どんな有名企業にも、その名前の由来にまつわる噂があります。その名前の背景には、必ず適切な理由や論理があるのです。
例えば、Yahoo(ヤフー)が何の略語なのか、ご存知でしょうか?実はこれは単語ではなく、Yet Another Hierarchical Officious Oracle【もうひとつの階層構造のおせっかいな神託】の頭文字をとったものです。共同設立者たちは、Yahooの俗語的な定義【「下品」、「ぎこちない」という意味】が気に入ってこの名前を選んだ、とも言われています。
他にも、まだ知られていない興味深い話がたくさんあります。世界の大企業の名前の由来を探ってみましょう。
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26と25. Coco-ColaとPepsi
コカ・コーラは炭酸飲料で、普段は単にコーラと呼ばれています。1886年に初めて製造され、当初は香料として使用されていた「コカの葉【コカイン成分が含まれる植物】」と「コーラの実【カフェインを多く含むコーラの木の種子】」にちなんで名付けられました。
一方、ペプシは1893年に初めて製造・開発され、Brad’s Drink【開発した薬剤師キャレブ・ブラッドハムの名前から】として発売されました。1898年8月にペプシコーラと改名し、1961年にペプシとなっています。消化酵素の「ペプシン」から命名されました。
24. Nikon
Nikon(ニコン)は1917年7月、日本の大手光学メーカー3社が合併し、総合光学メーカー「日本光学工業株式会社」として誕生しました。1988年、同社のカメラにちなんで「株式会社ニコン」に社名変更。現在、ニコンは三菱の子会社のひとつです。
23. Mozilla
ポスター用に作成されたオリジナルのMozillaロゴ
1994年、NetscapeのチームはNCSA(米国立スーパーコンピュータ応用研究所)のブラウザ「Mosaic」に対抗する新しいWebブラウザの名前を考えていました。競合を打ち負かすものを探していた彼らが目をつけたのは、Godzilla(ゴジラ)でした。「Mosaic」と「Godzilla」を組み合わせて、現在の「Mozilla」になったのです。
22. Vodafone
Vodafone(ボーダフォン)とは、Voice(音声)、Data(データ)、Telephone(電話)の短縮形です。これは、携帯端末/携帯電話による音声およびデータ・サービスの提供を反映させるためにVodafone社が選んだものです。1982年、英国最大の軍用無線技術メーカーであるRacal Strategic Radio Ltd.の設立に始まり、最終的にVodafoneに発展しました。
21. Skype
画像出典:nethosting
本当に使いたい名前を使えなかったことから、Skype(スカイプ)という名前をつけました。Skypeとは、「sky【空】」と「peer-to-peer【仲間同士の】」を組み合わせたものです。当初はSkyperと略されましたが、既に使用されていたため、Skypeとなりました。2011年、Microsoftにより85億ドルで買収されました。
20. Asus
ASUSTeK Computer Inc.、通称Asus(エイスース)は、1989年にAcer(エイサー)の社員4名によって設立されました。社名の由来は、ギリシャ神話に登場する有翼の馬Pegasus(ペガサス)です。同社によると、このユニークな生き物の純粋さ、強さ、冒険心を体現し、新製品を生み出すたびに新たな高みへと舞い上がるということです。
19. Canon
Canon(キヤノン)は日本の多国籍企業で、創立時は「精機光学研究所」という名前でした。日本初のフォーカルプレーン式シャッター【カメラの焦点面の直前に設置されるシャッター】を搭載した35ミリカメラを試作したことで知られています。1947年に社名をキヤノンカメラ株式会社に変更し、1969年にキヤノン株式会社に短縮しました。この社名は仏教の観音【Kanon】菩薩に由来しています。
18. Nokia
この会社は1865年に製紙パルプ工場として設立され、社名はフィンランドの都市名Nokia(ノキア)とNokianvirta川に由来します。1967年にNokia Corporationと社名を改め、ケーブル、ゴム、林業、発電、エレクトロニクスの5つの分野で事業を展開しました。2014年にはMicrosoftに72億米ドルで買収されました。現在、NokiaにはNokia Technologies、Nokia Networks、HEREの3つの事業が残っています。
17. Reebok
1895年、ジョセフ・ウィリアム・フォスター【元陸上競技選手】は2人の息子とともに、J.W. Foster and Sonsという名前の運動靴製造会社を設立しました。
数十年のうちに同社は世界中で人気を博し、1924年の夏季オリンピックでは英国人選手が同社のシューズを着用しています。1958年、創業者の2人の孫、ジェフとジョー・フォスターが社名をReebok(リーボック)に改めました。Reebokとは、アフリカのカモシカの一種であるRhebok(レボック)の定型化された形です。
16. Twitter
画像出典:Jack Dorsey
Twitterはもともと、FlickrとアメリカのSMSショートコードの5文字長にヒントを得て、twttrとしてスタートしました。初期のアルファユーザー【とりわけ多くのフォロワーを持ち、その発言が大きな影響力を持っているユーザー】のひとり(@crystal)は、「FriendStalker」も提案しました。
創設者たちは名前についての議論を繰り広げ、「twitch」という単語を思いつきました。しかし、「twitch」では正しいイメージが浮かばないため、気に入りませんでした。そこで彼らは辞書を引き、「鳥のさえずり」や「取るに足らない情報の短い流れ」と定義されているtwitterという言葉を見つけたのです。
15. Wikipedia
画像出典:wikimedia
「フリーな百科事典」というコンセプトは、2000年12月にリチャード・ストールマンによって提唱されました。Wikipedia(ウィキペディア)はNupedia(ヌーペディア)としてスタートしました。Nupediaは、公開前に記事を管理するための7段階の承認プロセスを持つ、フリーのオンライン百科事典でした。
しかし、記事の作成に非常に時間がかかったため(最初の1年で21記事)、チームはコンテンツの公開プロセスをスピードアップする方法を模索していました。後にチームは、ウォード・カニンガムのWikiWikiWeb(ユーザーによる編集が可能な初のWebサイト)を利用し、読者自身が記事を編集・投稿できるようにすることで関心を高めるというアイデアにたどり着いたのです。
ラリー・M・サンガーは、Nupediaをウィキ・スタイルのWebサイトと関連付けることを思いつき、新しいプロジェクトに独自の新しい名前をつけることを提案しました。2001年1月15日、Wikipediaは新しいドメインwikipedia.comでスタートしました。サーバーと帯域幅はBomis社(インターネットポータル広告スペース)から寄付され、その従業員の多くが後に百科事典にコンテンツを寄稿しました。
14. Lenovo
1984年、Lenovo(レノボ)の創業者たちは社名を決める会議を招集し、「中国科学院計算所新技術発展公司」とすることに全員が同意しました。
最終的に、グループは「Legend(レジェンド)」とすることに落ち着き、これが設立から20年間の社名となりました。中国国外に進出するためには、新しい名前を考えなければならなくなり、2003年4月、同社は大規模なメディア・キャンペーンを展開し、「Lenovo」という新しいブランド名を発表したのです。
2003年末までに、リブランディング【商品・サービスや企業自体の既存のブランドを、時代の変化や顧客に合わせて構築し直すこと】のために3,200万米ドル以上を費やしました。2015年、Lenovoは「Innovation Never Stands Still(革新は止まらない)」というスローガンを掲げた新しいロゴを発表しています。
13. LG
LG Corporation(LGグループ)は、1947年にLak-Hui化学工業(発音は「Lucky」と同じ)として設立され、その5年後には韓国企業として初めてプラスチック産業に参入しました。プラスチック事業の拡大に伴い、同社はGoldstar Corporate Ltd.(現在のLGエレクトロニクス株式会社)を1958年に設立しました。
LuckyとGoldstarの両社が合併し、Lucky Goldstarが設立されたのです。同社は、単なるLGであり、Lucky GoldstarでもLife’s Goodでもない、と述べています。
12. HTC
HTCはHigh-Tech Computeの略だと言う人もいるかもしれません。そういう時代もありましたが、名前の背景にある本当の理由ではありません。1997年にこの会社を設立したH.T.ChoとPeter Chouの2名が、自分たちの名前の頭文字をとってHTCと名付けたのです。
HTCは、世界初のタッチスクリーン・スマートフォン(2000年)、初のアンドロイド・スマートフォン、初のマイクロソフト製3G携帯電話を製造しました。
11. Samsung
Samsung(サムスン)とは、「3つの星」を意味する韓国語です。夜空の星のように「大きい」「多い」「力強い」という美徳を表すために選ばれました。
創業当初、Samsungは野菜、干物、果物、麺類を販売していました。その後、小売業、保険業、セキュリティ業など、様々な分野に多角化していきました。1960年代後半になると、Samsungは電子産業に参入し、最初に生産した電子製品は白黒テレビでした。
10. Virgin Group
Virgin(ヴァージン)は、1970年にリチャード・ブランソンによって設立された非公開の有限コングロマリット【複合】企業です。世界中に400社以上の企業を有し、旅行、エンターテインメント、ライフスタイルの分野で最もよく知られています。
Virginという名前は、「ビジネスにおいて全くの処女」つまり未経験者という意味で、創業者の友人から提案されたものです。現在、Virgin Groupの純資産は220億ドルです。
9. Adidas
画像出典:Behance
Adidas(アディダス)は、アドルフ・ダスラーによって設立された多国籍企業であり、フットウェア【履物】とスポーツ用品で有名であり、総収益は200億ドル、従業員数は46,500人です。
Adidasという名称は、創業者Adolf Adi Dassler(アドルフ・アディ・ダスラー)のニックネームから取られました。ちなみに、弟のRudolf Rudi Dassler(ルドルフ・ルディ・ダスラー)は、Ruda【ルーダ】(現在のプーマ)という靴の会社を設立しました。
8. eBay
eBay(イーベイ)は、1995年にピエール・オミダイアによって設立された消費者間企業です。Webサイトを「オークション・ウェブ」としてスタートしました。1997年半ば、オミダイアとジェフリー・スコール(eBayの最初の正社員で社長)は、名称を変更することを決定しました。
ドメイン名は、ネバダ州エコーベイに本社を置く鉱山会社がすでに「echobay.com」を取得していたため、短縮形のeBay.comとして登録されました【オミダイアのコンサルティング会社だった「Echo Bay Technology Group」に由来して「echobay.com」を登録しようと試みた】。Web上で販売された最初の商品は、壊れたレーザーポインターで、14.83ドルでした。
7. Amazon.com
創業した1995年当時、ジェフ・ベゾスは職(ニューヨーク市に拠点を置く多国籍投資管理会社D.E Shawの副社長)を辞し、最終的にAmazon.comとなるビジネスプランに取り組み始めました。
まず、オンラインで販売できる20の商品(コンピュータ・ハードウェア、ビデオ、書籍など)のリストを作成した後、インターネット上で書籍のみを販売することを決めました。Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)は、物理的な書店に比べ、オンライン書店での大量販売の可能性を示すことを意味していたのです。
同社は1994年7月5日にCadabra(カタブラ)として法人化されました。アン・バイヤーズの著作『Jeff Bezos: The Founder of Amazon.com【ジェフ・ベゾス:Amazon.comの創業者】』によると、ベゾスは、人々がCadabraをCadaver(カダバー【死体】)と聞き間違えるのではないかという非常に正当な恐れを持っていました。
その後、南米最大の川の名前から取ったアマゾンという代替案を思いついたのです。ベゾスが最初から大きな野心を持っていたことは間違いありません。
6. Audi
Audi(アウディ)は、アウグスト・ホルヒによって設立された自動車とオートバイの会社です。社名の由来は、創業者の名前アウグスト・ホルヒ(August Horch)だけで、Audiはそのラテン語です。
アウグスト・ホルヒは、新車事業のブランド名としてホルヒを使用することを(ドイツの最高裁判所から)禁止されました。彼は新しい名前を決めるために友人を呼びます。友人の息子の一人が、その部屋で静かにラテン語を勉強しており、「audiatur et altera pars【別の側(の意見)も聞かれるべきである】」と突然口にしました。
ドイツ語のhorchは「聴く」を意味しており、ラテン語のaudireも「聴く」を意味します。Audiはaudireの単数形であり、こうして彼らはAudiという名前を受け入れたのです。
5. Sony
Sony(ソニー)は、井深大と盛田昭夫によって設立された多国籍複合企業です。このブランド名は、「音」を意味するラテン語の「Sonus」から派生しています。さらに「SONY」が多くの言語で発音しやすいという理由で選ばれました。1946年の創業当時、同社の資本金は530ドル、従業員総数8人でしたが、現在では総資産1,520億ドルにまで成長しています。
4. Google
出典:Google doodles
Google(グーグル)は、2人の博士課程の学生ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンによる研究プロジェクトとして始まりました。彼らは当初、検索プロセスがページに存在するバックリンクに基づいていることから、自分たちのエンジンにBackRub【背中のマッサージ】というニックネームをつけました。
その後、Googol(10の100乗)に由来するGoogleに名前を変更しました。Googleは月間12億人以上のユニークビジター【同じ人(ブラウザ)が集計期間中に何回訪問しても「1人」とカウントする訪問者数】と940億ドルの総資産を持っています。
3. IBM
画像出典:columbia.edu
IBMは、ナノテクノロジーからメインフレームコンピュータに至るまで、コンピュータ・ソフトウェア、ハードウェア、ホスティング、コンサルティングサービスを製造、販売する国際企業です。
同社は1911年7月16日にトーマス・J・ワトソンとチャールズ・ランレット・フリントによって設立されました。トーマス・ワトソンは国営レジスターを辞めた後、自分の会社をIBM(International Business Machines)と呼ぶことで、かつての雇用主を追い越したのです。
2. Apple
画像出典:Tom Munnecke / Hulton Archive / Getty
Apple(アップル)はコンピュータ・ソフトウェア、ハードウェア、家電製品を販売しています。同社は、スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックによって設立され、Mac、iPod、iPhone製品で最もよく知られています。
ジョブズはアップル・オーチャード(一種のコミューン)を訪れた後、Apple Computerという名前を提案しました。「Apple」は、彼らが思いつく他のどんな名前よりも、とても優れていたのです。2007年、同社は社名から「Computer」を削除し、Appleとなりました。
1.Microsoft
出典:A history of Windows
Microsoft(マイクロソフト)は、Windowsオペレーティング・システムとMicrosoftオフィス・ツールで有名な、巨大ソフトウェア企業(総資産1,420億ドル)です。1975年にビル・ゲイツとポール・アレンによって設立されました。Microsoft(ハイフンなし)という言葉は、1975年11月26日にゲイツによって初めて提案され、1976年に登録商標となりました。
実際には、ゲイツとアレンがMITS(Micro Instrumentation and Telemetry Systemsの略)のAltair 8800用のソフトウェアを構築していたときの、「Microcomputer Software」という2つの単語からこの名前が派生したのです。