この記事は、しばしば考慮から外されてしまうグループについて取り上げる〈the Spire Digital Accessible Designシリーズ〉の第1部です。私たちは日々、デザイナーの実践のなかで、使いやすいデザインがつくられることを目指しています。
プロダクトデザイナーの仕事とは、出資者ないしプロダクトインフルエンサーの言い分に関わらず、消費者を大切にすることです。それはつまり、ラップトップを開くたびにまず自分の思い込みをチェックし、友人や家族を忘れて、手元にある製品とそれがリリースされている世界の大きさや多様性に集中することを意味します。いつでも、使いやすいデザインについて考えていなくてはならないのです。
すべての人のためにデザインするということは、ときには障害を持った人々のために立ち上がることであったり、製品のルックアンドフィールのために、ワクワクするデザインやクライアントのビジョンを後押しすることであったりします。私のメンターはいつも、最悪のデザイナーとは自分のためにデザインする者であると言っていました。私たちの仕事とは、すべての人々のために、できる限り快適で楽しい経験をデザインすることなのです。
私は最近、能力ないしテクノロジーへの適応具合に幅のある広い層の高齢者へ向けたアプリケーションをデザインする機会がありました。私がこれまで学んできたことは、氷山の一角に過ぎなかったのです。
最適な方法
・短期記憶と一時記憶は脆弱であるため、可能であれば、機能の説明は全てを一度に行うのではなく、徐々に行う
・画面を複数に分割しない。一度に一つのことに集中できた方が良い
・作業進捗ないし完了についてのフィードバックを明快にする
・習慣的な動作の合図として、リマインダーとアラートを用いる
・音声ないしビデオには字幕を使用
・パンくずリストを用いるなどして、ホームページに戻る方法を明快にする
・画像やグラフィックの上に文字を重ねない
・気が散るのを避けるために単純な無地の背景が有効
・明快であること:製品の目的を明確にする
思い込みをなくす
・UIデザインについての既存の知識について再考すること
・高齢者はスクロールや検索機能を理解していない可能性がある
・高齢者は略語や頭字語(とくに認知症の人)を理解していない可能性がある
・高齢者は若年者よりもアテンションスパンがずっと長いので、長文のテキストや深い内容については問題ない。ただし、注意力を分散しないように
・アイコンや記号、特にハンバーガーのメニューは明確ではない。アイコンや記号を使うときは必ずテキストと組み合わせる
フォント
・可能であれば16px以上とし、自分でフォントサイズを調節できるように
・Sans serifsの使用が最適(Roboto, Helvetica, Arial, Futura, Avant Garde, Verdanaなど)
・複数のフォントの使用を避ける
・コンデンスドフォントの使用を避ける
・階層を明確にするために太さを活用する(boldとregularなど)
色
・インターフェイスのなかで、重要な要素には青色を避ける
・メッセージの伝達に色を使用しない
・赤と緑は、色覚異常の人にとって最も識別が難しい
・ハイコントラストが最適。特に色値(ネイビーとライトブルー、または白と黒)の範囲内の場合が良い
・オンラインの視覚障害シュミレータを使用し、デザインをグレースケールに変換して判別できることを確認
デバイス
・小画面のデバイスを避ける。高齢者はタブレットの最大のユーザー
・高齢者はタッチインターフェイスを使用によりパフォーマンスが上がる(他の運動技能に比べて、指でのタップは衰えるのが遅い)
はじめの一歩
私たちは1人、2人、あるいは3人のペルソナためにデザインするように訓練されてきました。しかしその中にはいつも、障害を持った人々が含まれています。私たちの仕事は、ペルソナを包括的にしてデザインの使いやすさを追求することです。ユーザーインターフェイスについての思い込みを捨てて、色覚障害のある人々にとって読みやすい色やフォントを選択することが、はじめの一歩なのです。
最後になりましたが、いちばん重要なことを述べておきます。デザインをリリースする前に、包括的な人々を対象としたユーザビリティテストをしなくてはなりません。障害を持っている人々や、様々な年齢層の人々にとってもデザインが有効なのか確かめるのです。これこそ、デザインが思慮深く、そしてすべての人々にとって成功したものであるか否かを真に確かめる唯一の方法なのです。