世界気象機関は、雲について100種類以上を認めています。しかし、それらは全体的な形と現れる高度に基づいて、10の属(基本的な種類)のいずれかに分類することができます。
さて、様々な雲が分類され、名前が付けられる基準となるのは、ルーク・ハワードの命名法と呼ばれるものです。これは、1802年にイギリスの化学者ルーク・ハワード【1772年~1864年】によって提唱されたもので、対流活動に基づいて雲を5つのグループに分類し、3つの高度によって交差分類します。3つの高度は次の通りです。
・下層:1,981メートル以下にできる雲
・中層:1981~6,096メートルにできる雲
・上層:海抜6,096メートル以上にできる雲
また、各属は種に細分化され、さらに変種に細分化されることも知っておくと良いでしょう。
下層雲
10. 層雲
略記号:St
層雲はほとんどが平らで特徴がなく、灰色がかった雲です。これらの雲は、冷気の低下や、その地域で朝霧が晴れることによって、地上のわずか上に低い高度で発生します。「霧雲」としても知られています。
層雲の特徴
層雲の形成は通常、小雨や降雪を伴う長時間の雲に覆われていることを示します。この雲は、高気圧に覆われた条件下でより長く持続します。小雨が降る可能性がありますが、この雲は大きな気象活動を示すものではありません。
9. 積雲
上から見た積雲
略記号:Cu
私たちは誰でも、若い頃は積雲に馴染みがあったものです。積雲のふくらんだ、あるいはふわふわとした様子は、「雲」という言葉を代表していたのではないでしょうか?
積雲は通常、高度2,000メートル以下の晴れた日に発生します。はっきりとした輪郭を持ち、集団または格子状に現れます。
積雲の特徴
積雲は降水とはあまり関係がありませんが、湿気や温度勾配などの気象要因により、急速に積乱雲に変化して、大雨や雷雨をもたらすことがあります。
8. 層積雲
層積雲の増強画像
画像出典:Arun Kulshreshtha
略記号:Sc
層積雲は基本的に積雲が大きくなったもので、滑らかさには欠けます。通常、高度2,000m以下に大きな塊で発生します。層積雲は亜熱帯や極地方でよく見られます。
層積雲の特徴
層積雲はしばしば小雨や降雪をもたらします。それよりも興味深いのは、ほとんど常に雷雨や突風前線のような極端な気象条件の前後に現れるということです。
さらに、これらの雲は、日中に雲の隙間から射し込む薄明光線【太陽光線の柱が放射状に地上や上空へ降り注いで見える現象】の原因でもあります。また、夜間に月の周囲で目撃されるコロナ効果の原因にもなっています。
7. 積乱雲
積乱雲(別名、かなとこ雲)
略記号:Cb
積乱雲は、垂直にそびえ立つ積乱雲としても知られ、強力な上昇気流によって形作られる大きくて密度の高い雲です。積乱雲は、そびえ立つような形をしていることを除けば、積雲とよく似ています。
典型的な積乱雲は、低高度から中高度、極端な場合は高高度まで広がることがあります。通常、これらの雲は「かなとこ」【鍛造(たんぞう)で加熱した金属をのせてハンマーで叩く作業台】のような上層と暗い下層を持っています。
積乱雲の特徴
積乱雲は差し迫った異常気象の兆候です。激しい稲妻や鉄砲水の原因となり、竜巻を発生させることもあります。
中層雲
6. 乱層雲
乱層雲
略記号:Ns
乱層雲は、中高度から発生し、低高度まで垂直に伸びる、暗くてほとんど形のない雲です。高度3,000メートル以下のどこにでも見られます。
乱層雲の特徴
乱層雲は、温暖前線によってもたらされる、中程度ながらも持続的な雨の兆候です。積乱雲とは異なり、通常は雷雨をもたらすことはありませんが、温暖前線の不安定な性質のため、雷雨の可能性はあります。
5. 高層雲
香港上空の高層雲
略記号:As
高層雲の特徴は、主に氷の結晶からなる、均一で灰色がかった層を持つ雲であることです。それ以外は特徴がありません。高層雲の色合いは、乱層雲よりずっと薄いものです。
安定した大きな気団から水蒸気が凝縮し、中高度まで達するとこのような雲が形成されます。この雲はしばしば上空の広い範囲に広がり、その厚さは様々です。
高層雲の特徴
高層雲は通常、厚くなると雨を降らせることがあります。ほとんどの場合、軽いにわか雨から始まり、次第に中程度の雨に発達します。より安定した雨が降るようになると、乱層雲に再分類されます。
4. 高積雲
部分的に照らされた高積雲
出典:Wikimedia Commons
略記号:Ac
高積雲は中緯度地方で最もよく見られる雲です。灰色や白の斑点が密集していることで区別できます。
高積雲と層積雲はほとんど同じであるため、区別するのが難しいことがあります(高積雲は層積雲に比べて個々の雲丘が非常に小さい)。
高積雲の特徴
高積雲は雨を伴わないものの、よく雷雨の後に発生します。垂直にそびえる高積雲の存在は、中層大気の乱れを示しています。
高積雲はその不安定性から、航空にとって最も危険な雲のひとつと認識されています。
上層雲
3. 巻雲
巻雲の派生型
略記号:Ci
巻雲は薄い羽毛のような筋で簡単に見分けることができます。通常、海抜5,500m以上、極端な場合は13,000m以上に形成されます。
巻雲は水蒸気ではなく、薄い氷でできています(5,500m以上では水蒸気が堆積する)。
巻雲は地球の温室効果に大きく貢献しています。入射する太陽放射のごく一部しか反射しない一方で、地球の大気から逃げる赤外線放射の約半分を遮るのです。
巻雲の特徴
巻雲が広範囲に広がっていれば、上層大気の乱れや、その地域でサイクロンが発生する可能性を示すのに十分です。
1800年代後半、気象学者はハリケーンを予測するためにこの雲をモニターしていました。同様のハリケーン予測システムは、1870年にキューバのハバナにあるベレン大学の学長、ベニート・ビニェスによって開発されました。
2. 巻層雲
月の暈[かさ]が特徴的な巻層雲
画像出典:Sean Mack
略記号:Cs
巻層雲は薄く均一な半透明の雲で、非常に見分けにくいものです。これらの雲には通常、太陽や月を取り囲むリング状の特徴であるハローが特徴です。ハローは、雲に含まれる氷の結晶に光が屈折することで発生します。
巻層雲の特徴
一般的に、巻層雲はその地域に温暖前線が近づいていることを示し、それに伴って降水をもたらします。極域で発生する巻層雲は硝酸を運ぶことがあります。
1. 巻積雲
画像出典:Tony Jin
略記号:Cc
巻積雲は小さく斑状の白い雲で、通常は海抜4,800メートルから11,800メートルの間に現れます。
巻層雲と巻雲という他の2つの主要な高層雲タイプとは異なり、巻積雲の雲は氷ではなく、少量の過冷却した液体の水を含んでいます。
巻積雲のひとつひとつの雲丘(雲粒とも呼ばれる)は、高積雲や層積雲の雲丘よりもはるかに小さいものです。
巻積雲の特徴
巻積雲が降水をもたらすことはあまりないでしょう。しかし、巻雲や巻層雲と一緒に現れた場合、雨が降る可能性があります。