私たちは2,000人のカスタマーエクスペリエンス(CX)のプロたちを対象にCX戦略、メソッド、第一目標、そして障害になっているものについて聞き取りを行いました。私たちが知りたかったのは、優れたCXを実現している企業は、そうでない企業とどういう点において違うのかということでした。
オンラインの調査ツールPollfishを使ってアメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、EUのCXのプロたちに彼らの会社が成功したCX戦略についての19の具体な質問をしました。
CXを十分に理解する
調査結果から意味のある見解を得るために私たちはまず回答を得た企業のCXのレベルを、「CXを無視している」、「CXを意識し始めたばかり」、「CXについて知識がある」、「CXに熟練している」の4つに分類しました。
CXを無視している企業:
CXが必要不可欠なものだと認めていない企業。こういった会社はCX戦略の策定や独創的なCXを創ることにおいては努力をしていません。
CXを意識し始めたばかりの企業:
顧客満足度を向上させる必要性を認識している企業。CXに関する問題を特定して測定するための基本的な手順は用意されていますが、戦略は明確ではありません。
CXについて十分な知識がある企業:
顧客に高品質の体験を提供するために努力している企業。明確なCX戦略を採用し、結果を測定するためのプロセスを確立しています。
CXに熟練している企業:
顧客体験に関して徹底した努力をしている企業。CX戦略があらゆる業務に組み込まれていて、お客様からのフィードバックを戦略と意思決定の中核とし、お客様の要求を満たすためにCXのプラクティスを継続的に繰り返しています。
私たちの調査ではCXに熟練している企業と分類された会社はわずか12%でした。続いて38%が「CXについて十分な知識がある」40%が「CXを意識し始めたばかり」10%が「CXを無視している」という結果でした。
この記事でご紹介する結果から分かるのは、それぞれの企業のCXを率いる立場の人々がそれぞれ異なる方法で物事を執り行っているということです。優先事項、客観的に自社を捉える視点から顧客体験戦略を実行する方法にいたるまで、「CXに熟練している」とされた企業は他の企業が得ていない何かを持っていることは確かです。
2019年、他者との競争において優位な立場を維持したいと思う企業にとっては注目すべき点ではないでしょうか。
CXのリーダーは他の何においても優れたCXを提供することを最優先するべき
CXに熟練している企業は優れたCXを提供することに焦点を当てています。純利益を上げることよりもです。
調査結果の一部を紹介します。
「最も優れたCXを提供することがCXイニシアティブの第一目標である」
CXに成熟している企業:37%
CXについて十分な知識がある企業:21%
CXを意識し始めたばかりの企業:18%
CXを無視している企業:19%
熟練度が上がるにつれて顧客を獲得することへの注力が減っていきます。
「顧客獲得が企業の第一目標である」
CXに成熟している企業:9%
CXについて十分な知識がある企業:12%
CXを意識し始めたばかりの企業:15%
CXを無視している企業:16%
売り上げや純利益についてもそれを第一目標に挙げる熟練企業は少ない結果になりました。
「売り上げや純利益向上が企業の第一目標である」
CXに熟練しているの企業:12%
CXについて十分な知識がある企業:19%
CXを意識し始めたばかりの企業:19%
CXを無視している企業:14%
「全ての会社に勧めたいことは、何の業界であっても顧客に固執するということです。顧客の要望、何に悩まされているか、フィードバック、こういったことに固執することは成長にしか繋がらないはずなのです。
自分の顧客について知る一番簡単な方法は定期的に顧客と話すことです。電話をかけたり、お茶をしながら話したり、サポートの受信箱のものを徹底的に見るなど、毎週顧客を知るためだけの時間を設けましょう。
一度顧客のことをよく知れば、顧客の立場になって考える能力が付きますし、結果として顧客満足度を向上させることができます。」
CXのリーダーは古典的なメソッドに重点を置いている
CXのイニシアティブを得ている企業は、それに成功していない企業に比べて顧客との直接対話、優れた人材の採用、市場調査などの古典的な方法を優先しています。実際、成熟企業の約2/3はCX戦略を成功させるための一番信頼の置ける方法としてこれらのメソッドを実践しています。
そしてCXに熟練している企業は、成功していない企業に比べてチャットボットや予測分析、ARなど、過度の宣伝手法に頼ることがはるかに少ないことがわかっています。
言い換えればCXに熟練している企業ほどすぐに新しいことに飛びつくのではなく、結果をもたらすとわかっている堅実なメソッドに集中し続けています。
CX戦略を実現するのに最も大事なメソッドは?というアンケートの結果です。
「お客様の声」
CXに成熟している企業:27%
CXについて十分な知識がある企業:22%
CXを意識し始めたばかりの企業:18%
CXを無視している企業:20%
「優秀なチームを持つこと」
CXに成熟している企業:24%
CXについて十分な知識がある企業:27%
CXを意識し始めたばかりの企業:17%
CXを無視している企業:12%
「チャットボット」
CXに成熟している企業:2%
CXについて十分な知識がある企業:3%
CXを意識し始めたばかりの企業:5%
CXを無視している企業:11%
「予測分析」
CXに成熟している企業:11%
CXについて十分な知識がある企業:17%
CXを意識し始めたばかりの企業:14%
CXを無視している企業:17%
カスタマーフィードバックはCX戦略を成功に導く最大の推進要因
企業がCX戦略を実行する上で重要なのことは直接的な顧客フィードバックを収集することだけではありません。フィードバックは、最初に戦略を作成するための構成要素でもあります。
CXに熟練している企業のほぼ半数が、お客様からのフィードバックがCX戦略全体の主な推進要因であると回答しています。これはCXを無視している企業とは対照的で、CXを無視している企業のうち同じ回答をしたのは5社に1社でした。
実際、CXを無視している企業の3社のうち2社は、市場動向、業界のベストプラクティス、HiPO(高額報酬者の意見)、直感のいずれかに基づいて戦略を立てています。
CXを無視している企業の顧客満足度戦略の推進要因
市場動向:20%
HiPO:17%
業界のベストプラクティス:17%
CXに熟練している企業の顧客満足度戦略の推進要因
市場動向:9%
HiPO:12%
業界のベストプラクティス:12%
こういった要因は熟練度が上がるにつれてパーセンテージが落ちていることが分かります。
「直感が顧客満足度戦略の推進要因である」
CXに成熟している企業:3%
CXについて十分な知識がある企業:4%
CXを意識し始めたばかりの企業:7%
CXを無視している企業:11%
「企業の皆さん聞いてください。
私は単にアンケートを送って結果を分析すべきだといっているのではありません。私が話しているのは、実際に電話応対をしたり顧客と会う時間を設けたりして顧客に彼らの問題や懸念について話す機会を与えるということです。
会社立ち上げの段階であれば特に、こういったことを実行することで優れた製品を構築するのに顧客の声がいかに重要かがわかるはずです。
次にこの方法論を使用して、セールスからカスタマー・サポートに至るまで、ビジネスのあらゆる側面に適用し、お客様に決して忘れないエクスペリエンスを提供します。これを正しく行えばすぐにでも顧客の信頼関係の基盤を築くことができます。」
企業がCXの目標を達成する上での最大の障害は従業員の知識とトレーニングの不足
どの熟練レベルにおいても、従業員の知識とトレーニング不足は目標達成の障害になります。しかしながら熟練の企業の3社に1社は「CXの目標を達成するための障害はない」と回答しています。これは十分な知識がある企業の5倍で、始めたばかりの企業、無視している企業の10倍です。
「従業員の知識不足、トレーニング不足が最大の障害である」
CXに熟練している企業:10%
CXについて十分な知識がある企業:17%
CXを意識し始めたばかりの企業:14%
CXを無視している企業:14%
熟練の企業だけが10%だったものの、どのレベルにおいても最大の障害としてあげられました。
「他者と競争することが最大の障害である」
CXに熟練している企業:15%
CXについて十分な知識がある企業:15%
CXを意識し始めたばかりの企業:14%
CXを無視している企業:8%
「リーダーシップの欠如が最大の障害である」
CXに熟練している企業:2%
CXについて十分な知識がある企業:4%
CXを意識し始めたばかりの企業:7%
CXを無視している企業:11%
成熟度が上がるほどリーダーシップが問題にならなくなるのも注目すべき点です。
顧客にとって対応を待つ時間が一番ストレスを感じる
CXイニシアティブを得ているどんな熟練した企業においても、顧客に適正な時間内で返事を返すことには苦労しているようです。全体として、企業からの対応を待つ時間が最も顧客にストレスを与えているということが分かりました。
「最も顧客にストレスを感じさせているのは対応を待たせる時間だ」
CXに熟練している企業:20%
CXについて十分な知識がある企業:20%
CXを意識し始めたばかりの企業:20%
CXを無視している企業:22%
「従業員の失礼な態度が最も顧客にストレスを感じさせている」
CXに熟練している企業:3%
CXについて十分な知識がある企業:5%
CXを意識し始めたばかりの企業:9%
CXを無視している企業:17%
「顧客はストレスを感じていない」
CXに熟練している企業:32%
CXについて十分な知識がある企業:13%
CXを意識し始めたばかりの企業:7%
CXを無視している企業:4%
この顧客体験調査はHotjarによって行われました。Hotjarはユーザー体験の改善に焦点を当てたマーケティング、デザイン、製品チームのために作られた行動とフィードバックのツールです。