AIは人間が情報をインプットすることで、なすべき仕事を行います。
どんな人工知能もインプットなしでは何もできません。
このインプット作業を大幅に削減する技術をGoogle DeepMindが発表しました。
今年の春先、世界トップレベルの囲碁棋士イ・セドル氏に圧勝し、衝撃の登場を果たした人工知能「AlphaGo」を覚えているでしょうか? そのAlphaGoをつくったスタートアップこそDeepMindです。Googleの傘下に入ってからも、Google DeepMindとしてAI技術の開発を精力的に続けています。この度、DeepMindはAIにとって大きなステップアップとなる画期的な技術を発表しました。
DNCと呼ばれるそのシステムについて、「このAIは、ニューラルネットワークのようにサンプルから学習すると同時に、複雑なデータをコンピュータのように保存することも出来るのです」と、DeepMindの研究者は説明しています。彼らが開発した次世代のAIは、従来のコンピュータが持つデータ保存機能とニューラルネットワークによる機械学習機能の両方を持っているとのことです。
なんでも、従来のAIが問題を解決するときには、毎回問題ごとに人間がデータをインプットする必要があったそうなのですが、DeepMindが開発したAIは「似たような問題」であれば、AIがこれまでの情報を参照して自分で解決することができるらしいのです。記憶をたどれるAIの誕生です。
DeepMindチームからは次のような2つの事例が紹介されています。
1.家系図の関係性をひとつひとつ教えたところ(AとBは親子、CとDは姉妹など)、全ての関係性を構造化し新しい情報を入力しても理解した。
2.ロンドンの地下鉄システムの基礎知識を与えただけで、すぐに次に追加すべきルートを導き出し、それぞれのルート同士の複雑な関係性を理解した。
AIは今回ロンドンの地下鉄について学習しましたが、そのデータを保持する機能を持ったことで、世界中の地下鉄のについても同様にルート分析することが可能ということです。このシステムはAlphaGoにも搭載され、何百万通りの駒の動きを学習し、保存することで、次なる一手を考えられるそうです。
DeepMindが正式にこの新しいシステム「DNC」を発表したことで、AI業界にとっては大きなターニングポイントになるかもしれません。AIが人間のように思考する日も近くなったかもしれませんね。
この記事は「Google’s ‘DeepMind’ AI platform can now learn without human input」を翻訳・参考にしています。