに、数にばかりに重点を置いています。
私たちの“コンテンツ市場調査の現状”(去年)の詳細を掘り下げていったとき、ブランドがマクロよりマイクロインフルエンサーを最適化していることがわかりました―フォロワー数は少ないけれどより参加率の高い観衆を持っていることを意味しています。
これでも多くのブランドにとって利益があるのです。Mediahubによる調査では、千人のフォロワーがいるインフルエンサーは、その千倍の規模でフォロワーがいる人と比べても、“参加率アップを85%増で実現している”ことがわかっています。ということは、芸能人インフルエンサーとのパートナーシップ一つの代わりに―78%のミレニアルが自分と変わらないしそこまで好きではないと言っています―マイクロインフルエンサーと複数のパートナーシップを持つことを最適化すべきなのです。
より明らかになったことは、インフルエンサーは誰のためにも働くわけでなく、ブランドが働く相手を慎重に選ぶときに、彼らはより良い結果を生産しているということです。
統計
提供元:Zazzle Media
今年の調査からは、ブランド・インフルエンサー間のコラボレーションでトップのプラットフォームであるインスタグラムが、4位入りしたことがわかりました。マーケッターの半数がソーシャルメディアを使用すると述べていますが、そこから具体的な結果は生まれていません。また、この結果はインフルエンサーを使うマーケッターの数が15%落ち、2019年までには23%まで下がっていることを示しています。
しかし、インフルエンサーを活用したマーケッターたちはしっかりと具体的な結果を残しており、その61%がブランドのために確実に成績を残したと言っています。さらに、インフルエンサーを使用した人々は、次の戦略でも活用するだろうと述べました。
インフルエンサー市場はより粒状化しつつあります。マーケッターが、売るものだけでなく、より大切なことに、彼らの精神に関してもインフルエンサーとブランドの方針が合っているか確証しない限り、数字は、大きくても小さくても意味がないのです。
信用性を失ってきている?それとも見合ったインフルエンサーと働けていないだけ?
消費者としては、本当に信じている商品や体験をプロモーションするインフルエンサーを信頼し、フォローしたいですね。信じていないものをプロモーションをしていると知れば、ブランドが望んでいる影響とは逆の結果に行き着きます。そんな中、私たちは買い物するブランド側だって、手を組む相手を注意深く選んでいるか知りたいのです―その両方を認識することができれば、より高い信用性に繋がっていくのです。
インフルエンサーは、ブランドとのコラボレーションへアプローチする方法について非難されてきました。スカーレット・ロンドンとListerineの間での例では、本当に思い入れのないものを促進しているとわかります。しかし、非難の的は最終的にブランド側にも向けられるのです。
大惨事を起こしたFyre Festivalが提示しているのは、インフルエンサーが持つ力です。それは“生き返るインスタグラム”と呼ばれています。フェスティバル自体は失敗に終わったものの、その市場は生き残りました。Influencer Marketing Hubの創立者であるワーナー・ゲイザー氏は、BBCに話している中でこう言っています:
“Fyre Festivalのドキュメンタリーから何か言えることがあるとしたら、イベントをマーケティング観点から見て、インフルエンサーを活用したことが成功の一部であったことです。”
ベラ・ハディドのような世界トップのスーパーモデルを含んだ400人のインフルエンサーと提携したことにより、全く新しい誰も聞いたことのないイベントが“次世代のコーチェラ”として称えられ、48時間内に300億人を達し、チケット完売に至りました。
インフルエンサーに大きな支持と信用を見せる最近のブランドが、Luchです。彼ら自身のソーシャルメディアを一度全て消し、代わりにインフルエンサーに焦点を当てたのです。インスタグラムで500万人、ツイッターで200万人、フェイスブックで400万人のフォロワーを持つ企業にしては、かなり大胆な一手です。
提供元:インスタグラム
ブランドは、よりよい可視化を目指してアルゴリズムと闘うより、実世界での関係を築きたいと説明し、ソーシャルメディアは直接的な会話をより難しくしていると述べています。
興味深いことに、このブランド(カラフルなバスボムで有名)は、ソーシャルメディアを去ることで、より多くの人々に手を差し伸べることができると信じています。また、インフルエンサー市場をより強調しています。多くの人々が、#LushCommunityのハッシュタグを使うことが、大きなフォロワー数を抱えるパーソナリティではなく、真のブランドファンを意味していると信じています。
“ショッピングできる”インスタグラムの登場
インスタグラム上には、25億以上のビジネスプロフィールが存在し、アプリを使う10億人の内、80%以上がビジネスアカウントをフォローしています。これらの大きな数字は、現在成功している“ショッピングできる”アプリの側面に対する証拠となっています―ブランドはインフルエンサーにお礼を言うえきです。
インフルエンサーは、いつもこのプラットフォームを使い商品を促進してきました―ぴったりな場所なのです。これまでは、しかし、彼らが商品のことを話していても自分で検索するか、彼らの“リンクバイオ”を使わなければなりませんでした―こういう場合、Zoellaが宣伝したものなどは余計に、すでに売り切れていることが多かったのです。
しかし、インスタグラム上での変化が、インフルエンサーがブランドにとってより有益になった事実を促進しました。今では、見ている商品のページにとぶことができるスワイプアップ機能や、秒間でその商品を購入することが可能になりました。
インスタグラムによると、毎月、90億人以上のユーザーがショッピング投稿をクリックしているようです。
インフルエンサーは特定のブランドとしか働きません
上で説明されているように、インフルエンサーは誰とでも働くわけではないのです。では、どんなブランドと提携しているのでしょう?
・健康とフィットネス
・ファッションと美容
・旅行とライフスタイル
インスタグラムは旅行に大きな影響をもたらしています。実際、インフルエンサーがインスタ映えするような行先に旅行する様子を見る人が増加し、私たちが旅行する方法にまで変化をもたらしたのです。
しかし、実はファッションと美容業界がインフルエンサーを最も多く利用しています。2016年のEconsultancyとのパートナーシップで作成されたレポートでは、約60%のファッション・ビューティーブランド戦略でインフルエンサーが特集されていることがわかっています。
インフルエンサー市場:成功したストーリー
成功しているインフルエンサーキャンペーンの内容を覗いてみたければ、ダニエルウェリントンを見てみましょう。2018年には、この時計ブランドはどこよりも多く記載されました。
彼らのインスタグラム戦略―インフルエンサーのみが基になっていて―7200人のインフルエンサーによって20,873の記載がありました。ナイキより大幅に少ないフォロワー数とは裏腹に、このスポーツブランドが受けた記載より19,304増でした。
#DanielWellingtonのハッシュタグは、今では2,100,000回以上使われており、ブランドは4億人以上のフォロワーを獲得しています。
このブランドでは、大きな予算を使うマーケティングの代わりに、マイクロインフルエンサーキャンペーンを初めの段階から最適化したおかげで、ビジネスの成功を手に入れました。全ての始まりは、数千人のフォロワーを持つインフルエンサーたちに無料で時計を送ったことでした。
創立されてたった4年で、この時計ブランドは2015年には1億の時計を売り、220憶ドルの収入を生んだのです。
今でも失敗するブランドはその大切さを示しています
Marks & Spencerは逆に、乳ガンのために資金を集める団体(Breast Cancer Now)にその売り上げを提供するため、新しいTシャツを最近リリースしました。
しかし、ホリー・ウィロビー氏が先陣を切るこのキャンペーンですが、そのハッシュタグ“Bosom Buddies(おっぱいバディー)”と、そのスローガン“一つより二つが良い”、また“ピンクでフワフワ”し過ぎていると批判を受けました。
@thatmumwithcancerや@girlvscancerのような、今までガン患者として闘ってきた人々自身からの非難が多く見られ、本当だったらキャンペーンで使われるべきであろう、ガンが実際にどんな見た目なのか、彼らの大きなフォロワー層と画像を共有しました。
提供元:インスタグラム
インスタグラムで72000人のフォロワーを持つデボラ・ジェームズ氏@bowelbabe’sは、彼女は病院のベッドから書き留め、本当は今月が腸ガン意識向上月間であり、彼らが患者さんたちを使っていないことも指摘しました。自身の傷跡の写真を共有し、彼女は言います:
“これが私です―生々しい現実ですが、傷跡が私を生かせてくれています。そうです、私は女性でありガンの告知を受けています―ピンク色ではありません―それでも笑顔でいますし洋服も好きです!その笑顔の後ろには、現実に何が起こるか怖がっている人がいて、今日ここにいれることに感謝を感じている人がいます。これは私なりの腸ガンの見た目です。時々、ブランドの皆さん、またピンクでフワフワのキャンペーンを始める前に、お願いですから、本当のガンがどんな見た目でどんな風に感じるのか初めに考えてみてください!”
これに対して返答した人々からわかるのは、偽のやり取りや怪しげな商品のプロモーションが存在するけれど、インフルエンサーの中には、彼らのプラットフォームを意味のある運動に使い、真の変化を目指し前に進もうとしている人もいるというなのことです。
最近の否定的な反応とは裏腹に、これからもインフルエンサーたちは活躍していく様子です。企業ブランドも賛同できる真の目的を持つインフルエンサーは特に、すぐに業界を去っていくことはないでしょう。ブランドがまずは調査を行い、誰と提携していきたいか選択的に決めていけるのなら、両方に有益な結果となるでしょう。
ライクに関しては、インスタグラムがライクを全て隠すことを発表し、インフルエンサーにとっても大きな変化が見られるはずです。この変更は、人々がアップロードする投稿の下に現れるライク数を基に自己価値を測る傾向に対する非難が原因です。参加率の可視化がなくなるだけでインフルエンサーに影響があるのか、時間だけが教えてくれるでしょう。