・MITの研究者は、ディープラーニングを駆使し、暗闇の中で物体の姿を明らかにしました。
・この技術を使えば有害な光線や強い光にさらされることなく生体細胞や組織を画像化することができるようになります。
あらゆるイメージングシステムは、歪みや一部の画像のみ画像化されていました。これは位相情報の欠如、空間周波数の喪失、照明のノイズ、光学トレインの散乱体らが主な原因です。
ここ数年、計算イメージングの分野でディープラーニングと呼ばれる機械学習技術が大きな注目を集めています。
ゴーストイメージング、補償光学、適応照明顕微鏡、位相回復、光トモグラフィー、アンダーサンプリングイメージングなど、さまざまなアプリケーションで有効なソルバーであることが証明されています。
MIT研究者のチームは、あらゆるレベルの高ノイズから影響を受けるコヒーレント(波動が互いに干渉しあう性質を持つこと)の位相回復問題を解決するため、ディープディープラーニングを使用してシンプルな言語で、完全な暗闇の中で物体の姿を明らかにすることに初めて成功しました。
これは、GoogleのスマートフォンであるPixel 3に見られるような既存のAIベースの「ナイトモード」技術とは大きく異なります。
「ナイトモード」技術はノイズの多い画像をいくつかキャプチャし鮮明な写真を生成できますが、最初に少量でも光が必要になります。一方、MITの技術は、完全に暗い部屋で実現します。ピクセルごとに必要なフォトンは1粒のみです。
その方法とは?
研究者たちは最初に、ほぼ真っ暗な状態でターゲットとなる物体の写真を撮りました。次に、この写真からディープラーニングを使用し透明な物体を再構築することにしました。
これは、人間の目には見えないような暗くて粗い粒子の画像を10,000粒以上のガラスからなるエッチングが見えるかのように訓練するものです。
暗い部屋で撮影された写真自体は、テレビでも見られるような静的ノイズのように見えます。ディープラーニングは、視覚ノイズ下の対応するパターン画像により訓練されていきます。
ネットワークは次第に視覚的なノイズが意味をなすと学習するようになります。そしてぼんやりとした画像が生成されます。写真をより明瞭にするために、チームは出力に焦点を合わせレイヤーを追加していきました。
コーテシーオブリサーチャーより
上の画像では、透明なエッチング(右端)から生成された暗い画像(左上)を見ることができます。研究者たちは、光加減に基づく物理アルゴリズムを使用して、物体を再現しました(右上)。
ディープラーニングにより、かなりぼやけた画像が作成されました(左下)。物理アルゴリズムとディープラーニングの両方を組み合わせて、実際の物体や場面の最も正確な画像(右下)を再構築しました。
この技術はどのようなことに応用できる?
AIを使い、真っ暗な中で撮影された写真の中で、生体細胞や組織などの見えないものをはっきりさせることができます。
細胞が強い光にさらされると、簡単に焼けたり損傷したりする細胞があり、その場合、画像化するものは何も残らなくなります。また、患者がX線にさらされると、癌を発症する可能性があります。
この研究は、そのようなケースで役立つことでしょう。研究者は、細胞や組織をできるだけ少ない光子に晒した場合も、同じ画質を得ることが可能になりました。これにより、生物学的標本をサンプリングする際の損傷が大幅に減少します。さらに、この技術は、天体画像の分野にも応用できる可能性があります。