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新研究!生体機能チップを使った人工システムは脳とその血管に対する薬物の影響を研究するための新しい方法を提供する

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本記事は、The Unprecedented View Of Human Brain Obtained Via Organ Chips
翻訳・再構成したものです。
配信元または著者の許可を得て配信しています。

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読了時間 : 約2分53秒

・脳の血管系がどのように代謝機能を制御しているのか、これまでにない新しいモデルによって明らかになった。
・このモデルは、人間の臓器の機能をシミュレートした生体機能チップで構成されている。
・各生体機能チップは、コンピュータのメモリースティックほどの大きさの柔軟なポリマーを含んでいる。

 

人間の脳は、860億個以上のニューロン【神経細胞】と、それと同等かそれ以上の数のその他の細胞から構成され、あらゆる行動、言葉、思考を制御しています。完全な回路は神経伝達と呼ばれるプロセスによって管理されています。

 

血管と脳のつながりは非常に複雑です。これらの血管は、特定の分子(栄養素や酸素など)のみを血液から脳へ、あるいはその逆へと運びます。アストロサイトやペリサイト細胞を支える血液細胞の独特のネットワークが、血液脳関門(BBB、blood-brain barrierの略)を構成しています。

 

このバリアが、メタンフェタミンのような薬物の服用によって歪むと、脳の敏感なニューロンは有害なダメージに対して脆弱になります。

 

【用語の説明】
アストロサイト:星状膠細胞。脳と脊髄に特異的な星型のグリア細胞で、血管系とニューロンを結びつけ、神経系の構築、神経伝達物質の取り込み、血液脳関門の形成などの重要な役割を果たしている。
ペリサイト:周皮細胞。毛細血管壁に関連して見られる多能性間葉系様の細胞で、血管新生、微小血管の構造完全性、および血流調節にとって重要である。
血液脳関門(BBB):脳血管内皮細胞を主体として、循環血液と脳神経系の物質輸送を制御する機能を担っており、脳の活動に必須な栄養素を選択的に取り込む反面、薬剤の脳への送達を著しく制限する生体内バリア。

 

何年もの間、科学者たちは脳細胞とBBB細胞がどのように影響し合っているかを解明しようとしてきました。最近、ハーバード大学ヴィース研究所の研究チームが、脳の血管系が代謝機能をどのように制御しているかについて、これまでにない視点を提供する脳-BBBインターフェースのモデルを開発しました。

 

マイクロチップ上の人間の臓器

人間の脳は最も複雑な身体の部位であるため、ひとつの生体機能チップだけで調べることはできません。そこで研究チームは、ひとつの臓器を複数のチップに分割したのです。これは、生きた人間の臓器の機能をシミュレートする、マルチチャンネルの3Dマイクロ流体細胞培養チップです。

 

各生体機能チップは、生きた臓器特有の細胞が並ぶ中空のマイクロ流体チャンネルからなる、コンピュータのメモリースティックほどの大きさの柔軟なポリマーを含んでいます。これらの生体機能チップが、脳内のいくつかの構造間の相互作用のまったく新しいレベルを明らかにするのです。

 

この脳-BBB人工システムは、3つのチップをマイクロ流体チャンネルで連結し、チップ間で様々な種類の分子を交換します。

1.流入BBBチップ
2.脳チップ
3.流出チップ

 

BBBチップのチャンネルが、血液を模倣した培養液を運ぶ内皮細胞と並ぶと、アストロサイトとペリサイト細胞からなる平行チャンネルによって隔離され、そのチャンネルはaCSF(人工脳脊髄液)で灌流されます。脳チップにおいては、同様のタイプのaCSFチャンネルが、脳神経細胞とそれに関連するアストロサイトを含む領域から多孔質膜によって隔離されています。

 

マイクロ流体チャンネルを介して2つのBBBに接続された脳チップ(上)
出典:ハーバード大学ヴィース研究所

 

3つのチップのaCSFチャンネルはすべて直列に連結されており、脳組織を模倣した完全に連結されたシステムを形成しています。

 

実験と結果

脳-BBBチップにメタンフェタミン(細胞の接合部に歪みを生じさせる)を作用させたところ、これがBBBの血管内皮細胞の接合部に影響を与え、通常BBBを通過できない物質が脳チップに通過できるようになりました。

 

これにより、脳-BBBインターフェースが機能することが確認され、人間の脳に対する様々な薬物の影響をよりよく理解するための今後の研究に利用できる可能性があります。

 

メタンフェタミン(左)はBBB間の接合部(緑色)を破壊する
出典:ハーバード大学ヴィース研究所

 

研究チームはまた、連結していないチップの細胞は、連結している脳-BBBチップの細胞よりも、代謝に関連するタンパク質の発現量が少なく、遊走【移動すること】や増殖に関連するタンパク質の発現量が多いことにも気づきました。これは、異なるタイプの細胞が連携して適切な機能を維持していることを示しています。

 

また、GABA(γ-アミノ酪酸)とグルタミンの産生は、BBBで連結された脳チップの方が、連結されていない脳チップよりも高いことも発見されました。このことは、精神機能が血管の健康状態に影響されている可能性を示唆しています。

 

次の研究では、高度な生体機能チップを用いて、血管内皮細胞が人体の他の臓器の特定の機能にどのような影響を与えるかを調査する予定です。

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