・天文学者は、イトカワという小惑星の破片から水を発見しました。
・地球の海水の約半分がこのように小惑星によってもたらされた可能性があります。
地球上には332,519,000立方マイル(1,386,000,000立方メートル)以上の水があり、そのうち96.5%は海水です。地球の地殻には20,000ppm(パーツ・パー・ミリオン)とマントルには2,560 ppmもの大量の水があります。
それではどのようにして水が我々の惑星にやってきたのでしょうか?
地球上の水の起源を説明する理論は諸説あり、それぞれ異なっています。発生源の地域、タイミング、および地球型惑星に供給される水の量などの理論などは確実なものはありません。
最近、アリゾナ州立大学の天文学者がイトカワという小惑星粒子内に水を発見しました。その小惑星のサンプルは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発したロボット宇宙船「はやぶさ」で採取されました。
サンプルには、太陽系内惑星の物質内にあるとされているよりも多く水が含まれていました。調査結果は、数十億年前の小惑星から地球上へ海水の約半分がもたらされた可能性を示唆します。
発見されたものは?
JAXAが発見したイトカワの5つの粒子のサンプルのうち、2つは輝石でした。地球上では、このような鉱物は水からなる結晶構造に分類されます。
イトカワの粒子にも微量の水が含まれているのではないかと研究者たちは予測していましたが、少量すぎてわかりませんでした。
そのため、非常に小さな鉱物粒子を正確に測定するナノスケール二次イオン質量分析計と呼ばれる特別技術を駆使してサンプルを分析しました。
結果は、イトカワの粒子が驚くほど豊富に水分を含んでいたことがわかりました。他の小惑星(通常乾燥している小惑星を含む)も、思いのほか多くの水があるかもしれないということになります。
イトカワ小惑星
イトカワは地球近傍天体であり、1998年にLINEARプログラムによって発見された潜在的に危険な小惑星です。気孔率が高く、低密度で、奇妙なピーナッツ型のS型小惑星です。
縦約548メートル、幅約300メートルです。それは1億9500万キロメートルの平均距離で1.5年ごとに太陽を周回します。その軌道は離心率0.28で傾斜角は2度です。
S型小惑星は比較的明るく、ケイ酸鉄とケイ酸マグネシウムでほとんど構成されていま。小惑星帯の内側に位置し、水や他の揮発性物質を含んでいます。
小惑星は大破壊と分裂の繰り返しをします。固体ひとつではなく、いろんなサイズの岩で構成されています。
この調査のサンプルは、 MUSES-C(はやぶさ)が指定したイトカワの広い土地で調査されたものでした。滑らかでほこりに覆われたエリアです。過酷な放射線と複数回の衝撃にさらされているにもかかわらず、サンプルには水分がありました。
この研究で分析された2つのイトカワ粒子(それぞれ人間の髪の毛の半分の厚さ):JAXA / ASU
この鉱物の水素同位体成分は、我々の惑星にあるものと見分けがつきません。これは、同様の小惑星とその母天体が、地球型惑星の水や多くの物質と同じものを含んでいる可能性が高いことを示しており、さらなる研究のメインターゲットとなっています。
この小惑星は、揮発性の物質がどのように地球にやってきたかを研究者が理解するのに役立ちました。太陽系外の惑星が同様のメカニズムで水を生成しているかもしれません。
JAXAの次のミッションである「はやぶさ2」は、リュウグウと呼ばれる別の地球近傍小惑星のサンプルを収集し、2020年に地球に帰還予定です。NASAは、ベンヌという名前の炭素質小惑星の断片を収集し、2023年に地球に帰還するミッションも計画されています。