グラフィックデザイン業界に長年いらっしゃる方も、横のつながりがあるようなないような、なのがクリエイティブ業界。「ぶっちゃけ他社のグラフィックデザイナーって、教育/収入/男女スタッフ間の違いなど、どうなってるの?」という声に首をかしげる方も多いのではないでしょうか?
実際日本でもグラフィックデザイン業界はもとより、デザイン業界全般でさえ状況を調査したレポートは0に等しいので、あくまで「噂レベル」から想像するよりほかにありません。
そんな中、海外のグラフィックデザイナーであるLucienne Roberts氏とRebecca Wright氏が米国と英国の2,000人のデザイナーにアンケートを実施。そしてそのアンケート調査結果をまとめ、「Graphic Designers Surveyed」という名で書籍化しました。
同書の中から、気になる箇所をいくつかピックアップして見ていくことにしましょう。
米・英グラフィックデザイナーの気になる収入面
まずは気になる「収入面」ですが、54%のグラフィックデザイナーが「年収330万円以下(税引前)」だそうです。2015年の日本全体の平均年収が「440万円」であることを考えると割安感がありますが、今回の回答者の85%が「40歳以下」であることを考えるとめちゃくちゃ安いというわけでもないかもしれません。
しかし一方で、「現在の収入でやりくりしていくのは厳しい」と回答したデザイナーが、英国18%、米国10%いるのは留意が必要です。
また「自分のパートナー(恋人or配偶者)に比べ収入が低い」と回答したデザイナーが概して多かったこと。さらに「自分のパートナーと比べ労働時間が長い」と回答したデザイナーが多かったことを考えると、グラフィックデザイナー業は収入を時給換算すると、ほろ苦い数字が出てきそうな可能性が高そうです。
ただし「収入が増えるならもっと長時間働く」と回答したデザイナーが約8割にのぼったのはなんとも体育会系的・・・?
米・英グラフィックデザイナーの気になるスキル面
続いてグラフィックデザイナーの仕事面に関する意識ですが、現在の仕事上で自分の成長につながるスキルを聞くと、
・コーディング・・・25.4%
・セルフプロモーション・・・11.5%
・仕事上のネットワーク・・・9.4%
・アートディレクション能力・・・8.5%
の上位4つが過半数を占めました。1位に「コーディング」が挙げられているところを見ると、Webの世界にも活躍の場を求めているグラフィックデザイナーが多いということなのかもしれませんね。
また「グラフィックデザイナーの仕事で最も活かせるもの」として、男性デザイナーは「長時間労働に耐えうる体力」を挙げる回答者が多かったのに対し、女性デザイナーは「知名度」と考える傾向があったようです。
米・英グラフィックデザイナーの気になる仕事環境
最後に「環境面」についてですが、48%の女性グラフィックデザイナーが「グラフィックデザイナー業界は男社会」と回答したようです。
これは長時間労働の体力勝負ということもありそうですが、英国では男性デザイナーは女性デザイナーよりも6倍収入が多いという収入面にも表れていそうです。
今回の調査では、「仕事がキツくて収入面もタイト」なグラフィックデザイナー業界の実態が垣間見えそうです。そもそもデザイナーは高校・大学や専門学校等でデザインに関する専門教育を受けている人が大半だと思いますが、そうした専門性の高さの割に収入面の物足りなさはやはり否めません。
しかしその一方で、55%の回答者がこの業界に身をおいて「とてもハッピーだ」と回答し、また85%が「友人に専門職としてオススメしたい」とも回答しています。
ニッポンのグラフィックデザイナーの皆様の目には、これらの結果はどう映るでしょうか?
※本記事はGraphic Designers Spill Their
Career Secrets in Infographicsを翻訳・編集したものです。