ハッブル宇宙望遠鏡の登場以来、私たちは遠く離れた銀河や太陽系外の惑星を数限りなく発見し、私たちの過去の歴史まで垣間見ることができるようになりました。しかし天文学者たちは、天の川銀河に実際にはいくつ星があるのか未だに解明できていませんし、宇宙全体の星の数については言うまでもありません。ほかの生き物と同じように、星も生まれては死んでいきます。それがほんの少し壮大なスケールで繰り広げられるだけなのです。
今回も、星にまつわる事実をリストにしたのでご紹介しましょう。あなたにとっても、きっと興味深く、役に立つはずです。あなたは星のすべてを知っているでしょうか?それでは早速見ていきましょう。
夜空でもっとも明るい星
シリウス
地球から見える星の中で、太陽に次いで2番目に明るいのがシリウスA。おおいぬ座にあるこの星は、秒速5.5kmのスピードで、少しずつ太陽系に近づいていると考えられています。そして、6万年後には7.8光年の距離で地球に最接近する見込みです。シリウスAの質量は太陽の約2倍、そして明るさは25倍もあります。
宇宙でもっとも謎めいた星 - タビーの星
長年にわたって、私たちは遠く離れた宇宙に存在する何百もの奇妙な星に出会ってきましたが、別名「タビーの星」として知られるKIC 8462852ほど謎めいた星はほかに例がありません。この星は、地球から観測される光が非常に不規則に変動することで知られています。
21世紀のはじめから、この星の明るさが変わる様子が何度も観測されており、特に顕著だったのは2011年と2013年で、そのときは22%近くも減光しました。最近では、2017年に再び数回の減光が観測され、このときはわずかに明るさが増す様子も見られました。
天の川銀河の巨星たち
太陽は確かに大きな星ですが、銀河のほかの星たちと比べると、実は非常にちっぽけで取るに足らない存在です。これまでに発見された中でもっとも大きな星は、たて座UY星という星です(本記事作成当時)。この星が初めて見つかったのは19世紀のことで、ドイツのボン天文台の天文学者チームが発見しました。たて座にあるこの星が、現在私たちが知る限りで最大と言われており、いくつかの説によれば、太陽半径の1,708倍の半径を持ち、体積は太陽の50億倍もあります。
太陽系にもっとも近い恒星
地球から4.25光年離れた場所にあるプロキシマ・ケンタウリは、これまで見つかった中で太陽系にもっとも近い恒星です。その次に近いのがバーナード星で、こちらは地球から5.9光年の距離にあります。どれくらい近いかといえば、これまでに打ち上げられた中で最速の宇宙船(おそらくニュー・ホライズンでしょう)に乗ってプロキシマ・ケンタウリまで片道旅行したいと思ったら、到着するまでおよそ8万年かかる距離です。ただし、もし光の速さで飛ぶことができれば、たったの4年で行くことができます。もし実現したらクールですよね。
もっとも質量の大きな星
タランチュラ星雲にあるR136a1という星は、観測できる範囲でもっとも質量の大きな星です。総質量は太陽の約300倍と言われています。
星の誕生と進化
宇宙空間には「分子雲」と呼ばれるものが存在します。主成分は水素原子と大量のヘリウムで、それより重い物質もわずかに含まれています。この分子雲の、特に密度の高い部分で星は誕生します。誕生した星の多くは、一生の大半を主系列星として過ごします。つまり、水素を燃焼させてヘリウムに変えることでエネルギーを作り出している状態です。
しかし、星は成長のさまざまな段階において、その質量に応じて異なる性質を獲得します。それぞれの星の運命は質量に左右され、明るさやその星の環境に与える影響も、同じく質量によって決まるのです。
最大の球状星団
球状星団とは、宇宙の比較的小さな空間の中にたくさんの星が密集している状態を指します。この星団の星たちは互いの重力によって強く結ばれているため、遠くからだとどこから見てもほぼ球体に見えます。ケンタウルス座のオメガ星団は天の川銀河において最も大きく明るい星団で、約1,000万個の星が150光年の範囲にわたって散らばっています。
恒星の内部
安定した主系列星の内部は静水圧平衡と呼ばれる状態にあります。言い換えれば、星の内部で生まれた力が、発生したのとほぼ同時に相殺されてしまう状態です。ご存じないかもしれませんが、星の重力は常に自身を内側へと引っ張る作用を持っているので、もし力がつり合っていなければ、星は何百年もかけて崩壊し、粉々になってしまうのです。
しかし、星の一番中心部分で起こっている核融合がこの重力に反発することで、星が崩壊するのを防いでいます。コアの近くで生まれる莫大なエネルギーが星をいっそう明るく輝かせ、星は外側へ向かって膨張し、主系列星から赤色巨星になります。そして、光の圧力が尽きると星の崩壊がさらに進んで白色矮星になります。
星はいくつ存在する?ひとつの推測
現代の科学技術をもってしても、科学者は私たちの銀河系に存在する星すべての数を大まかに推測することしかできません。天文学者は、天の川銀河だけでも1,000億から2,500億個の星が存在すると考えています。この推測が正解に近いのか、あるいはまったく外れているのか、正確なところは分かりません。
また、宇宙には2,000億個の銀河系が存在すると推定され、天の川銀河より小さいものもあれば大きいものもあります。現在見つかっている中で最大のものは、私たちの住む銀河系の2倍くらいの大きさです。これらの数字を掛け合わせると、5 x 1022、つまり約50,000,000,000,000,000,000,000個の星が存在することになります。
質量の大きな星はほとんどが短命である
星は、質量が小さければ小さいほど長生きすると考えられています。ただし、小さい赤色矮星の場合はまったく逆のことが言えます。自身の持っている水素を非常にゆっくりと燃焼させるからです。巨星と呼ばれる星たちは太陽のおよそ150倍の質量を持つこともあり、そのため太陽と比べて凄まじいエネルギーを生みます。
たとえば、りゅうこつ座イータ星という大質量星を例にとると、質量は太陽の約150倍、放出するエネルギーは何百万倍にもなります。科学者たちは、太陽があと60億年生きる一方で、イータ星はこのままいくと300万年も経たないうちに超新星に変化するだろうと考えています。
最大の星
天の川には多くの巨星たちが存在しますが、そのひとつにはくちょう座V1489星があります。総体積は太陽の約200億倍ですが、それでも真のモンスター、おおいぬ座VY星に比べれば、その足元にも及びません。どれくらい大きいかを簡単に説明すると、このおおいぬ座VY星をもし私たちの太陽系の中心に据えたとしたら、おそらくその外縁部の大気が土星の軌道を飲み込んでしまうでしょう。
七重連星系
私たちの目に見える星の半数近くは、実は多重星、つまり2つ以上の近接した星がひとつの組になっています。2つの星が近接してお互いの周りを回っている連星をご存じかと思いますが、そうした連星の代表例がシリウスです。
一方で、7つの星がひとつの星系をなしているものを七重連星系と呼びます。これまでに発見されている七重連星系は2つ。さそり座にある「さそり座ニュー星」と、カシオペヤ座にある「カシオペヤ座AR星」です。8つ以上の星からなる多重性は、まだ見つかっていません。
赤色矮星がもっとも多い
天の川銀河で圧倒的に多いのは、赤色矮星です。質量は太陽の約7~50%で、とても暗いのが特徴です。赤色矮星は巨星や太陽と比べても非常にゆっくりとした速度で燃料をを燃やすため、寿命は平均して数兆年と考えられています。地球にもっとも近い赤色矮星は、プロキシマ・ケンタウリです。
恒星の分類法
ヘルツシュプルング・ラッセル図
恒星の分類とは、星をその外見やスペクトルの特徴に基づいて分類するプロセスのことを指します。現在多くの星は、MK分類という方法に基づいて分類されています。この方法では、O、B、A、F、G、K および M のアルファベットを用いて星を分類します。恒星を分類するほかの方法としては、ハーバード分類やヤーキスのスペクトル分類、ジョンソンシステムなどがあります。
太陽はもっとも近い恒星
太陽は、地球上のほぼすべてのものを動かす原動力です。シンプルに言えば、地球上の生命は太陽なくして生きることはできません。太陽が私たちの惑星にもっとも近い恒星であることは天文学の基本ですが、その太陽が宇宙でもっとも一般的なタイプの星であるというのは非常に興味深い話です。
太陽はG型主系列星に分類され、水素の核をゆっくりと燃焼させます。今後60~70億年はその状態が続くと思われ、その後、最終的には赤色巨星となって現在の何倍ものサイズに膨れ上がるでしょう。膨張した太陽は水星や金星の軌道までも飲み込み、地球は完全に居住不可能になってしまうと言われています。