太陽系には太陽という恒星が1つだけあって、それは巨大です。推定直径は1,391,980kmで、そのまわりを周る惑星である木星の10倍以上、地球の109倍の大きさです。しかし、天の川銀河や観測可能な宇宙にある他の星の中ではどうなのでしょうか?実は、太陽はいくつかの恒星よりもはるかに小さいことに驚くかもしれません。
読み進める前に、基本事項を確認しておきましょう。
1.大質量星【太陽より8倍以上重い星】は太陽単位で表され、「1R☉」は695,700km(実際の太陽の半径)に等しい。【☉は太陽を表す記号】
2.恒星の半径・直径は、シュテファン=ボルツマンの法則【熱輻射により黒体から放出される電磁波のエネルギーと温度の関係を表した物理法則】を利用して近似されているため、ほとんどの場合正確ではなく、誤差の余地がある。
3.恒星の大きさは、主に恒星の光度や温度などの重要なパラメータから導かれる。
4.超巨星の膨張した大気のサイズは、時間とともに大きく変化する可能性がある。脈動星や変光星の恒星光度の計算は、非常に信頼性が低い。
15. アークトゥルス
Mikulski Archive【天文データアーカイブ】から提供されたアークトゥルスの光学画像
距離:36.7光年
太陽半径:25.4 R☉
アークトゥルス(別名うしかい座α星)は、うしかい座内と北天球で最も明るい星です。おとめ座のスピカ、しし座のレグルス/デネボラとともに、アークトゥルスは有名な「春の大三角形」を形成します。
比較的近い距離にあるため、アークトゥルスは最もよく研究されている大質量星のひとつです。研究によると、この星は70億年以上前の老齢星で、すでに水素核を使い果たしています。太陽と比べると質量は1.5倍、直径は25倍です。
14. アルデバラン
画像出典:Wikimedia Commons
距離:65.3光年
太陽半径:44.2 R☉
アルデバランはスペクトル等級Kの赤色巨星であり、水素核を枯渇させた後、主系列相から進化しました。このため、アルデバランは天文学的に太陽の直径の44倍、つまり約6,100万kmまで膨張しました。
アルデバランは夜空で簡単に見つけることができます。オリオン座のベルトを右から左(南半球で)、または左から右(北半球で)に一直線に進むと、最初に見える一番明るい星がアルデバランです。
13. リゲルA
距離:860光年
太陽半径:115 R☉
リゲルAは、オリオン座にあるリゲル連星系の中で最も目立つ星です。同じ星座にあるベテルギウスよりも明るく、その光度は太陽の約30万倍もあります。
リゲルAは青色超巨星に分類され、水素核が枯渇して太陽の半径のほぼ100倍に膨張しました。
12. アンタレスA
アンタレス、アークトゥルス、太陽の比較
距離:550光年
太陽半径:165 R☉
正式にはさそり座α星と呼ばれるアンタレスは、さそり座で最も大きく、最も明るい星で、質量は太陽の約12倍あります。アンタレスの実際の大きさは、その膨張した外側の領域のために非常に論争が多いものの、地球から見ると脈動しているように見えます。
他の赤色巨星と同様、アンタレスもまた、今後10万年ほどのうちに爆発して超新星を形成すると予想されています。どうやらアンタレスには、3.3秒角で離れているB型主系列星、アンタレスBと呼ばれる伴星もあるようです。
11. ピストル星
画像出典:NASAおよびUCLA
距離:25,000光年
太陽半径:306 R☉
天の川銀河の中心近くにある巨大なピストル型の星雲に囲まれたピストル星は、太陽の160万倍以上の輝度を持つ、稀な等級の青色変光星に属します。
この遠方の星は、1990年代にカリフォルニア大学の天文学者によってハッブル宇宙望遠鏡の助けを借りて初めて発見されました。科学者たちは今のところ、この星のおおよその年齢を計算することはできませんが、約300万年後に超新星爆発を起こすだろうと考えています。
10. しし座CW星
しし座CW星
(黄色で示される近紫外データと青色で示される遠紫外線データの組み合わせによる画像)
画像出典:NASA
距離:310光年
太陽半径:390~500 R☉
しし座に位置するしし座CW星は、おそらく太陽系と地球に最も近い炭素星(大気中に酸素よりも炭素が多い明るい赤色巨星)です。入手可能なデータから、研究者たちはこの星が遠い将来、白色矮星になることを確信しています。また、この星には連星が近接している可能性も示唆されています。
9. ベテルギウス
ALMA望遠鏡が捉えたベテルギウス
画像出典:アルマ望遠鏡(ESO/NAOJ)
距離:約724光年(異説あり)
太陽半径:887~955 R☉
ベテルギウス(別名オリオン座α星)は夜空で最も大きな星のひとつで、オリオン座で2番目に明るいものです。赤みがかった独特の明るさと、半規則的な形でよく知られています。
もし、この赤い超巨星が太陽系の中心にあったら、地球や火星を含むすべての内惑星、そしておそらく木星の軌道を完全に飲み込んでしまうでしょう。この星は、太陽以外で初めて角度の大きさの測定に成功した星となりました。
8. いて座KW星
距離:7,800光年
太陽半径:1,009 R☉
いて座KW星は赤色超巨星で、太陽系から約7,800光年離れたいて座の銀河系中心付近に位置しています。もし、いて座KW星が太陽の代わりに太陽系の中心に位置するならば、火星の軌道と小惑星帯を完全に飲み込んでしまうでしょう。
7. はくちょう座V1489星
惑星と恒星の比較
画像出典:Dave Jarvis
距離:5,300光年
太陽半径:1,183 R☉
はくちょう座V1489星は、1965年にノイゲバウアー、マルツ、レイトンの3人の天文学者によって初めて発見され、非常に明るい赤い星であることが指摘されました。はくちょう座V1489星の総体積は太陽の約200億倍です。そのため、もし惑星系の中心に位置すれば、木星の軌道を簡単に飲み込んでしまうでしょう。
6. SMC 018136
小マゼラン雲
画像出典:ESA/ハッブル望遠鏡
太陽半径:1,310 R☉
SMC 018136 は、小マゼラン雲に位置する銀河系外のM型超巨星です。ボロメトリック光度は20万倍以上、実効温度は3,575K、半径は太陽の1,300倍以上であり、現在までに発見された恒星の中で最も遠い恒星のひとつであることは間違いありません。
5. ケフェウス座VV星A
距離:4.900光年
太陽半径:1,400 R☉
ケフェウス座VV星Aは、ケフェウス座から約5,000光年離れたところにあるケフェウス座VV星日食連星系の主成分です。この赤色超巨星は、太陽の半径の1,050倍から1,100倍と推定されています。
4. おおいぬ座VY星
おおいぬ座VY星と太陽の比較
距離:3,816光年
太陽半径:1,420 R☉
おおいぬ座VY星は、かつて天の川銀河で最も大きな星の座を占めていましたが、現在ではもっと大きな星が発見されています。おおいぬ座の南に位置し、肉眼で観測するにはあまりにも暗い星です。また、このタイプの星(M型超巨星)の中では最も明るい星のひとつでもあります。おおいぬ座VY星の質量は、太陽の約17倍と推定されています。
長年にわたり、その実際の太陽半径と光度に関して多くの論争がありました。一部の科学者によれば、この星の巨大な太陽半径は、現在の恒星理論の予測をはるかに超えており、非常に影響を受けやすい天体であるということです。この星は概して、極超巨星というよりは通常の超巨星であり、半径は600R☉に縮小されると考えられています。
3. ウェスタールンド1-26
2MASSからの赤外線撮影によるウェスタールンド1
画像出典:NASA
距離:11,500光年
太陽半径:1,530~1,580 R☉
ウェスタールンド1超星団のはずれにあるウェスタールンド1-26は、天の川銀河で2番目に大きな星です。その恒星の分類はまだはっきりしていませんが、太陽の35億倍から40億倍の大きさがあるようです。
天文距離11,500光年に位置するウェスタールンド1-26は、巨大な星間塵が存在するため、可視波長での観測はほとんど不可能です。
2. WOH G64
大マゼラン星雲
距離:163,000光年
太陽半径:1,540 R☉
WOH G64は現在、大マゼラン雲(天の川銀河の衛星銀河)の中で最大の星です。地球から163,000光年という驚異的な距離にあるこの銀河系外の星は、太陽の約50億倍の大きさです。この星は、1970年代にウェスタールンド、オランダー、ヘディンの3人の天文学者によって初めて発見されました。
1. たて座UY星
太陽とたて座UY星との比較
画像出典:Philip Park
距離:9,500光年
太陽半径:1,708 R☉
たて座UY星は、19世紀、ドイツのボン天文台の天文学者チームによって初めて発見されました。当初、この星はBD -12 5055と名付けられました。たて座に位置し、現在知られている中で最大の恒星です。推定によると、たて座UY星の半径は太陽半径の1,708倍で、太陽の50億倍もあります。
もしこの超巨星が太陽系の中心に位置するとしたら、その外側の大気は土星の軌道を飲み込んでしまうでしょう。現在の恒星モデルでは、黄色巨星かウォルフ・ライエ星に進化する前に爆発して超新星を形成すると考えられています。