長年に渡りFacebookとInstagramがソーシャルメディアにおいて主導権を握ってきました。確かにTwitterも一定数の利用者を抱えていますが、ユーザー作成コンテンツの点ではFacebookとInstagrmがソーシャルメディアを牛耳っています。しかし、新たなスター – TikTokの台頭です。
動画共有のソーシャルメディアプラットフォームであるTikTokはここ数ヶ月で、大きく勢いを増しています。Instagramのリーチが徐々に減少している事や、Facebook史上最悪の10代利用者数の落ち込みなどの要因が重なった事もあり、TickTokがグローバルマーケットにとって将来性のあるものとなりました。
しかし、TikTokとは一体何なのでしょうか?他のプラットフォームとどのように異なるのでしょうか?どのように極めてまれなチャンスを生み出すのでしょうか?TickTokというソーシャルメディアパーワーハウスの台頭を活用するため、企業はどのような包括的戦略を立てる事ができるのでしょうか?
この記事ではTickTokを通しての宣伝活動が何に、なぜ、どのようにゴールドラッシュであるのかについて紹介していきます。
TikTokとは何か?
一見、TikTokはそれほど革新的なものではありません。ユーザーは音楽、フィルター、ステッカー、などで加工した1分以下の動画を共有する事ができます。TikTokは元々Musical.lyという名前で2014年に始まり、2017年中国のByteDance社が1000億で買収してから急成長を始めました。それからというもの、アプリの成長はうなぎのぼりです。
2020年4月には、20億ダウンロードを突破しました。(ちなみに、世界の携帯電話所有者数は47億人。) 2019年AdAgeが入手した社内資料によると、月間8億人のアクティブユーザーがいる事が分かっており、平均的な利用者は1日に8回アプリを開き、1日平均52分TikTokを利用しています。TickTockは急成長しているだけでなく、ビッグビジネスなのです。
なぜマーケターにとってメリットがあるのか?
当然のことですが、マーケター達は即座にTickTokに群がりました。アプリがマーケティングツールとして魅力的なのには3つの理由があります。
1. オーディエンスのサイズ
2. 主要なユーザー層
3. 信頼性
これらを一つずつ見ていきましょう。
オーディエンスのサイズ
TikTokはパーソナライズ化を可能にするアルゴリズム、ドーパミンを誘発するコンテンツを求めて画面のスクロールがやめられない私たちの性分(ゾンビスクロール症候群)、頭から離れないキャッチーな音楽といった中毒性のある要素が混ざり合う注目すべき宝庫です。
新型コロナウイルス感染拡大の中、休暇や解雇により人々は時間を持て余すようになりました。現実逃避としてTikTokにのめりこみました。2020年3月だけで世界中で5220万人ユーザの増加、またアメリカでは一般的ユーザーの平均利用時間は3月だけで8時間と、1月から10.8%も上昇したことが分かっています。これはマーケターにとって朗報で、不動産で一番重要なのがロケーションであるようにマーケティングにおいて注目を集めれるかどうかが常に重要です。
世界で一番の、素晴らしい広告題材がTikTokにはあります。しかし広告が全く注目を引くものでなければ、意味がないでしょう。大勢のTickTokオーディエンスは世界中のマーケターにとって喉から手が出るほど欲しい、見込みのある市場です。信頼を失いつつあるFacebook、インフルエンサーが飽和しているIngtagramとは一線を引いた新たなプラットフォームです。
主要なユーザー層
TikTokのオーディエンスは爆増中なだけでなく、社会の若い世代をも魅了しています。Z世代の60%がTikTokユーザーだと言われていますが、なぜこのようなことが起きているのでしょうか?原因の一つとして考えられるのが、これはよく起こる現象なのですが若い世代の人々はより年上の世代がソーシャルメディアプッラットフォームに先入すると離れていくことがあります。この現象はまさにFacebookで起きています。
二つ目は、TikTokはそもそも若い人向けに設計されているという点です。動画は短く洒落たもので、ユーザーのからの関心を短期間で引くことができなければ若い世代は他のソーシャルメディアへと関心が移ってしまいます。若い世代のソーシャルメディアプラットフォームへの関心は高いですが、彼らはできるだけ早く労力に価するリターンを得たいと考えています。興味がもてるようになるまで待つようなことはありません。わずか数秒で判断するのです。
これは若い人たちだけでなく、私たち世代も一般的にビジネスにおいて相手のことを7秒で判断することが調査によって明らかになっています。Z世代はスナップジャッジメントに頼るだけでなく、コンテンツの消費となると年上の世代より間違いなく熾烈な競争を繰り広げています。
調査によると、”利用と満足理論”がZ世代のTikTokへのモチベーションを説明するキーになると示唆しており、それは#チャレンジです。この理論によるとユーザ自身がソーシャルメディアを探したり、利用するという積極的な役割を果たすと仮定しており、TikTokではこの当事者意識がプラットフォームのあらゆる場面に焼き付けられています。
TikTokというプラットフォームが若い世代にとって幅広い魅力があるのは明白です。Z世代層は世界で一番多く、世界人口の32.5%を構成しておりますがマーケーターは購買力のない彼らをなぜターゲットにしようとするのでしょうか?これは、早期から売り出すことで数年後にZ世代へのマーケティングが容易なものになるからです。
信頼性
マーケット調査会社のAttestによると、信頼性がソーシャルメディアを際立たせるものであり、コアバリューになるとTickTokチームが述べているとのことです。この主張は疑わしいものでもありますが、確かにTikTokは信頼性により数多くの競争相手を差し置いて一線を画しました。
数秒おきに投稿されるInstagramには常に誰かの賛同などで溢れており、尊敬する人の投稿ですら押し付けられているような感じがするため疲れます。さらに、豪華なインフルエンサーやライフスタイル – 5星ホテルへの宿泊、完璧な身なり、高価な食べ物は未だInstagramに蔓延しています。
Instagramはユーザーを感動させたり驚かせることに焦点をおいていますが、TickTokのゴールはエンターテイメントです。TikTokの汚点のない評判(最新のソーシャルメディアの大型新人として好評されている)が信頼性を確かなものにしています。
ブランドのTickTok戦力をより良いものにするヒント
TikTokがどのようなものか、その人気の理由、マーケターにとっての魅力について触れてきました。では、どのように成功するTikTok戦略を設計することができるのかについて紹介しましょう。以下、プラットフォームの進化に合わせた継続的設計を実現するためのプロセスです。
ターゲットオーディエンスの把握
他の成功したソーシャルメディアプラットフォーム同様、TickTokは人々を結びつけるために巨大なコミュニティへのテコ入れを行います。それぞれのコミュニティには好み、嫌いなもの、コミュニケーションの方法、冗談などがありますが、まず最初のステップとして優れたTikTokのマーケターはコミュニティについてのそれらを把握する必要があります。
初心者の場合、まず何がターゲットを結びつけるか把握しましょう。それは、ビンテージクローズへの愛着でしょうか?エクストリームスポーツへの情熱でしょうか?世界の絶景を眺めたい思いでしょうか?これらを把握するのはそれほど難しいことではないと思います。ターゲットオーディエンスは他のプラットフォームを使うときの性格とそう変わりないと思いますが、この調査では以前と少し異なった見方での変化がブランドに求められていることを証明しています。
絶景を眺めるのが好きな人たちを例に取り上げましょう。新型コロナウイルスが流行する前であれば、TikTokのフィードを世界の最もエキゾチックな旅行先でいっぱいにしたでしょう。これはとてもInstagram流のやり方と言えます。しかし、新型コロナの影響で世界中を飛び回ることが難しくなった今、行ってみたい場所についての投稿を検討してみてもよいでしょう。例えば、特定のイギリス在住ユーザーにあまり知られいない絶景を紹介してもらうのも一つの方法です。
ターゲットコミュニティについて調査を進める中で、コミュニケーションの取り方、使用するハッシュタグ、反応するコンテンなどの重要な洞察を得ることができます。これらは全てTikTokのマーケティングの取り組みを促進します。コンテンツをガイドする適切な調査なしでは、成果を出すことは難しいでしょう。
オーガニックコンテンツの作成
オーディエンスの好みで固めることができたら、特定のコミュニティに合わせたコンテンツを作成しましょう。雪だるま効果が期待できます。コンテンツを作成すればするほど、コミュニティの好みがつかめるようになり、ターゲットが求めているものを知れば知るほど、よりよいコンテンツを作成できます。それによりエンゲージメントが高まり、フォロワー数も一瞬であげることができます。
一つ覚えておきたいことは、動画を常に面白いものであるようにしましょう。それにより、ユーザーの注目をできるだけ早く集めることができます。必ずしも愉快なものである必要はありません。
“面白い”とは広い意味で主観的な形容詞ですが、例えば美容に関心がある場合、スキンケアの方法についてのビデオはユーザーにとって”面白い”と言えます。野球に興味が有る場合、ナックルボールの投げ方についての動画が人気を集めるでしょう。時間が経つにつれ、Appleのようなビジネスでの優越的地位を実現し、それが人気TikTokクリエイターとの関係作りに役立つことでしょう。
潜在的戦略
・ブランドエフェクト: ブランドは自身でAR広告を制作でき、ユーザーはそれを自身の動画に追加することができます。
・ハッシュタグチャレンジ: 巨大なコミュニティへのテコ入れを行うにはハッシュタグチャレンジが有効です。動画をハッシュタグとともに投稿し、ユーザーにも同じことをするよう勧めましょう。小売業のGUESS社では#InMyDenimキャンペーンを実施、ユーザーにGUESSのデニムを用いてできるだけクリエイティブな投稿をするよう促しました。キャンペーンは6日間にわたり行われ、3740万人ビューを記録しました。
・ハッシュタグチャレンジプラス#Challenge Plus: これは上二つの戦略を合わせたもので、よりブランド認知度向上力が高いものです。Econsultancyによると、ブランドに関する会話をより生み出し、 ユーザー数やユーザーインテントを向上することが可能です。
TikTok広告を制作しましょう
TikTokはただのオーガニックコンテンツの提供だけではありません。他のソーシャルメディアプラットフォームに比べ広告が少ないですが、TikTokの広告配信プラットフォームにはブランドを宣伝するチャンスがあります。
TikTok adsの設定は簡単です:
1. TikTok Adsアカウントの作成
2. キャンペーンの実施
3. ブランドの位置付けとターゲットを定める
4. 詳細を決める (予算、期間、目標など)
5. 動画制作ツールを用いて広告を作る
6. 大勢に向けて公開
これが全てではありません。地域のTikTokオフィスを直接訪ね、広告についての議論を重ねても良いでしょう。例えば、人気TikTokクリエイターと商業的なパートナーシップを結ぶこともできます。インフルエンサーのマーケティングにおいての影響力は周知の事実であり、TikTokも例外ではありません。化粧品のMACは人気のTikTokインフルエンサーと提携し、2019年9月に#YouOwnItというハッシュタグキャンペーンを実施しました。6日間に渡るキャンペーンは635,000もの動画を集め、160万ビューを達成しました。
潜在的戦略:
・トップビュー: アプリを開いた際に最初に目にするトップビューは、ブランドの創造性を表す絶好のチャンスです。
・フィード動画: オーガニックコンテンに加え、 ‘For You’フィードにユーザーごとにパーソナライズ化した動画を投稿できます。 これらの動画は通常ブランドの名前をCTAを伴います。
TikTokのゴールドラッシュを逃さないためにも第一歩を踏み出し、TikTokという潜在市場での目標を達成しましょう。