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ハイブリッドIoT:ブロックチェーン技術を取り入れてIoTの様々な欠点を克服するIBMの取り組み

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本記事は、IBM Presents A Hybrid Blockchain Architecture For Internet Of Things
翻訳・再構成したものです。
配信元または著者の許可を得て配信しています。

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読了時間 : 約3分5秒

・IBMが、ハイブリッドIoTネットワークを自律的に制御するピアツーピアの分散型フレームワークのアーキテクチャを開発。
・IoTデバイスを個々のブロックチェーンにクラスター化するために、ビットコインのProof-of-Workコンセンサス・プロトコルと新しいコードベースを使用。

 

IoT(モノのインターネット)は、より賢く、効率的で、収益性が高く、より接続されたものにするために、様々な分野に異種混合的に適用されています。そのためには、互いに検出し信頼し合うことができるような、膨大な量の疎結合スマートデバイス【様々な用途に使用可能な多機能端末】の効果的な接続、操作、管理が必要です。

 

現在、すべてのスマートデバイスとハードウェアは、集中型インフラを介して接続されています。このタイプのアーキテクチャの3つの主な欠点は、高いメンテナンスコスト、セキュリティ上の懸念に対する単一障害点【そこに障害が発生するとシステム全体が停止してしまう箇所】、他の集中型ネットワークとのデータ集約が制限されていることによる相互運用性の低さです。

 

一方、IoTの分散化にはいくつかの利点があります。例えば、データのセキュリティやプライバシーが強化され、処理のためにクラウドに送られるデータ量が減少し、自律的で協調的な運用が可能になります。

 

最近、IBMの研究者たちが、IoTの異機種ネットワークを自律的に制御するピアツーピアの分散型フレームワークのアーキテクチャを発表しました。これは、分析、チームが書いた新しいプログラム、有名なブロックチェーンコミュニティに基づくオープンソースモジュールを組み合わせて開発されたものです。

 

IoTのための有望な分散型プラットフォームの構築

このフレームワークを構築するために、研究チームはビットコインのProof-of-Workコンセンサス・プロトコルを使用し、IoTハードウェアを個々のブロックチェーン(サブブロックチェーン)に効率的にクラスター化するプログラムを書きました。

 

しかし、これは口で言うほど容易なことではありません。何十億台ものデバイスが存在し、リソースの制約もあるため、IoTにおけるブロックチェーンの展開は困難を極めるのです。効率的なブロックチェーン・アーキテクチャは、膨大な数のIoTデバイスに対応し、高スループットのトランザクションを処理できるスケーラビリティを備えていなければなりません。

 

スケーラビリティを実現するために、今回の研究で開発されたプラットフォームは、Byzantine Fault Tolerant【ビザンチン・フォールトトレラント性:ビザンチン障害耐性をもつ分散合意アルゴリズムのひとつ】とProof-of-Work【プルーフオブワーク:ビットコインを初めとした暗号資産(仮想通貨)の取引や送金データを正しくブロックチェーンにつなぐための仕組み】の両方のブロックチェーン・プロトコルを利用しています。

 

まず、ブロックチェーン・プロトコルが複数のIoTハードウェア間の分散コンセンサスを確立し、次にハイブリッドIoTがByzantine Fault Tolerantを利用してサブブロックチェーン間の相互運用性を達成します。

 

フレームワークの性能をテストするため、研究チームは一連のブロックチェーンIoT統合メトリクスを開発しました。ブロック生成間隔、ブロックサイズ、ピア数、デバイスの位置など、いくつかのブロックチェーンの変数を分析するためにコンピュータシミュレーションを使用しました。

 

研究チームは、IBM POWER8スーパーコンピュータを使用して数十万台のデバイスのデータをシミュレーションしました。これにより、セキュリティ、スケーラビリティ、その他の統合指標の観点からサブブロックチェーンのクラスタリングと選択の問題を正確に可視化することができました。

 

これらのシミュレーションを使用して、ユーザーの好みに応じて異機種IoTデバイスをサブブロックチェーンに最適にクラスター化する分析とガイドラインを定義しました。

 

IoT向けハイブリッド・ブロックチェーン・アーキテクチャ
出典:研究チーム

 

そして、システムのスケーラビリティとセキュリティをテストするために何千もの実験を行いました。例えば、DDOS攻撃のような様々な脅威に対する検証です。さらに、研究チームが定義したガイドラインによって、セキュリティの脆弱性が防止されることを実証しました。

 

全体として、研究チームはこの研究で3つの主要な貢献をしています。

 

1. パフォーマンスをテストするためのProof-of-WorkブロックチェーンとIoTの統合メトリクスのセット。
2. IoTにおけるProof-of-Workブロックチェーンの性能に関する洞察。
3. IoTのためのハイブリッド・ブロックチェーン・アーキテクチャ。

 

次のステップは?

次のステップでは、より多くの物理的なIoTネットワークとシミュレーションを通じてアーキテクチャをテストします。

 

また、ハイブリッドIoTのセキュリティ強化設計を証明し、軽量ピア用のクラッシュ・フォールト・トレラント・アルゴリズム【プロトコルにある程度の弾力性を持たせることで、特定のコンポーネントが故障しても、アルゴリズムが正しくプロセスを進め、コンセンサスに到達できるようにするソリューション】を備えた完全なフレームワークを実装する予定です。

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