「アイス・エイジ」や「ハッピーフィート」のような3次元アニメーション映画がどのように作られているか興味はありませんか?近年はアニメーション作品のみならず、実写映画のVFXやゲーム分野でも、3次元コンピューターグラフィック(3DCG)の技術は無くてはならない存在となっています。
Autodesk Maya(以下、Maya)は高度な3Dモデリングを実現することができる、Autodesk社製のハイエンドな3次元CGソフトウェアです。このソフトを使うことで、空中にスクリュードライバーや飛んでくる矢を描いたり、何もない場所に街灯を設置したりすることができるようになります。どんなアニメーションでも作れる機能を全て揃えているMayaは、3Dアニメーション制作の現場や映像業界で長らく高いシェアを占めており、プロダクションの規模の大小にかかわらず、映像を作るのにベストな選択肢であると考えられています。
冒頭で名前を挙げたアニメーション映画のほか、実は「ブレードランナー2049」や「ゲーム・オブ・スローンズ」といった作品のCGは、このMayaを使って制作されています。Mayaは映画産業向けに開発されたソフトウェアであり、そのカスタマイズ性の高さから、今日ではVFXやアニメ・ゲーム産業でも広く利用されるようになりました。
機能が豊富すぎるほどたくさん揃っているMayaですが、このソフトウェアには初心者から上級者まで幅広いユーザーの役に立つチュートリアルが数多く用意されており、これらの助けを借りてユーザーはMayaで3Dのグラフィックやアニメーション、VFXを作成することが可能となります。チュートリアルによっては専門機関の認定を受けたエキスパートトレーナーが動画で分かりやすく解説してくれるため、Mayaの基本的な機能の解説から3Dモデルの設計、アニメーションの付加、レンダリングまでをマスターすることができるのです。
Mayaのユーザーは大きく2種類に分けられます。一方は仕事としてプロフェッショナルを目指す人々、そしてもう一方は趣味の範疇として楽しむ人々です。仕事で使うユーザーは古典的な方法に従って、専門の機関(オートデスク認定トレーニングセンター)でこのソフトの使い方を学びます。このソフトや業界でキャリアを築こうとする人々はMayaを習得する最善の方法を日々模索しており、彼らの要求に応えるため様々なMayaチュートリアルが作られているのです。
しかし、趣味で楽しむユーザーは、無料トライアル版をダウンロードするところまではできても、これら高価なチュートリアルを気軽に利用することは現実的ではないでしょう。とは言っても、プロアマ問わず役立てられる無料のMaya向けチュートリアルが様々なwebサイトで提供されています。特にMayaはアニメーション制作ソフトとして評価が高いことから、アニメーション機能の使い方を分かりやすく学ぶことができます。ユーザーはこれらのサイトにアクセスして、自分に必要なチュートリアルや使えそうなモデルを入手するだけで良いのです。初心者向けチュートリアルでは、モデリングと設計から表現プロセスまでに関するほぼ全ての工程をカバーしています。
それでは、おすすめのMayaチュートリアルとCGアートメイキングを紹介していきましょう。リンク先は全て英語ですが、動画やスクリーンショットを豊富に交えて説明しているため、見ているだけでも面白いですよ。まるで本物みたいな架空の映像がどのようにして作られていくのか、モデリングを始めてみたいと考えている人もCGに触れたことのない人も楽しめること間違いなしです。
無料で見られるMaya 3Dチュートリアル15選
1.SFに登場しそうな武器を作る
Creating A Futuristic Weapon を見る
この動画はモデルの作成からサポートエッジの追加、エフェクトによる仕上げまでを解説したシリーズのうち、3番目のパートです。スクリーンショットを用いながら約60のステップを踏んで分かりやすく解説します。基本を学ぶには多くの時間を要しますが、試してみる価値はありますよ。
2.ブードゥー教の人形のマスコットを作る
Rigging A Voodoo Doll Character を見る
こちらは一連のシリーズのうち、仕上げ段階の解説をした2番目のパートです。Anzovin Studios社などが提供する、カスタマイズを簡単にするサードパーティ製プラグインを利用しながらキャラクターモデルを作る方法を紹介します。
3.キャラクターの3面図に使えるモデルを作成する
Create A Stylized Character を見る
Mayaユーザーの間ではよく知られる、強力な2つのソフトウェアを併用してモデルを作成する動画シリーズです。このチュートリアルは全6パートで構成されており、リンク先で紹介しているのはZbrushを用いたリポトポロジに関する解説(全パートのうち3番目)となっています。オブジェクトをMayaにエクスポートし、キャラクターのズボンを低解像度のメッシュに分ける工程です。
4.寺院の作成を例にモデリングワークフローの基本を学ぶ
Creating A Temple In Maya, A Basic Modeling Workflow を見る
ここで紹介されているのは、実績に基づいた実用的でシンプルな技法です。このチュートリアルでは古代寺院のモデル構築を例に、その技法を実際に使って解説していきます。約1時間の動画には基本となるメッシュの作成とブロックアウトの方法が収められており、全ての初心者におすすめしたいスタートガイドとなっています。
5.美しい女性の立像を作る
Making of the Standing Beauty を見る
こちらは動画によるチュートリアルではなく、手描きのスケッチを元にリアルなモデリングをする手順をステップごとに解説した概要記事です。7つのセクションで構成されるこの記事では、スケッチの準備からZbushのカスタマイズまでを取り扱っています。スクリーンショットをたくさん交えながら説明しているので分かりやすいです。
6.簡単なロボットを例にしたモデリングとレンダリングの基本
Modeling And Rendering A Simple Robot を見る
シンプルで繰り返しが簡単なポリゴンモデリングを活用して簡単なロボットを作成するチュートリアルです。セットアップやマテリアルの適用、レンダリングテストとしてV-rayを使う方法を学びます。概念をよりよく理解するため3つのパートに分割されており、基本的な知識と実践的な経験を身に付け始めた人におすすめの動画となっています。
7.はためく旗のシミュレーション
Create Awesome Cloth Simulations を見る
力学的シミュレーションを用いてモデルにリアルな動きを与える方法を解説します。このチュートリアルではnDynamicsのパッシブコライダと空力学・重力分野の機能が強化されたnClothオブジェクトを採用しています。69の明快なステップに従うだけで、チュートリアルに登場した旗と同様の傑作が数時間で作れるでしょう。
8.リアルなギターをレンダリングする
Rendering A Realistic Guitar を見る
このチュートリアルは、本物さながらのモデルを作成する技術を順を追って1から解説するものです。動画では、Mayaと連携して素晴らしい力を発揮するレンダラー「V-ray」を活用しながら、マテリアルとテクスチャの上手な適用方法やHDRIとグローバルイルミネーションの使い方を説明しています。
9.オリジナルキャラクターをモデリングする
チュートリアルは3部構成となっています。最初のパートではコンセプトを決めてスケッチと設定画を起こします。2つ目はモデリングの解説、3つ目はテクスチャとレンダリングについてです。ここでは細部の解説はしていないため、中級レベルのアーティスト向けの記事と言えるでしょう。
10. 『Revolution』:CGアートのメイキング
革命、と名付けられたこのCGアートは細部の作り込みと幻想的な要素が素晴らしい作品です。リンク先の記事は作者による制作工程の概要のみにとどまっていますが、それでもハイテクで未来チックな雰囲気をレンダリングするときのガイドラインとして役立ちます。コンセプト、スケッチ、デザイン、参考資料の収集、ローポリゴンでのモデリング、UVの設定、skinシェーダ、テクスチャ、リモデリング、レンダリング…などなど、全ての重要なステップを詳しく解説します。
11.『Rider』:CGアートのメイキング
浮き上がるバイクとライダーを描いたこの作品はエネルギーと躍動感にあふれ、受賞歴もあります。このチュートリアルは面白い小技やテクニックも取り上げていて、あなたがGCで困ったときに役立ってくれるかもしれません。MayaとZBrush、としてPhotoshopを併用して行うヤマハR1のモデリングから始めてみましょう。それができたらZBrushでライダーのモデル作りに進み、仕上げに周囲の構造物や背景を配置すれば完成です。
12.トロルの肖像のメイキング
Making of Portrait of a Troll を見る
この作品に描かれているのは、現在でも根強い人気を誇るテーブルトークRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』に登場する種族「トロル」です。チュートリアルでは、このゲームの大ファンでもある作者が如何にしてキャラクターに命を吹き込むかを教えてくれます。トピックスは以下のとおりです。
・ 概要
・ 基礎となるローポリゴンメッシュ
・ Mudboxによるスカルプティング
・ テクスチャ
・ シェーディング
・ ディティールの追加(細かいながらも全体の出来を左右する)
・ 最終レンダリング
・ 仕上げのためのPhotoshopによる加筆処理
13.子供の肖像のメイキング
こちらはモデリング、テクスチャの操作、ライティング、ポストプロダクションなど標準的な手順に沿って解説した短いチュートリアルです。作者はMayaを基本のシルエット作成に使用し、細部はZBrushを用いて豊かに仕上げ、仕上げは再びMayaで行っています。
14.グラディエーターのメイキング
きらびやかな古代ローマ時代の剣闘士のメイキングを解説していくチュートリアル。ここで扱うのはやや古いバージョンとなるMaya 2008ですが、制作に使用した便利なプログラムについての解説は現在でも役に立つことでしょう。トピックスは以下のとおりです。
・ レンダーパスの利用
・ ブレンドシェイプの調整
・ トラのモデル構築
・ テクスチャ
・ サブサーフェイス・スキャッタリング(表面下散乱)
・ 背景に群衆を描く
・ シーン全体の構成
15.チーズの盛り合わせ
食欲をそそる美味しそうなチーズの盛り合わせを描くチュートリアルです。最初はCGにリアリティを与えるために必要不可欠な参考資料、食べ物の写真を集めるところからスタートし、その後にUVマッピングとポリゴンを使ったモデリングの工程に移ります。最後に、サブサーフェイス・スキャッタリング、ライティング処理、タッチを加える仕上げをすれば完成です。