天王星は惑星の中でも一番始めに望遠鏡によって発見された惑星です。
でも、ウィリアム・ハーシェルが発見した前までは惑星として認識されていなかったことを知っていますか?
それまでは、星だと勘違いされていたのです。
古代ギリシャの天文学者ヒッパルコスが最初の発見者と言われていますが、プトレマイオスという説もあるとのこと。
木星や土星などの地球型惑星のように、天王星は肉眼で見ることができます。
3番目に大きい惑星で、質量が4番目に大きく、太陽系の中で最も密度が低い天体のうちの1つです。
これから天王星の知られざる事実について紹介していきたいと思います。
天王星
最初の観測者:ジョン・フラムスティード 1690年
赤道面での直径:51,118 km
質量:8.68 x 1025 kg
密度:1.27 g/cm3
表面重力:8.69 メートル/秒
公転周期:84.02年(30,687日)
衛生の数:27(アリエル、チタニア、オーベロン、ウンブリエル、ミランダなど)
ウィリアム・ハーシェルが発見
1781年4月26日、ウィリアム・ハーシェルが初めて天王星を発見した時、彗星かもしれないと記録していました。
しかし王室天文官のネヴィル・マスケリンには“太陽の周りを公転している惑星らしきものを発見した。”と報告していました。
その頃、アンダース・ヨハン・レクセルやヨハン・ボーデなどの天文学者たちが惑星を正確に観測し、国際科学団体に発表していました。天王星は1783年にやっと太陽系の惑星として認められました。
変化する太陽との距離感
太陽と天王星は20AUくらい離れています。(地球と太陽の距離間は1AU)
天王星は離心率0.046で太陽の周りをまわるため、1年を通して距離間が変わります。
最も離れている時と近づいている時の距離の差は他の惑星の中でも最も大きいです。
太陽系の中で一番冷たい
海王星よりも太陽に近いにもかかわらず、天王星は太陽系の惑星の中で1番冷たいと言われています。
海王星の対流圏の最低温度は-219°に対し天王星は-224°にまで達します。
なぜかというと天王星の内部が摩訶不思議にも熱くないのです。
他の惑星の中心部が高温なのに対し、天王星はかろうじて宇宙空間に熱を放出しているのです。
なぜ天王星の中心部は熱くないのかまだ分かっていませんが、研究者たちの間で1つの仮設が立てられました。
それは、“巨大な物体がぶつかりそれが天王星の内部にもぐりこみ合体した”という仮説です。
存在する衛星の数
天王星には全部で27の衛星があります。
それら衛星の名前はイギリスの詩人、アレキサンダー・ポープやウィリアム・シェイクスピアの作品の登場人物の名前からきています。
天王星の衛星は見えないくらい小さいです。
その中でも大きい5つの衛星はチタニア、オベロン、ウンブリエル、アリエル、ミランダで、海王星の1番大きい衛星であるトリトンよりも質量が半分以下です。
太陽系形成の初期の頃に海王星に吸収されたトリトンとは違い、天王星の衛星は周囲に漂っていた物が付着していき作られたのです。
チタニアは直径1,578 kmあり、土星の2番目に大きい衛星、レアよりもわずかに大きく、太陽系の中では8番目に大きい衛星です。それに比べ、天王星の1番小さな衛星、ミランダは直径たったの470 kmしかありません。
人類が訪れたのは一度だけ
海王星に続き、天王星は人類が漂着した回数が最も少ないです。
1986年、宇宙探査機のボイジャー2号が初めて天王星の81,500 km圏内という観測上1番近くに到達しました。
そこで天王星の多波長画像や電波干渉のデータを得ることができました。
ボイジャー2号が天王星に到達して以来、他の宇宙探査機が天王星へ航海したことはなかったし、近い将来にも計画はされていません。
しかし研究者たちはこれまで探検計画を提案してきてはいましたが、現在はミューズとオディナスという2つのミッションが天王星への探検に企てられています。
横向きに自転する
太陽系の惑星は軸から球体が一定の角度で傾きながら回転しています。
例えば地球は地球型惑星の中で1番角度が高く、赤道傾斜角(軌道面と赤道面のなす角)23.44°で回転しています。
同じように、木星は3.13°、土星は26.73°傾いています。
天王星は太陽系の中で最も傾斜角が大きい惑星に属しており、それは97.77°にもなります。
赤道が他の惑星の極に位置するところにあるので、独特な季節の移り変わりがあります。
と、このような話がされていますが誰もまだ証明したことがありません。
1日は42年間!?
天王星は太陽を1周するのに84年かかります。
対して軸上での回転は17時間14分ですが。。
独特な傾斜角度の自転軸なので、天王星での半年間はずっと太陽に面しているため昼が続き、その半年が過ぎると夜が続きます。つまり昼夜それぞれ42年続くというわけです。
極端な天気の変動
独特な傾斜角度の軸が天王星の気候に影響を与えていると言われています。
それについての正確な情報はまだ十分に集まっていないのですが、50年以上観測された測光データによると周期的な季節の始まりを表す至点と分点の移り変わりがあることが発見されました。
至点になる前には明るくなり、分点に差し掛かった後には暗くなりますが、断続的では起こりません。
1990年に天文学者のハッブルは天王星が至点が過ぎた後に北半球で明るく、南半球では暗くなっていることを見かけました。
このことから次の分点が来た頃には逆が起きるだろうと推測され、実際に2007年観測することができました。
いくつのリングがあるでしょう?
太陽系におけるガスや氷の巨大な塊のように、天王星にも複雑なリングの形成システムがありますが、土星ほど壮大ではありません。
これまで天王星には13のリングが確認されています。
1番目に見つかったリングは1978年でした。続いて2つのリングが1986年にボイジャー2によって撮影されました。
それから2005年に、ハッブル宇宙望遠鏡が最も外側にある2つのリングをとらえました。
これらのリングは暗い微粒子とチリが集まってできています。
極端に狭いリングをのぞいて、全てのリングは数キロメートルに及びます。
様々な研究でリングは天体よりもはるかに新しく、衛星が衝突してできた欠片によってできていると指摘されています。
密度が低い…!
4つの内惑星は太陽からどれだけ離れているかだけでなく、大きさ、密度、質量によっても外惑星と区別されます。
外惑星は大きさと質量がはるかに大きい一方で、密度は地球型惑星よりも大幅に低くなっています。
密度が1.27g/cm3の天王星は太陽系の中で2番目に低密度の惑星です。(1番は土星)
他の大きな惑星と同じように、天王星は岩石と氷からなる核、水素やヘリウムの層で構成されています。
氷の核は実際に氷ではなく、水、アンモニア、メタンなどの物質が合わさってできたもののことを指します。
密度が低いということは、表面重力も8.69 m/s2と低いのです。もし地上に降り立ったとしたら、89%の重力しか感じることができないでしょう。
望遠鏡がなくても見れるのを知っていますか?
天王星の大きさはマグニチュード5.3~6.03なので夜空を見上げて見つけることが可能です。
しかし光害があると見えません…。
イギリス王 ジョージ3世を称えた名前
ハーシェルは天王星をイギリス王のジョージ3世を称えて、“ジョージの星”または“ジョージアの惑星”と名付けようとしていました。
しかし同意を得られず、“ネプチューン”などの名前が提案されていました。
惑星と認識されるずっと前から何度も観測されていた
1690年、ジョン・フラムスティードは少なくとも6回は天王星を観測していましたが、天王星は低光度なため、彼はおうし座のうちの薄暗い星だと勘違いしていたのです。
太陽系の中で反時計回りに時点するのは天王星と金星だけ
そして横向きに回転するのも天王星の独特な特徴のうちの1つですね。
風速は最大900km/1時間
地球上でこれまで計測された最大風速はサイクロン オリビアの408km/1時間です。
大暗斑見つかる
2006年、ケック天文台と連携したハッブル宇宙望遠鏡が天王星の北半球部分に大暗斑を見つけました。
天王星ダークスポット(UDS)と言われており、海王星にある大暗斑と似ています。
ボイジャー2号のミッション
ボイジャー2号は天王星の未知なる事実を開拓しました。
磁場構造や回転軸の傾きによる季節の変化など他の惑星とは違うユニークな特徴を発見しました。