どの時代のグラフィックデザインも過去のデザインに影響を受けていることから、過去のデザインを改めて見ることで、今のデザインを考え直すことができます。
今回は150年のデザインの歴史をご紹介します。
レトロ回帰をしてみることで、あなたの作品に新しい風を吹き込んでくれるかもしれません。
Victoria (1850年代~1900年代)
ヴィクトリア女王がイギリスを統治していた時代、ヴィクトリア朝から名前を取ったこの時期のデザインは、産業革命後の急激な変化を経験したイギリスを上手く表したものとなっています。文字の印象は強く、とにかくデザインを詰め込まれているのが特徴です。左右対称で、絵の中に文字が綺麗に埋め込まれています。
Arts and Crafts (1870年代~1910年代)
この時代は産業革命後の大量製造の流れに逆らって生まれたデザインであり、ハンドクラフトの人間らしいデザインに回帰し、自然に大きな影響を受けています。絵の密度が高く、植物や花などを使いながら、カーブの曲線で描かれているのが特徴的です。
Art Nouveau (1880年代~1910年代)
19世紀から20世紀への転換の時期に生まれたデザインで、流れるような曲線で自然を表現しているとされています。勉強し、労働し、自転車に乗るようになった、解放された女性が増えていくことに男性が危惧していた時代でもあり、その女性解放の流れはデザインにもしばしば表れています。当時の日本のデザインが影響を及ぼしたとも言われており、抽象的でフラットなデザインが多く、流動的な形が特徴です。
Dada (1910年代~1920年代)
反戦への強い意識が見られるデザインです。社会や伝統に疑問を投げかけ、多くの芸術家が新しいデザインを模索した結果、このデザインが生まれました。ルールを無視し、様々な写真やテキストを組み合わせることで、強いメッセージを表現しています。
Avant Garde (1920年代~1930年代)
第一次大戦と第二次大戦の間の時期に生まれたこのデザインには、鮮やかな色と幾何学模様が多用され、大きく太いフォントを使って画面いっぱいに文字が描かれているのが特徴です。この時期の芸術家がデザインの幅を大きく広げたと言われています。
Art Deco (1920年代~1930年代)
フランスで生まれたこのデザインは、生産と消費を活性化させるためのデザインと言われており、フランスの芸術家が伝統的な画法を復活させ、古典と植民地の文化を組み合わせた、他に類を見ない独特なデザインになっています。平面的で抽象的な形が使われ、ビルや鉄道、ジャズ音楽に大きく影響を受けています。
International Style (1950年代~1960年代)
第二次世界大戦のあと、スイスのデザイナーがAvan Gardeのテキストと写真の使い方を変化させ、シンプルさと正確さを追求した結果、生まれたのがこのデザインです。デザインを使って個性を表現するのではなく、コミュニケーションのツールとして使ったことで、ユニバーサルなデザインとなっています。サンセリフのフォントを使い、絵よりも写真を多用しているのが特徴です。
Mid-century (1950年代~1960年代)
第二次世界大戦が終わり、幸福と繁栄の時代に突入したアメリカで生まれたデザインです。明るく、カラフルなデザインになっており、消費者の消費欲を掻き立てます。活発さと気まぐれさを上手く融合させているのが特徴です。
Psychedelic (1960年代~1970年代)
ドラッグが急激に広まっていったこの時代は、戦後に生まれた人々がアメリカの物質主義と保守主義に疑問を持ったことで、若者が革命的な動きを起こした時代です。音楽フェスティバル、コンサートなど、この時代の象徴的なイベントはドラッグと相まって、デザインにトリップ感をもたらしました。明るくガチャガチャとした色を多用し、ぐるぐると渦巻く線を使ったサイケデリックなデザインが特徴的です。
Postmodernism (1970年代~1980年代)
ルールに縛られた合理主義のあとに生まれたのがポストモダンです。堅苦しさなどは一切排除し、派手で主張の強いデザインが特徴的です。ハイカルチャーとポップカルチャーの融合とも称され、カラフルな色使いで、機能よりも「楽しいデザイン」を優先し、大衆へ向けた意味を持たないデザインと言われています。
Grunge (1990年代)
ニルバーナやパールジャムなど多くのグランジ音楽がこの時代に生まれました。デザインでも同じで、マットで鈍った色を多用したリアリティを突き詰めたデザインがグランジデザインです。ぼやけて歪んだ写真を使い、手書き文字と不規則なフォントを使うことが多いです。
あなたのデザイン
グラフィックデザインのトレンドは周期的です。昔のデザインからインスパイアされて次の新しいデザインを生み出すのはあなたかもしれません。
※この記事は「https://designschool.canva.com/blog/retro/」を翻訳・要約したものです。
※この記事は2017年5月17日に加筆。修正いたしました。