このデザインチャレンジと、それに呼応するデザインソリューションでは現代の社会においてあまり目を向けられていない、シニア世代の生活に焦点を当てました。テク
ノロジーが、もっと具体的に言うとアプリケーションがどのように手助けしていくことができるかに重きを置いています。
プロンプト
現代社会ではシニア世代の多くの人が孤独と社会的な孤立に向かい合っています。こういった人たちが他の人と関わり、有意義な関係を作れるようなプラットフォームをデザインします。
発見することと定義すること
適切な質問をする、と言うことは問題解決の過程においてはプロダクトデザインと同じくらい必要なことです。問題が「何か」ということだけではなく、「なぜ」起きているかということを考えるのもプロダクトデザインの初期の工程においてはとても助けになる情報です。
私は「なぜ」の方を先に問うようにしています。
まず「なぜシニア世代は孤独と社会からの孤立に苦しまなければならないのだろう。」と考えてみるのです。
それからブレインストーミングに取り掛かります。
考えられる全ての要素を1つの製品でカバーするのは難しいことが分かったら次にすることは
プロンプト問題を絞り込む
ということです。そこで私はユーザーをタイプ別に分析し、どのタイプのユーザーがターゲットになり得るかということを見極めることにしました。
孤独や社会的な孤立に苦しんでいると考えられるユーザーのタイプは4つです。
・家族を失ったシニア
・LGBTのシニア
・郊外に住むシニア
・障害や疾患をもつシニア
次に私はコストパフォーマンスの高いダイアグラムを作成し、どのタイプがターゲットユーザーになり得るかを考えました。
プラットフォームを選ぶ
私がこの製品開発のために選んだのはモバイルアプリです。
理由1
アメリカにおけるスマートフォンユーザーは5年前に比べると2倍以上になりました。アメリカでは新たなモバイルテクノロジーが急速に受け入れられています。シニア世代における普及率は全体の人口からは遅れを取ってはいますが、65歳以上の成人でスマートフォンを使っている人は2013年から24%(18%-42%)上昇しています。今日成人のおよそ2人に1人がスマートフォンタイプの携帯電話を所有している計算になります。
理由2
携帯電話は文字通り携帯可能だからです。
デザインの決定と着手
プロンプトより:「他の人と関わり、有意義な関係を作れるようなプラットフォームをデザインする」
これには2つの疑問が浮かびます。
1.「有意義な関係」とは何に由来するか
・感情面での相互関係
・共通の興味
2.「他の人との関わり」とは何か
・住んでいる場所に基づくもの
・性的指向に基づくもの
・共通の興味に基づくもの(宗教観念、食、関係性、エクササイズなど)
ユーザーの痛点
・シニア世代の能力はメインストリーム社会でも十分価値があるものであるにも関わらず、それが見過ごされている。
・心が健康であれば身体にも良い影響を与えるにも関わらず、シニア世代の身体の健康に目を向けられることは多くても、メンタルヘルスに目を向けられることは少ない。
問題の提起
シニア世代の中でも特に配偶者をなくした人、自身がLGBTでありこれまで長く続くパートナーシップを築くチャンスがなかった人は独りで生活している人が多くいます。身体的にはほとんどの事を独りで行うことが可能であっても周囲にはあまり多くのコネクションがなく、その結果孤独や孤立を感じています。
HMW(我々はどうするべきか)におけるデザイン哲学
デザイン哲学は感情面での相互関係と共通の興味に基づいています。シニアのポテンシャルを明らかにして、それを良く作用しあえる人たちと結びつけるために私たちはどうするべきでしょうか。
デザイン決定
あまり気にかけられていないシニアが家族のような関係を築ける、温かなコミュニティーを作る手助けをします。
「あまり気にかけられていないシニア」とは
・家族を失ったシニア
・LGBTのシニア
「家族のような関係」とは
・親子のような関係
・恋愛を通した関係
観念化
あるユーザーの場合
カレンさんは62歳で未亡人で、ご主人は3年前に心疾患で亡くなりました。カレンさん自身は看護師をしていました。彼女は今ニューヨーク郊外の町で犬のマギーと暮らしています。子供達は年に2回、母親であるカレンさんを訪ねてきます。カレンさんは時に孤独を感じていて、深い話ができて分かり合えるような相手が見つからずにいます。犬さえも年老いてきました。
このアプリを使った後、彼女は彼女と同じように配偶者をなくした人たちとの繋がりを持つことが出来ました。それだけではなく、両親をなくした若者のとの出会いもあり、彼らとは特別な結びつきがうまれました。
解決を促すもの/促したもの
・両親をなくした若者との出会いを生み、互いに親子のような関係を形成した。
・配偶者をなくした人たちが一歩前に進めるように、シングルのシニア同士がパートナーシップやフレンドシップを形成できるようサポートすること。
・共通の興味、オフラインでの活動への参加、またはオンラインでの有意義なディスカッションをベースにグループを形成することでより関係性を深めること。
機能の観念化と情報構築