デザインと写真は共通の原理を持つ関連する分野ではありますが、異なる分野であることに変わりはありません。
「デザイン」という言葉は実に曖昧であり、「グラフィックデザイン」や「インテリアデザイン」などと他の言葉で補って使われます。
一方で、写真は現実に美的な価値を見出すものであることから、その原理はデザインのあらゆる分野に応用できるのではないでしょうか。
本記事では、デザインのあらゆる分野に応用できる写真の基本的原理をいくつか紹介します。
1.構図でシーンを演出する
構図の置き方によって、重要な点に視線を向けることができます。写真の世界では、三分割法が最も良い方法とされています。.
理論は単純です。写真を9分割にする3×3のグリッドを想像してください。見る人の視線は自然にこのグリッドに沿って流れるため、最も効果的な配置は、このグリッド上か、グリッドが交差する部分になります。
平面のデザインなら、仮想のグリッドを置くことでこの原理を直接応用することができますが、立体のデザインに応用しても、作品の一番重要な点に見る人の視線を向けることができます。
2.照明でムードを作る
照明ほど作品のムードや雰囲気に影響を与える要素は少ないでしょう。照明と言っても、明るさだけの問題ではありません。明るさ、 色合い、光の角度、すべてが作品の情緒的な味わいに大きな効果をもたらします。
例えば、同じ椅子と机というモチーフでも、晴れた日の昼下がりに外に置いてある姿と、室内でどこからともない光に照らされて大きな影を床に落としている姿を想像してみましょう。
インテリアデザインなどフィジカルな分野では、照明によってセットから受ける印象が大きく変わってしまいますね。そして、グラフィックデザインなどのデジタルの分野でも、照明を使って色彩を棲みわけたり、複雑に重なり合う情緒を作品に表現したりできるようになります。
3.アングルが大きな効果を生む
フォトグラファーの撮影現場では、フォトグラファーがしゃがんだり被写体に近づいたりして動き回る姿を見ることがあります。この理由は、写真が撮られるアングルが作品の印象の決め手になるからです。
下方からのアングルから受ける被写体のイメージは、大きい、パワフル、威圧的などです。一方で、上方からのアングルでは、小さい、かわいい、離れているというイメージを受けます。顔の角度を変えるだけで、デザインから受ける印象が覆るということもあります。したがって、アングルをうまく使える必要があるでしょう。
4.最大の能力は平凡なものを非凡に見せること
つまるところ、フォトグラファーの最大の能力は、平凡なものを非凡に見せることにあります。人間的なものに美しさと情緒を見出したり、面白いことが起きる一瞬を捉えられたりする能力です。
写真とデザインどちらも、無駄を取り除いてモチーフのエッセンスを提示し、見落とされそうなエネルギーを受け手に伝えることが目的です。豊富な経験があっても、これを成し遂げるのは実に難しいことですが、なおざりにしてはいけません。
終わりに
デザイナーとしての成長のために、写真を始めてみるのはどうでしょう。文字通り新しいレンズから世界を見ることになるばかりか、さらに重要なことに、周囲の環境を見る視覚的なセンスが磨かれることでしょう。
今回紹介した原理をデザインする作品に活かすことで、情緒的な味わいやインパクトを与えながらもデザインの目的を達成する作品を生み出すことができるでしょう。
※本記事は、The Photography Principles That Help Make You a Better Designerを翻訳・再構成したものです。