魚は、ほぼすべての海洋環境に生息しており、それは海底よりも深い海溝から海抜の高いところにある渓流までにわたります。また、有史以来、主要な食料源として利用されてきました。
伝統的に、現存する魚類は無顎口上綱、硬骨魚綱、軟骨魚綱の3つに分類されています。
【参考】
無顎口上綱:ウナギ型の脊索動物の上綱で、顎と腹びれを持たない
硬骨魚綱:軟骨に加えて硬骨で骨格が形成された魚綱
軟骨魚綱:体のすべての骨が弾力性のある軟骨でできた魚
魚類は約33,600種が知られています。脊椎動物の中でこれほど多様な種が存在するグループは他にありません。もっと細かいスキームもあります。すべてを網羅することは不可能ですので、この記事では、地球上で最も一般的な魚類12種をご紹介します。
12. シャムトウギョ
シャムトウギョ
画像提供:Daniella Vereeken/Flickr
学名:Betta splendens(ベタ・スプレンデンス)
保全状況:危急
【保全状況:ある生物の種が現在、または将来的に存在している見込みを表す指標】
シャムトウギョ、通称「ベタ」は、世界中の水族館で普通に見かけます。水族館にいるベタは鮮やかな色の種ですが、くすんだ茶色や灰色である種も多くいます。平均的な体長は約6.5cmです。
ベタは縄張り意識が強く、攻撃的な種です。特に狭い場所に閉じ込められると、オス、メスともに互いに高い攻撃性を発揮します。タイ、ラオス、カンボジア、ベトナムなど東南アジア本土に生息しています。
11. 金魚
一般的な金魚
学名:Carassius auratus(黄金のフナ、という意味)
金魚は、おそらく世界で最も一般的な観賞魚です。水槽を持っている、あるいは持っていた人はほぼ、ペットとして金魚を飼っているでしょう。
金魚は体の特徴や色合いから、300種類に分類されます。よく知られている種の多くは、約1,000年前に初めて品種改良された中国産のものです。
また、淡水魚の中でも最もよく研究されている種のひとつでもあります。複数の研究により、金魚が強力な認知と学習の能力を持っていることが示されています。なかには、金魚が異なる色や形を区別できることを明らかにした研究もあります。また、金魚の記憶力は3ヶ月であることもわかっています。
10. ヨーロッパオオナマズ
ドイツ、ライプツィヒ近郊のヨーロッパオオナマズ
画像提供:Dieter Florian
学名:Silurus glanis
寿命:50年
ヨーロッパオオナマズ、別名ダニューブ・ナマズは、ユーラシア大陸周辺の流れの緩やかな河川や湖沼に生息する現存するナマズの一種です。チェルノブイリ原発で長く放置されている冷却池には、このナマズが少数生息しています。意外なことに、放射線の影響は受けていないようです。
全長5m、体重300kgにもなる、ユーラシア大陸に生息する淡水魚の中で最大の魚です。15kg以上の大型のヨーロッパオオナマズは、その攻撃的な性質から趣味としての釣りの対象として人気があります。
9. メカジキ
甲板上のメカジキ
画像提供:NOAA
学名:Xiphias gladius
寿命:9年
メカジキは、長く尖った嘴(くちばし)で認識されます。回遊魚であるため、熱帯から温暖な地域まで広く生息しています。スピードと敏捷性で知られ、獲物を効率的に捕らえることができます。
記録上、最大のメカジキは体長約4.5m、体重650kgです。
他のサメ類と同様、メカジキは環境に伴って体温を調節します。目の周りにある組織にある特殊な加熱器官によって体温を15度まで上昇させることができます。25,000種の硬骨魚のうち、このような加熱機構を持つのは22種で、メカジキはそのうちのひとつです。
8. タイセイヨウダラ
飼育されているタイセイヨウダラのメス
画像提供:Bruce McAdam/ Wikimedia Commons
学名:Gadus morhua
寿命:25年
タイセイヨウダラ、あるいは単にタラは、世界で最も多く人間が食用としている魚のひとつです。北大西洋の両側のほか、北海、バルト海などの北極海の一部に生息しています。
この種の魚は、側線【魚の体の側面にある】にある白い縞模様と、上半身にある黒い斑点で見分けられます。タイセイヨウダラの平均的な体長は約1.2m、体重は40kgですが、記録上最大のタラの体重は約96kgです。
20世紀後半に行われた乱獲により、1990年代には個体数が激減し、現在も完全な回復には至っていません。
7. 大西洋サバ
大西洋サバ
画像提供:Petar Miloševi CC BY-SA 4.0
学名:Scomber scombrus
大西洋サバには、スコティッシュ・サバ、ボストン・サバ、あるいは単にサバなど、様々な呼び名があります。一般的に北大西洋の温帯海域に生息しています。成魚になると体長30cmほどになりますが、最大で60cmほどの個体が目撃されています。
産卵期のメスは45万個の卵を産むことができます。毎年、約100万トンの大西洋サバが漁業によって捕獲されています。
この魚種の需要が高い理由のひとつとして、ビタミンB、セレン【ミネラルの一種】、オメガ3脂肪酸などの重要な栄養素が非常に豊富なことが挙げられます。
6. ネオンテトラ
ネオンテトラ
画像提供:Holger Krisp/ Wikimedia Commons
学名:Paracheirodon innesi
寿命:5~10年
ネオンテトラは、鮮やかな色柄で知られる人気の観賞魚です。アマゾン川流域の清流とブラックウォーター【川底に堆積した枯れ葉などからしみ出したタンニンにより透明な黒〜茶色に着色された酸性河川】の両方に生息している一方で、東南アジア各国でも養殖が行われているため入手可能です。ネオンテトラの最大体長は約3.5cmです。
この魚種は左右にある2本の虹色の横縞で簡単に見分けることができます。1本目は目から脂鰭まで伸びる光沢のある青い縞模様で、2本目は体の中央から尾の後ろ側に延びる太い赤色の縞です。これらの虹色の縞は、夜間はくすんだり、灰色になったりします。
5. コイ
野生のコイ
画像提供:Wikimedia Commons
学名:Cyprinus carpio
コイは食用、観賞用として人気のある魚の一種です。アジアとヨーロッパに生息していますが、世界各地への導入に成功しています。
飼育されているコイと野生のコイでは、体型や大きさに大きな違いがあります。飼育されているコイは大型化する傾向があり、野生のコイの4倍にもなることがあります。最大で45kgの個体が確認されています。
メスは1年に100万個近い卵を産むのですが、菌類や細菌類の感染症にかかってしまい、生き残るのはわずかです。コイは金魚と異種交配できることが知られています。
食用魚として人気があるにもかかわらず、その破壊力と侵入力の強さから、世界の一部地域ではコイは有害生物として認識されています。オーストラリアでは、爆発的に増加するコイの個体数を制限するための方法が、いくつか検討されています。
4. バサ
【画像は訳者が掲載。引用元:Wikipedia Commons】
学名:Pangasius bocourti
バサは、東南アジアを中心に広く生息している食用魚です。この種は地域によって呼び名が異なり、イギリスでは「river cobbler」として親しまれ、オーストラリアでは「basa fish」や「swai」スワイと呼ばれています。
北米では、(生息地からの)バサはほとんど避けられています。バンクーバー水族館の一部であるOceanWiseなどの環境調査機関は、バサが身近な環境に悪影響を及ぼす可能性があるとして懸念を表明しています。
米国とカナダの様々な水族館は、趣味で楽しむ人たちに、他の種類の魚の中でもバサを避けるように勧めています。
3. ナイルティラピア
ナイルティラピア
画像提供:Wikipedia Commons
学名:Oreochromis niloticus
ナイルティラピアは、世界で最も重要な食用魚のひとつです。アフリカ北部に生息していますが、世界各地に導入されています。体長は約60cmで、体重は5kgを超えることはほとんどありません。
様々な絵から、この魚種が古代エジプトではよく知られていたことがわかります。そのような絵のひとつは古代エジプトの墓に見られ、人工池にいる魚(ティラピアと思われる)が描かれています。
ナイルティラピアは非常に社会性の高い魚です。オスが優位に立ち、交尾や餌を支配する社会階層も見られます。
2. マス
ブラウントラウト
画像提供:アメリカ合衆国魚類野生生物局
科:サケ科
マス(トラウト)とは、淡水魚の通称で、Salmo属、Salvelinus属、Oncorhynchus属の3種に分類され、その種類は多岐にわたります。
周辺の環境に応じて模様や色彩が変化し、繁殖期には鮮やかな色彩を示す種も少なくありません。一部の種を除き、すべてのマス類は形態的に異なっていても、大きな遺伝的差異は見られません。
北米で広く親しまれているレイク・トラウトの中には、体重が30kgを超えるものもあります。
1. サケ
サクラマス
画像提供:Wikimedia Commons
科:サケ科
サケは、マスと同じくサケ科に属しています。サケには約9種が存在し、いずれも2つの異なる属に由来します。他のいくつかの魚種は、世界各地でサケ(サーモン)と呼ばれているものの、サケではありません(たとえば、オーストラリアンサーモンやハワイ料理のサーモンなど)。
サケは大西洋と太平洋で生息していますが、現在では、世界各地でサケの養殖が盛んに行われています。サケの多くは溯河性で、孵化や産卵のために海から淡水域に遡上します。
溯河性のサケは孵化した場所に戻ってくることが、一般的に信じられています。追跡調査や行動調査によって、これはほぼ事実であることが示されています。