先月20日にベータ版がリリースされた「wBuyBuy(ダブリューバイバイ)」。
同サービスは「誰でも簡単に世界に売れる!」の言葉通り、世界中の一般ユーザー/企業が「wBuyBuy.com」というひとつのドメイン上に集い、ECビジネスを行える画期的なWebサービスです。
(参考記事)
世界中のエンドユーザーと商取引ができる「wBuyBuy.com」には夢がテンコ盛り!
https://seleqt.net/service/wbuybuy-ec-platform/
今回はご縁があり、「wBuyBuy」を運営する株式会社SSQQBのみなさんとお会いする機会に恵まれましたので、お話を聞かせていただきました。
(以下、話し手は同社CEO張氏)
「wBuyBuy」を運営する「SSQQB」について
――まず「SSQQB」のメンバーとはどんな感じで知り合われたのでしょうか?
私は約12年前に中国の高校を卒業して日本に留学しました。2年間、語学学校に通って大学に入ったのですが、入学したその日に席が同じだった弥谷(COO)と出会って、その時からずっとITサービス一筋で一緒にやっています。
また在学中に「国際文化交流サークル」を弥谷と共に作り、いろいろな国籍を持った留学生のメンバーが集う場所で、このサークルがグローバルなメンバーが揃う「SSQQB」の基盤となっています。
そうした色々な国の留学生と私たちが持っているIT技術が合わさって、ある意味自然な流れで「国際的なサービスを作る」という発想につながりました。
――張氏(31歳)、弥谷氏(28歳)、細川氏(25歳)とみなさんお若いですが、普段はどんな感じで働いてるんですか?
会社自体は8年目になりますが、wBuyBuyは昨年11月にα版リリース、先月の7月にプレスリリースしたばかりということもあり、今がとても重要な時期だと考えております。ですので、現在は朝から晩まで休日も関係なく働いているような状況ですね。
また、週に数回はオフィスで国際交流サークルの集まりがあり、日本人はもちろん、中国人や韓国人、欧米人、台湾人など幅広く交流し、英語や中国語などが行き交うような環境です。時々、その留学生の親御さんが子どもを連れ立って来られるので、子どもと将棋で遊んだりもします(笑)。オフィスの一部では英会話をやって、反対側ではプログラミングやっている、という「オープンオフィス」のような雰囲気ですね。
(写真は左より、マーケティング&セールス細川 亮氏、CEO張 永強氏、COO弥谷 圭朗氏)
グローバルSNS「wewowe」について
――「wBuyBuy」以前はどんな事業をされていたのでしょうか?
起業当初、システム開発や英会話サービスを行っていました。そして、2014年に「WeWoWe(ウィーウォーウィー)」という夢を共有し合うグローバルSNSを作りました。
【WeWoWe】
このサービスは各国のユーザーが自身の夢なり希望なりを書きこんで、お互いに応援しあうSNSです。例えば、弊社の弥谷が「明日6時半に起きたい」という目標を書き込んだとします。一方で私は弥谷の「ヘルパー」になってあげることができ、当日の6時半になっても完了の報告がない場合は「ヘルパー」全員にシステムからメールが飛び、弥谷の6時半に起きるという目標が叶うまで応援、支援することできます。
このSNSの面白いところは、投稿に翻訳をつけることができる点です。日本語のみの投稿に対してアメリカ人が英語で翻訳を加えたり、他の言語で翻訳を加えたりすることで、海外のユーザーも応援に参加することができます。そして、その人の「夢」が叶うと、ヘルパーには「サンクスボタン」を押すことができるのですが、ユーザーは何人から感謝されたか、どれだけの人の役に立てたかを数値として見ることできるようになります。
また、我々の事業としては3つの柱でやっていきたいと考えています。
1つ目は、先ほどの「WeWoWe」です。このサービスでグローバルにユーザーの「心をつなげる」。2つ目に、グローバルオンラインショッピングプラットフォーム「wBuyBuy」。このサービスで「ビジネスをつなげたい」。3つ目に、「wSurpass」です。これはまだ将来的な話になりますが、このサービスで「世界の情報をつなげたい」と考えています。“情報格差”の言葉に代表されるように、今の世界ではまだまだリアルタイムに言語を超えた情報が届いていない現状です。そのため、国境を越えて各国の情報を各国へ届けていきたいです。
――「wewowe」をはじめるきっかけみたいなものがあったのでしょうか?
大学の1時間目の授業って欠席する生徒ってすごく多いじゃないですか。だから1時間目にある授業の単位を落としてしまう人が多かったり、授業に出ても半分くらいの学生は寝ていたりしたのですが、「なぜ中学・高校まで真面目に学校に行っていたのに、大学になったらそうなるのだろう?」と。
でも、よくよく考えてみたら中国の高校の場合だと、授業に出ていない生徒には先生から家に電話連絡がいくんです。つまり、「見張られている」からだと(笑)
当たり前ですが、大学の場合はそんなことをしてくれません。だから「自分の目標を書き込んで、ちゃんと達成するまでみんなに応援してもらう」というシステムを作り、そこに私自身の留学経験も紐付き、「心をつなぐ」というコンセプトで「WeWoWe」ができました。
「wBuyBuy」について
――「wBuyBuy」はどれくらいで開発されたんですか?
去年の年末に「wBuyBuy」のα版を出して、先月7月20日にβ版を出すまでに2年4か月の開発期間がありました。
最初のα版はデザイン、システム、サーバーなど全部私が行いました。α版リリースしてから、wBuyBuyの国際送料の充実、機能充実やスマホ対応は弥谷が担当しました。
――「グローバルショッピングプラットフォーム」というスケールの大きいアイデアはどうすれば思いつけるのでしょうか?
私は留学生として日本に来て、日本人の友人もたくさんいて交流してきたからこそ、日本のことをよく理解しています。しかしながら、そういった国際間の交流がない日本人や中国人、世界各国の間には誤解もたくさんあると思います。
例えば、日本での人気のあるSNSを、中国では使いません。日本人も中国発の「微博(Weibo)」などのSNSサービスは利用しません。日本人と中国人のネットユーザーが一緒に見るものと言ったらYahooの「政治ニュース」くらいだと思います。でも、今の日中間の政治ニュースにはあまりいいニュースがありませんよね。
そうした意味から「政治ニュース」というフィルターを通していない、生の人間同士の交流って実はあまりないのが現状です。実際、日本に来てから日本人と話をしたり、飲みに行くと、もちろんですが良い人は多いですし、また「日本人が中国に行ったら石を投げられる」なんて言いますけど、そんなことはありません。そういった誤解が多いのは単に「交流」がないからだと思います。
日本国内においても「関西人は関東人を嫌う」ということがたまに言われますが、本当に戦ったりはしませんよね。それって、この両者には日常的な交流があるからだと思います。
もちろん中国と日本は言葉の壁などもあるのですが、こうした「交流」ができるサービスがないのも一つの原因だと思います。だから、「wBuyBuy」のようなグローバルなサービスを通じて世界各国の個人間で交流が生まれ、さらには世界中の交流が加速すればいいなと思ったのがアイデアの源です。
――日本にも中国にもアメリカにもそれぞれのECショップやECモールがあると思うのですが、それら既存のサービスと「wBuyBuy」はどう異なるのでしょうか?
例えば、日本人、アメリカ人のECサイトのオーナーが中国になにか売りたいとすると「Taobao(中国のCtoCショッピングモール)」に出店することになりますが、中国に銀行口座が必要だったり、住所がないといけないなどの制約があります。
あと、「Taobao」には日本語のメニューがありませんし、日本人と中国人はアメリカの「Amazon」や「eBay」で出店するにしても、やはり英語のハードルは高いです。しかし、「wBuyBuy」は、現在92カ国語に対応していますし、ショップオーナーのための自動/手動翻訳機能もあります。また、無料出店、無料出品と初期のハードルを下げ、決済手段も50種類対応していることで世界中から購入することができます。
また、言語や決済方法以外にも根本的なポイントは、一つのサービスで「世界を繋いでいるかどうか」という点です。例えば、FacebookやYouTubeでは一つのドメイン上で世界の人々が交流していますが、ECの世界ではまだそういったサービスはありません。そういった背景から、我々はECの世界において、一つのドメイン上で世界中の人々が商品の売買、交流ができる場所、「wBuyBuy.com」を作りました。
FacebookやTwitterなどのSNSの登場で情報が個人間を行き来しあうようになり、マスメディアの役割も変わったように、各国のメーカーから、各国のエンドユーザーに直接販売できるようになれば、商社や仲介業者も挟む必要も減ってくるかもしれません。
――「wBuyBuy」のようなグローバルプラットフォームだと、そうした「仲介業者」を挟む必要がなくなると?
最終的にはそうなります。そちらのほうが世界のビジネスは効率的になりますよね。日本でシャープペンシルを買うと120円ほどしますが、そのほとんどは中国で作られたものです。でも中国では同じものが20円ほどで買えるんですよ。
これを世界のユーザー間で「直に」取引できるなら、すごく効率が良くなり、両者にとってメリットがありますよね。
――まさに革命的なサービスですね。現在「wBuyBuy」は何カ国ほど進出していますか?
現在、主に出店しているのは、日本、中国、そして英語圏のユーザーです。今後、さらなる営業活動、宣伝PRなどによって出店者を増やしていきます。
――最終的には全世界の国のユーザーが「wBuyBuy」に集うのでしょうか?
その未来を目指しています。現在も、計83カ国からアクセスを頂いている状態です。すべての国のユーザーが使用する一つのプラットフォームとなることで、全ての国をつなげたい。ただ、我々のサービスだけが生き残るという意味よりも、既存のAmazonやeBayなどの大手ECサービスと共生していけることが理想です。世界を一色に染めるのではなく、様々な色が輝いているような多様性ある未来を夢見ています。
Facebook.comやYouTube.comがひとつのドメインで世界を繋いでいるように、「wBuyBuy.com」もひとつのECプラットフォームで世界をつなげることが目標です。
――「wBuyBuy」を海外に広めていく上でプランはありますか?
これまで海外進出できている企業ってほとんどが大企業です。でも日本や中国のように「モノ作り」が盛んな国の中小企業はほとんど海外に進出できていません。
いま日本ではインバウンド(訪日観光客)ブームが起こっていますが、海外の一般ユーザーは日本で購入した「いいモノ」をもう一度買いたいと思っても自国に帰ってからアクセスできませんし、また日本の「いいモノ」を仕入れて自国に広めることもほぼできません。
訪日観光は1回きりで終わってしまっているのがほとんどかと思います。こうした非効率な部分を解消し、自国に帰っても購入出来る場所があれば企業や出店店舗にとってもリピーターの獲得へ繋がります。まさしく、「オンラインインバウンド2.0」が実現しますね。
このように現在は日本、中国や欧米圏でマーケティングを行いながら、各国のいいモノを作っている中小企業を海外にアピールしていけば、様々な国に進出できる足がかりになると思います。
――かなり大きな目標ですよね?
アリババやAmazonが「インターネットでモノを売る」というECを始めたのが15年ほど前です。15年ほどかけてそれまでの「インターネットなんかでモノが売れるの?」と言われていた状況を変えました。我々もどれだけかかるかわかりませんが、初めから世界を目指す個人や企業を増やし、「グローバルが当たり前」という価値観を作っていきたいです。
――「SSQQB」の企業理念には、自社の「営利蓄財」ばかりを優先する企業のあり方とは異なる「社会に貢献」する責務を負った企業像のビジョンが掲げられていますが、具体的に教えていただけますか?
SSQQBのSSはSunShineの頭文字をとっており、QQは中国語で強(強い)という意味があります。Bは中国語で邦を意味し、太陽のように温かくて、力強い組織体でありたい、かつ太陽のように周りに優しい光を届ける存在で在りたいという思いを込めています。
実はこの「SSQQB」の理念は高校生の時からすでに考えていました。ビジネスモデルなどの構想は当時まだはっきりしていませんでしたが、優秀な人たちを集めて社会貢献したいとずっと思っていました。
歴史を振り返ると、日本や中国もかつてはたくさんの小国がありましたが、各国の交流が広がっていき、やがて1つの国としてつながりました。また大航海時代にはヨーロッパの人々がアメリカ大陸を発見してつながったりもしています。そして、今後人類は宇宙にも広がっていくかもしれません。でも、同時に「ひとつになる」過程で、争いも起こっています。
歴史として世界は、「広がる→争い→ひとつになっていく」を繰り返していくのだと思います。この「ひとつになっていく」課程で、「交流」をもっと生み出すことができたらトラブルや争いを防いで、そのプロセスをスムーズにさせるかもしれない。
僕たちの事業はこうした「交流」を生み出すことを通して、社会に貢献できると信じています。
インタビューを終えて
実際にお会いしてみると、「ビジネスで世界をつなぐ」という非常にスケールの大きい「wBuyBuy」を開発・運営する張氏はざっくばらんで気さくな話しぶりながら、パワフルで情熱溢れる印象でした。また同氏を支える細川、弥谷両氏もまさに一丸となっていて、非常にいい雰囲気のチームであることがうかがえました。
今後世界のEC市場にとてつもない変革をもたらす可能性を秘めた「wBuyBuy」ですが、その動向には注目が集まりそうです!
「wBuyBuy」