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AI活用法! 強力な抗生物質を発見

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本記事は、Scientists Discover A Powerful Antibiotic Using A Deep-Learning Model
翻訳・再構成したものです。
配信元または著者の許可を得て配信しています。

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読了時間 : 約2分21秒

・人工知能を駆使して、強力な抗生物質「ハリシン(halicin)」が発見された。
・既存の抗生物質に耐性のある細菌も含めて、有害な細菌を殺すものである。
・既存の抗生物質とは異なる化学構造を持ち、異なるアプローチで細菌を死滅させる。

 

ペニシリン(最初の抗生物質)の発見は、20世紀の医学に革命をもたらしました。しかしながら、過去数十年の間は、抗生物質の開発が著しく減少しています。

 

近年発見された抗生物質は、既存の薬を少し変えただけのものです。生物学者たちは、土壌に生息する微生物に致命的な細菌を殺す機能があるかどうかをスクリーニングすることに多大な労力を注いできました。

 

それでも、現代の抗生物質に耐性を持つ超細菌が広く蔓延しているため、科学者たちは大きな躍進を遂げることができないのです。さらに、新しい抗生物質をスクリーニングするための既存の技術は、かなりの時間と費用を必要とし、多くの場合、化学的多様性に制限されています。

 

現在、人工知能は生物学者たちが既存の抗生物質とはまったく異なる分子の大規模なデータベースを調べるのに役立っています。最近、MIT【マサチューセッツ工科大学】の研究者たちは、新しい機械学習アルゴリズムを使って、1億以上の化学化合物の巨大なデジタルアーカイブを分析し、世界で最も問題のある病気を引き起こす多くの細菌を殺すことができる化合物を特定しました。

 

彼らは、既存のすべての抗生物質に耐性を持つものを含む、有害な細菌を殺す新しい強力な抗生物質化合物を発見したのです。彼らは、ディープラーニングモデル(機械学習手法のサブセットとして人気が高まっている)を用いて、既存の薬剤とは異なるアプローチで細菌を殺す抗生物質を検出しました。

 

このモデルは、この新しい抗生物質に加えて、既存の薬と比較して異なる構造を持つ、ヒトの細胞に対して無毒であることが予測される23の有望な抗生物質候補を特定することができました。

 

このモデルは、従来の実験手法では探索に時間とコストがかかる広い化学空間を解析することができます。研究チームによると、このモデルは学習段階で化学構造について多くのことを学んだため、新薬の設計にも活用できる可能性があるということです。

ハリシン:強力な抗生物質

このモデルは、分子を連続したベクトルにマッピングし、特定の化学基の有無を反映させるものです。これらのベクトルは、その後、化合物の特性を推定するために使用されます。

 

研究チームは、大腸菌を殺すのに効果的な分子の特性を調べるために、約2,500の分子でモデルを訓練しました。訓練後、MIT・ハーバード大学ブロード研究所のDrug Repurposing Hubにある6,000の化合物でモデルをテストしたところ、訓練されたニューラルネットワークが、大腸菌を殺すのに効果的な分子を1つ検出しました。

 

その結果、学習されたニューラルネットワークは、非常に効果的な抗菌特性を持ち、ヒト細胞に対する毒性が低く、既存のすべての抗生物質と類似した化学構造を持つと推定される分子を1つ検出したのです。

 

ハリシン(上段)とシプロフロキサシン(下段)の比較
出典:MITのコリンズ研究室

 

研究者たちは、この分子をSF映画『2001年宇宙の旅』に登場するAIシステムにちなんでハリシンと命名しました。この分子を実験室で育てたいくつかの細菌株に対してテストした結果、既知の抗生物質に対して耐性を持つ細菌も含めて、テストしたほとんどの種に対して効果がありました。

 

研究チームはまた、2種類のマウス・モデルでハリシンをテストしました。その結果、24時間以内に感染症を完全に除去することができたのです。

 

さらにすごいのは、大腸菌がこの新薬に対して1ヶ月間、全く耐性を示さなかったことです。ちなみに、シプロフロキサシンという既存の抗生物質に対しては、細菌は1日で耐性を獲得し始め、1ヵ月後には200倍の耐性を獲得します。

 

今後、研究者たちは製薬会社やNPOと協力して、ハリシンをさらに検討し、ヒトに使用できるように開発していきます。

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