・研究員は、2種類の電熱材料による、新しい冷却システムを実証しました。
・このシステムは、熱いところから冷たい方へ、効率的に熱を加速させます。
コンピューターチップ、レーザー、バッテリー、ハイパワーエレクトロニクスが、パワーを密集させてよりコンパクトに進化すると共に、熱を管理するための更に洗練されたテクノロジーが必要になりました。これらの装置は、電熱冷却を使用し、熱いものから熱を取り除きます。
熱力学問題とは異なり、これらのペルチェクーラーと呼ばれるものは、冷たいものを冷たいまま維持するために最適化されました。最も市販されているペルチェクーラーは、キャンピング冷蔵庫や飲料クーラーのように、ポータブル冷蔵要素を持っています。これらは、冷たいエリアから熱いエリアに熱を移動させます。(熱いところから冷たいところへの熱の移動は、自然な動きです)
しかし“アクティブクーリングメカニズム”では、熱いところから比較的冷たいところへの自然な熱のフローが、加速します。この場合の目的は、温度の低下が最小限である間に、ホットリザーバーから排出される熱を最大化することです。
最近、オハイオ州大学とバージニア大学の物理学者が、電熱機器のための新しいデザインの法則を思いつきました。これは、バッテリーとコンピューターアプリケーションで調整済のものです。彼らは、2種類の電熱材料による冷却システムを実証しました。
彼らはどのようにしたのでしょう?
効率的な電熱冷却装置をデザインするために、研究チームは、zTという性能指数を基にして材料を選びました。それは、冷却モジュールを含む熱電モジュールの性能を定めるために使用されます。
多くの熱を持った材料(電流によって)は、zTが高くなります。これらの材料は、熱伝導率が低いです。したがって、熱が機器を介して冷たい物体に逆流することはありません。しかし、ものが熱い間は、熱が自然に放散します。
比較的冷たいリサーバーに囲まれた電熱装置に高温のものが取り付けられている、通常の冷却状態を考慮してください。ボルテージが取り付けられている時には、熱いところから冷たいところに、電子と正孔(熱を運ぶ電荷キャリア)が流れます。
アクティブ冷却と冷蔵の違い | Courtesy of researchers
より効率的に冷やすために、チームは有効熱伝導率と呼ばれる性能指数を開発しました。これは、アクティブな熱伝導率(電圧が印加されるとオンになる)とパッシブな熱伝導率(通常)の合計を表します。
彼らは、大きな有効熱伝導率で、2種類の材料を使用しました。
1.電子がマグノンと相互作用し、いくらかの余分な熱を運ぶマグノンドラッグ金属(コバルト)
2.電子が互いに強く相互作用し、各伝導電子(正孔)に関連する熱を増加させる近藤効果金属(セリウム–パラジウム)
研究員たちは、ペルチェクーラーを構築し、冷たいところと熱いリザーバーの間に置くために、これらの材料を使用しました。彼らはこのデバイスを、受動モードとアクティブモードの両方でテストしたのです。
5アンペアが適用されると、装置は電流がゼロの場合よりも、約0.1ワット多い熱を、熱リザーバーから排出しました。受動モードが40ワット/メートルケルビンに届いた時、気温の違いによって、アクティブモードでは1000ワット/メートルケルビンを記録しました。
これらの種類のデュアルモードクーラーは、プロセッサにとってとても有益です。コンピュータープロセスの数が少ない時は、受動モードでも動作することができます。また、CPU使用料が高い時には、アクティブモードに切り替えることも可能です。