dinosaur:ダイナソー(恐竜:正確にはDinosauria)という言葉は1842年にイギリスの古生物学者リチャード・オーウェンによって作られた。ギリシャ語の爬虫類やトカゲを意味する”deinos(デイノス)”という単語が由来である。
現在分かっている限りでは、恐竜は今から2億4000万年前のトリアス紀後期に出現し、6500万年前に絶滅した。
恐竜は分類学的、形態学的、生物学的観点から様々な動物に分類される。恐竜について知れば知るほど、生物学的・形態学的に多様であることが分かる。
今までに約700種、300属以上が確認され命名されている。しかし研究者によると未だ多くの種が発見されていない。以下、いくつかのタイプを挙げている。
恐竜はサウリスキアとオルニスキアに二分される。
サウリスキア(竜盤類)
竜盤類は爬虫類(トカゲ)のような骨盤構造を持っている。竜盤類はさらに獣脚類と竜脚類に分けられる。獣脚類は三つ指と中空骨が特徴的である。現在の鳥類は獣脚類から進化したと考えられている。
一方で竜脚形類はより大型で尾と首が長く、二本足ではなく四本足での歩行が特徴である。
ティラノサウルス
カーネギー自然史博物館のティラノサウルスの標本
属:ティラノサウルス
科:ティラノサウルス科
ティラノサウルス(T-Rex)は最も有名な恐竜だろう。化石から、頭から尾までの長さは12mを超え得ると想定されている。
T-Rexは動物界の中で最強の咬合力を持ち、他の恐竜を効率的に狩ることができる。ピラミッドの頂点に立つプレデター(捕食者)か、純粋なスカベンジャー(腐肉食者)であるか、古生物学者たちの間で未だ意見が分かれる。
最も小さいT-Rexの部分標本(LACM 28471)の分析によるとその個体の体重はたった30kgであるが、一方で最大の個体(FMNH PR2081)は優に5600kgを超える。
ヴェロキラプトル
コロラド州フルータの恐竜歴史博物館にあるヴェロキラプトルの骨格展示
ヴェロキラプトルは白亜紀の後半に存在した獣脚類に属する恐竜である。今のところヴェロキラプトルはV. mongoliensisとV. osmolskaeの二種類しか確認されていない。
ヴェロキラプトル(略称はラプトル)は映画『ジュラシックパーク』シリーズに登場した後、人々の関心を集めた。映画のイメージと反するかもしれないが、ヴェロキラプトルは中型恐竜だったのだろうか?成体標本の体長は約2.5mである。おそらく体重は15~19kgの範囲だろう。
モンゴルで発見されたヴェロキラプトルの化石を分析していた際に、研究者たちは前腕の後ろに羽の跡があるのを見つけた。ヴェロキラプトルは飛べないが、羽があったことは確かである。独特な爪は獲物の骨や内臓をえぐりとるために使われたと考えられている。
スピノサウルス
ジャパンエキスポでのスピノサウルスの骨格標本
科:スピノサウルス科
時期:白亜紀
スピノサウルスはギガノトサウルスやティラノサウルスに匹敵する、最大の獣脚類である。
スピノサウルスは過度に伸びた脊椎骨による独特のこぶ(または帆)のような脊椎構造が特徴的である。背中の神経棘はとても高く、少なくとも1.65mはあると推測される。その棘が何のためにあるのかはまだよく分かっていないが、専門家の説には、熱の遮断やエネルギーの貯蓄などがある。
スピノサウルスの化石が最初に発見されたのは1912年、西エジプトの発掘調査中であった。しかし、標本は第二次世界大戦で破壊された。スピノサウルスに関する発見の多くは、20世紀後半に発見された化石標本から得られたものである。これまでのところ、2種類しか確認されていない。
アロサウルス
アロサウルス(A.Fragilis)の復元像
科:アロサウルス科
時期:ジュラ紀後期
アロサウルス(トカゲの異種の意)は、約1億5500万年前のジュラ紀後期に地上を闊歩していた、典型的な巨大肉食恐竜である。今日まで最も研究されている恐竜の一種だ。
アロサウルスはステゴサウルスや鳥足類など比較的大型な草食恐竜を狩猟していたと言われている。
カルノタウルス
カルノタウルスの復元模型
科:アベリサウルス科
時期:白亜紀後期
カルノタウルスはアルゼンチンのチュブト州で発見され、南半球で最も研究が進んでいる恐竜の一つである。この恐竜に関する発見の多くはC.sastreiという種の保存状態の良い標本から得られている。
カルノタウルスは他の獣脚類とかなり異なるー短く深い頭蓋骨と目のすぐ上にある角が特徴的である。さらに、小さく短い前肢も特徴だ。唯一復元されたカルノタウルスの標本は、体長7.5~9m、体重は約1350kgであった。
骨に皮膚の痕跡がしっかりとある二足歩行恐竜の化石としては初である。
デイノニクス
フィールド自然史博物館にあるデイノニクスの骨格
科:ドロマエオサウルス科
時期:白亜紀初期
デイノニクスは比較的小型の獣脚類肉食恐竜で、D antirrhopusという名の一種のみが知られている。化石のほとんどがアメリカ西部、西北部から発見されている。
1964年、古生物学者のジョン・オストロムはが実行した調査により1000以上ものデイノニクスの化石が発見された。この調査とその後の彼の発見により、科学者たちの恐竜の捉え方が変わった。
この研究では、非鳥類恐竜の何種かは代謝の高い温血動物であり、冷血動物の爬虫類よりも鳥類にかなり近いと結論付けられている。
成体のデイノニクスは体長3.4cm、体重70kgにもなる。2010年の研究でデイノニクスの噛む力は、8200ニュートンにも達し、ハイエナの噛む力よりもはるかに強いことが明らかになっている。
ブラキオサウルス
科:ブラキオサウルス科
時期:ジュラ紀
ブラキオサウルスは研究が最も進んでいる竜脚類の一つである。ブラキオサウルスの化石は、1900年にコロラド川の谷近くで初めて発見され、何年か後に古生物学者エルマー・リッグスにより記述された。ブラキオサウルスは非常に長い首、不釣り合いに小さい頭蓋骨、短い後肢が特徴である。
ブラキオサウルスは1993年の映画『ジュラシックパーク』に、パラサウロロフス、T-rex、トリケラトプスとともに登場した。
ディプロドクス
カーネギー国立歴史博物館にあるD. carnegiiの骨格標本
科:ディプロドクス科
時期:ジュラ紀
ディプロドクスは長い首、鞭のような尾、がっしりした脚を持つ典型的な竜脚類である。ジュラ紀後期のキンメリッジアン時代(1億5200~5400万年前)に生息していたと推定されている。
ディプロドクスはこれまでに二種類(D. carnegii and D. hallorum)が発見されているが、いずれも記録上最も長い恐竜である。ディプロドクスの化石はアメリカ西部のモリソン層に広く分布している。
ディプロドクスはさらに二種発見されているが、いくつか矛盾点があるため現在では疑わしい種(Nomen dubium)に分類されている。
オルニスキア(鳥盤類)
オルニスキアはほぼ草食恐竜に分類される、鳥のような骨盤構造を持つ恐竜である。鳥盤類は大きく二つのグループに分類される。角を持つ角竜類と盾を持つ装盾類である。
トリケラトプス
ヒューストン自然科学博物館にあるトリケラトプスの頭蓋骨
科:ケラトプス科
食性:草食系
時期:白亜紀
重量感のある体、頭蓋骨にあるいくつもの角が特徴的な4本足の恐竜であるトリケラトプスはおそらく今日までに発見された恐竜の中で最も分かりやすい恐竜である。また大きな角を持つケラトプス科の恐竜のなかで最も知られている恐竜でもある。
トリケラトプスはティラノサウルスのような大型の肉食獣に捕食されていた可能性が高い。トリケラトプスの化石から見つかっている傷跡はティラノサウルスの歯型に似ている。
トリケラトプスは、約6600万年前に起こった恐竜の大量絶滅の前に地球上を歩いていた最後の数少ない非鳥類恐竜の一つであると考えられている。復元された化石から、トリケラトプスの成体標本の体重は6,000~12,000kgで、体長は9mにも達することがわかっている。
トリケラトプスはワイオミング州(アメリカ)の州恐竜であり、サウスダコタ州の州化石にも指定されている。
ステゴサウルス
ステゴサウルスの骨格標本
科:ステゴサウルス科
食性:草食系
時期:ジュラ紀
ステゴサウルスの化石が初めて発見されたのは1877年、骨戦争とも呼ばれる恐竜が大量に発見された時代だった。しかしその解剖学的構造が正しく解明されたのは数年後のことだった。
ステゴサウルスは装甲類のグループに属し、背中にある二列の板が特徴的である。
現在までに三種類のステゴサウルスが発見されている。最大の標本は7000kgに達し、体長は9mである。
アンキロサウルス
アンキロサウルスのイラスト
科:アンキロサウルス科
食性:草食系
時期:白亜紀
アンキロサウルスが地上に初めて現れたのは約6800万年前の白亜紀後期である。これまでのところアンキロサウルスは一種類しか確認されていない。アンキロサウルスの最初の標本は1906年、モンタナ州のヘルクリーク累層で古生物学者のバーナム・ブラウンが発見した。
アンキロサウルスは幅広で頑丈な体と頭蓋骨を持つ。しかしアンキロサウルスの最大の特徴は皮骨板と呼ばれる突き出た骨の板やコブである。