有名な芸術家エドガー・ドガはかつて、芸術とは自分が見るものではなく、他人に見させるものであると言っています。
グラフィックデザインにおいては問題を解決するものとして定義されています。デザインは少しの変化で与える印象が変わり、人の行動にまで影響を及ぼします。最近ではフラットデザインが大きく普及しましたが、問題解決の手段として見た場合にはどんな利点があるのでしょう?また、どんな場所でその利点を活かすことができるのでしょうか?
フラットデザインの利点
フラットデザインにはこれほどまで普及するに足る利点がしっかりと存在します。数ある利点の中でも私たちが重要だと考えるのは次のことです。
- ・読みやすさと判別のしやすさ
- ・形状、色、フォントによる判別しやすい階層構造
- ・ウェブとモバイルにおける高速で直感的なナビゲーション
- ・レスポンシブデザインにおける調節のしやすさ
- ・様々な画面での見やすさ
- ・開発者にとって扱いが楽で、デジタルシステムにおいて軽量に作れることが多い
実践:フラットデザインが活躍する分野
フラットデザインは柔軟性と芸術性が求められる領域で採用されています。特に活躍するのは、次のような場所です。
・UXワイヤーフレーミング
レイアウトやロジックを検討するごく初期の段階からフラットデザインは利用できます。デザイナーたちはクライアントやチームメンバーにこれから制作するアプリやウェブの基本設計をプレゼンします。ここではナビゲーションや中心となる要素において素早く効果的なデザイン設計を構築することが求められます。
・UIデザイン
UIではフラットデザインが広く使われています。抽象的なコンセプトから独自性の高いマスコットやアイコンまで実際に使用されている例は非常に豊富です。
特にモバイルやタブレット用アプリでは、ユーザーと対話するUIにおいてフラットデザインを用いてコンセプトを示すことが増えています。
アイコンなどユーザーが触れる要素にもフラットデザインはよく使われています。レスポンシブUIではフラットデザインの持つシンプルさと見た目のユニークさが活用でき、小さな画面でも見やすいデザイン作りに利用されます。
また、独自に作成したカスタムイラストをUIに組み込む例が増えています。カスタムイラストは特定の製品やユーザーのニーズ、好み、ビジネスゴール向けに制作され、ユーザーをより満足させ苦痛を取り除く目的で使用されます。
こうした利点と実績のあるフラットデザインですが、もちろんあらゆるデザインより優れているというわけではありません。どれも独自の長所と短所があるものです。それでも、人間味を感じさせるバランスを持ち、美しさと機能を両立させることのできるフラットデザインはデザイン分野においては優れた選択肢と言えるでしょう。
※本記事は、Flat Design. History, Benefits and Practice.を翻訳・再構成したものです。