・大気粒子状物質に長時間さらされると、アルツハイマーのような脳萎縮につながることを、新しい統計結果が示しました。
・同じような変化を、異なる人種や経済状況の人々の脳スキャンも、示しています。
アンビエント大気汚染にさらされることによって、喘息、肺および心血管疾患のリスクが高まるということは、証明されていました。
近年増加している疫学研究は、直径2.5マイクロメートル未満の大気粒子状物質(PM)が、アルツハイマー病を含む認知症のリスクを上げることを示しました。
しかし、PM2.5と認知症の関係は、決定的ではありません。なぜなら、基になるメカニズムは不明なままだからです。
近年、南カリフォルニア大学の研究員が、PM2.5が脳の老化を促進するかどうか、調査するための縦断的研究をしています。彼らはまた、アンビエント大気汚染にさらされることによって、アルツハイマー病の神経解剖学的リスク上昇につながる可能性を分析しました。
年配女性の脳スキャン
チームは、5年の間に2回スキャンをしている73歳から87歳までの女性998人の、脳スキャンを分析しました。
また研究員は、998人の女性が生活していた環境のデータも集めました。これらのデータは、大気粒子状物質にさらされていたかどうかを正確に把握するのに役立ちました。
その結果、研究員は、彼女達が高いレベルの大気汚染にさらされ、アルツハイマー病のような脳の劣化に苦しんでいたことを明らかにしました。また、良い環境で生活していた似たような人と比べ、記憶力が大きく低下していたことも分かったのです。
これは、大気汚染が人々の脳に影響し、記憶力を劣化させることを示した、初めての統計的研究です。
チームが全ての情報を統合すると、高い大気汚染にさらされることと、脳の変化と記憶の問題に繋がることを、明らかにすることができます。彼女達の人種、地理的環境や地域、教育レベル、収入、喫煙習慣などの違いにも関わらず、一貫した変化が見られたからです。
これは、年を重ねた頃にPM2.5にさらされると、記憶力の劣化を加速させ、新しいことを学んだり瞬時に想起する能力に影響を与えることを示した、最初の疫学的証明です。
しかし、継続的な大気汚染による神経毒性を証明するには、調査結果の複製が必要です。研究員たちは、PM2.5と認知症リスクの結びつきを裏付けるため、また、脳構造の変化とエピソード記憶プロセスを結びつけるために、画像研究を進めるでしょう。