・レッド・ミートの摂取量の経時的な変化が早期死亡リスクに影響を及ぼすかどうかを研究者らが初めて分析した。
・レッド・ミートの加工食品摂取量の増加は、神経変性疾患、呼吸器疾患、心臓疾患による早期死亡リスクの上昇と関連することが明らかになった。
レッド・ミート(ソーセージ、ホットドッグ、ベーコンなど)の食べ過ぎが健康障害につながることを示唆するエビデンスが増えています。【レッド・ミート=赤肉。牛、豚、羊など哺乳類の肉を広く指す言葉で、日本で言う「赤身肉」とは異なる】
アメリカにおけるレッド・ミートの平均消費量は、過去10年間で減少しているものの、依然として世界平均の2倍以上です。アメリカ合衆国農務省によると、平均的な消費者は毎年222ポンド【約100㎏】のレッド・ミートと鶏肉を食べるそうです。
ハーバード・T・H・チャン公衆衛生大学院が主導した新しい研究によると、レッド・ミート、特に加工された食品を多く食べると、早期死亡のリスクが高くなることが示されました。
これまでの研究で、レッド・ミートの摂取量が多いと、心臓疾患、2型糖尿病、いくつかの特定の種類のがん、早期死亡リスクが高まることがすでに明らかになっています。今回、研究者チームは初めて、レッド・ミートの摂取量の経時的な変化がそのリスクに影響するかどうかを分析しました。
成人81,469人の健康データを調査
研究チームは、Health Professionals Follow-Up Study【男性医療従事者を対象としてアメリカで行われている継続調査】の男性27,916人、Nurses Health Study【女性看護職を対象としてアメリカで行われている継続調査】の女性53,553人の健康記録を使用しました。このなかに、がんや心血管疾患などの深刻な健康問題を抱えている人はいませんでした。
これらの記録には、各成人が毎日どれだけのレッド・ミートやその他の食品を摂取しているかが記されていました。研究者チームは、レッド・ミートの摂取量の変化が特定の死亡率に影響を及ぼすかどうかを調べました。
食事と死亡データを調べた結果、加工されたレッド・ミートと加工されていないレッド・ミートの消費量が日常的に50%以上増えると、早期死亡するリスクがそれぞれ13%、9%高くなることがわかりました。
レッド・ミートの大量摂取と、神経変性疾患や、呼吸器疾患、心血管疾患による死亡の増加との間には、有意な関連がありました。これらの関連は、被験者のアルコール摂取や喫煙の有無、身体活動レベルとは無関係に一貫していました。
また、8年間にわたりレッド・ミートの摂取量を減らし、卵、全粒粉、ナッツ、魚などの食品を多く摂取することは、その後の8年間の死亡リスクを下げることにつながることがわかりました。
この結果は、他のタンパク源や、全粒粉や野菜などの健康的な植物性食品を食べることで、長寿を増進できることを示しています。代替食品と死亡率の同様の関連性は、長期(12年)調査でも短期(4年)調査でも見られました。
これらの関連性は、コレステロール、飽和脂肪、高温調理で発生する発がん性物質など、心代謝障害を促進する成分の結果である可能性があります。レッド・ミートの摂取が動脈硬化を促進する腸内代謝物と関連することを示す研究もいくつかあります。
他の研究と同様、調査には限界があります。今回の被験者はすべて白人で中高年の医療従事者であったため、他の集団における消費量の変化の影響について、より広い結論を導き出すことは困難なのです。
また、あくまで観察研究であり、原因を特定することはできません。それでも、この研究は、レッド・ミートを他のタンパク源に置き換えることで効果が得られるというエビデンスを追加することになりました。