・高密度の星間分子雲では、酸がまったく違う動きをします。
・この研究は、酸が極限の温度で分解するかどうかという化学の基本的な問題に取り組んでいます。
・研究の結果は分解するともしないとも言えません。
酸は星間空間と惑星では異なる動き方をします。ここでは、極度の低温(10K以下)状態で氷の塵粒の化学反応を支配しています。
最近、ドイツのルール大学ボーフムの研究チームは、星間空間に見られるような超高温低圧下で、酸が水の分子とどのように相互作用するかを分析しました。
研究者たちは、HCl(塩酸)が星間空間でプロトンを放出するか、あるいは対の電子と共有結合を形成するかを分析しました。それは、水とHCl分子が結合する順序によって、結合したりしなかったりします。
HClを水に加えるとどうなるか?
常温常圧下では、HCl(強酸)は水分子と接触すると速やかに解離する。酸は水素イオン(プロトン)を放出し、ヒドロニウムカチオン(H3O+)と塩化物アニオン(Cl-)を作ります。
しかし、そのプロセスが星間空間で行われたらどうなるでしょう。そのような極限状態でも同じ酸アルカリ化学が成り立つでしょうか?研究者たちはその答えを見つけ出そうとしました。それはやがて、宇宙空間で複雑な分子がどのように形成されるのかをよりよく理解する助けになると考えられます。
研究室内に恒星間のような空間を作り、赤外線分光法と呼ばれる高度な技術を使ってすべてのプロセスをモニターしました。赤外分光法は、分子の微小な振動をとらえ、化学物質の識別や研究に用いられています。
赤外指紋領域の測定には高強度パルス自由電子レーザーが使われました。その後、コンピューター・シミュレーションで、実験結果を解釈しました。
研究チームは、人工的な環境を作り、塩酸分子に4分子の水を(1分子ずつ)加えました。酸は直ちに分離し、プロトンを水分子に供与してヒドロニウムイオンを形成しました。残りのヒドロニウムイオン、塩化物イオン、残りの3分子の水はクラスターを形成しました。
しかし、研究者たちが水分子を氷のようなクラスターに変えて塩酸に加えたところ、まったく異なる結果になりました。酸は分離せず、水素イオンと塩化物イオンは互いに結合したままでした。
これは、塩酸は必ずしも超低温の「スターダストの中」で分離する必要はないことを示しています。これは、星間空間における化学の基本原理を表しています。
この発見は、「分離する」と「分離しない」は同じコインの裏表のようなものだと示している。極限状態のスターダストでは、分子の混合比だけでなく、化合物を添加する順序でも変わってきます。
この現象は、今後の超低温環境下での研究やシミュレーションに利用できます。