民泊サービスの負の側面
目先は東京五輪に向けて、Airbnbを筆頭に「民泊サービス」が宿泊施設不足を補う救世主として報道されることが多いですね。
ですが、万物は表裏一体。こうした「民泊サービス」が実際に稼働し始めると、その「負の側面」も徐々に明らかになってきます。
例えば観光先進国フランスだと、やはりAirbnbの上陸で数々の民泊サービスを提供するパリの人々が続出したそうですが、その中に賃貸物件のオーナーも参入し始めたのが問題となりました。
ごくごく単純化して説明すると、オーナーが所有する部屋を民泊サービス用の物件に切り替えることで、パリにある賃貸物件自体の総数が少なくなってしまいます。そうなると賃貸物件の希少性が高まるので「賃料」が高騰することになり、パリの賃貸物件に住まう住民たちが割を食うことになるという構図です。
そして「民泊サービス」が産声を上げた日本でも、早くも負の側面が指摘され始めています。現在日本で問題となっているのは、迷惑民泊提供者や違法民泊提供者。
民泊サービスの提供には「簡易宿泊施設」としての届出が必要ですが、事実上の無届営業が蔓延しているのは報道のとおり。また近隣トラブルもお構いなしに賃貸契約している物件を民泊サービスとして営業している(又貸し)提供者も問題となり始めています。
民間による自浄努力はじまる
こうした迷惑・違法業者の排除を目指して、株式会社オスカーから「民泊ポリス」という全国初の第三者サービスがリリースされました。
「民泊ポリス」
民泊ポリスの仕組みは下記です。
1.一般市民から民泊提供者の情報を「通報」として受付
2.運営側が各民泊サービス内で情報を精査しアカウントを特定
3.運営側が管理会社・物件オーナー・保健所に連絡
こうした迷惑・違法民泊提供者のネックは「発見・特定」が難しいこと。行政側はどこの家屋で民泊サービスが提供されているのかの把握は難しいですし、また民泊サービスのプラットフォームを提供している運営者にしてもそれは同じです。
そうした「発見・特定」の難しさを「通報」という手段でもって補おうとするのが同サービスの狙いとなります。
同サイトを見ると、6月9日現在で25件の通報を受け8件の特定に至っているようです。
今後の民泊サービスの発展のためには「行政からの法規制」という形で規制がかかってしまうと、産業にとって大きな足かせとなります。そのため、こうした民間の第三者機関による自浄努力に期待されるところは大きくなるのではないでしょうか。