私たちは常にクライアントとの関係性について考えています。ウェブデザイナーとは、きれいなコードやグラフィックを創造するだけではありません。他にも、メンタルサポーター、技術サポーターなど多くの役割があります。
そして、知識を共有し、正しい方向に進むように助言をする「コーチ」のような役割もあります。
コーチが正しい名称とは思いませんが、名称はどうでもいいのです。ウェブ業界は常に変化しているため、クライアントにとってウェブデザイナーとは非常に貴重なリソースです。役割の名称ではなく、「何をするか」ということが極めて重要です。
私たちウェブデザイナーは、クライアントのビジネスが、大規模であろうと小規模であろうと、市場での後れを取らないように、新しく開発を進めていかなければなりません。そのためには、デザイナーとクライアントの関係性はとても重要となります。
この記事では、ウェブデザインの問題点とともに、ウェブデザイナーとクライアントが良い関係を築くためのヒントをご紹介します。
アクセシビリティ
ウェブデザイン業界の私たちは、何年もの間アクセシビリティの重要性について討論してきましたが、アクセシビリティの問題は、例のドミノピザ事件まで主流メディアでは取り上げられませんでした。
それが今や、クライアントも関心を寄せるようになってきています。企業は、すべてのユーザーに対応できなかった場合、法的(経済的)措置を取られる可能性も視野に入れているからです。
特に米国への警告ですが、ウェブサイトのアクセシビリティに関する具体的なルールはまだ制定されていません。
アクセシビリティに関するルールは、個別にアプローチする場合でもマスコミュニケーションを介してアプローチする場合でも、あらゆる人が利用するため、クライアントも知る必要があります。私たちウェブデザイナーは、ユーザーが求めるもの、そして、それに対して何ができるのかを把握しなければいけません。
タイポグラフィ、色のコントラスト、キーボードナビゲーションなどは、調整が非常に簡単なので、よりユーザー中心に設計しやすいですが、それらだけでなく、画像にALTタグを設定するなどのユーザーに沿った環境を強化することも重要です。
プライバシー
クライアントが最も考えなければいけないものが、プライバシー保護です。アクセシビリティとは異なり、プライバシーに関する問題は多く報道されています。GDPRのような規制は、そのような問題から施行されました。
多くのウェブサイトは必ず何かを収集しています。つまり、第三者のサービスプロバイダーと連携すると、Cookieやスクリプトによってトラッキングされているということです。ほとんどのサイトで採用されている日常的なサーバーロギングは言うまでもありません。そうすると、それらをバックアップするためのプライバシーポリシーと手順を整える必要性が出てきます。
ウェブデザイナーは法律の専門家ではないので、そういった類の唯一のプロバイダーになることはできませんし、するべきではありません。しかし、役立つ情報を提供することはできます。
どのように提供できるのか?クライアントと話し合い、身近な問題の説明をして、関連記事、特にユーザーデータのプライバシー保護に関する記事リンクを紹介するといいでしょう。そして、問題については弁護士に相談し、積極的に行動するように奨励することが重要です。
セキュリティ
すべてのユーザーは何かしらセキュリティに関して脆弱ですが、ウェブサイトについても同じことが言えます。ウェブは常にセキュリティリスクに満ちているのです。
ハッキングされたサイトはマルウェアに感染する恐れがあり、サイトは安全なものではなくなります。さらには、慎重に作成されたSEO戦略を破壊し、顧客データを漏洩する可能性もあるのです。
多くのクライアントは、セキュリティ問題を処理するのは、私たちウェブデザイナーの仕事だと思っています。確かに、技術的には事実ですが、クライアントもセキュリティ対策における重要な役割を担っています。
デザイナーとしてできることは、クライアントがセキュリティ対策を実装できるようサポートすることです。強力なパスワードを使用し、誰ともパスワードを共有しないなどの助言をする他、電子メール詐欺やインストールしたい第三者のソフトウェアについての安全性を説くことはできます。
このように、助言によってクライアントをサポートすることはできますが、全てをウェブデザイナーが担う訳ではありません。そのため、クライアント自身の責任であるということを理解させるために、時間と労力を費やす必要があります。
道標
ご紹介した上記の問題は、深刻な影響を及ぼす場合もありますが、ウェブデザイナーにとって、畑違いの話かもしれません。
しかし、これらの問題についてクライアントと共に超えていく義務感はあるはずです。さらに大きな問題になる前に、さらに深刻な影響を及ぼす前に、注意喚起をしてクライアントへ道標を示しましょう。
デザイナーがクライアントのウェブサイトのアクセシビリティ問題を修正することと、ウェブサイトが準拠していることを証明することは正しく畑違いで、全くの別問題です。しかし、クライアントと共に問題を超えていくということは、過度の責任を負う危険もあります。
過度の責任を負う危険もありますが、ウェブデザイナーとして出来ることは、道標として、できる範囲と解決の糸口を明確に伝えることです。「特定のトピックに関するアドバイスはできるが、必要に応じて法律の専門家と話すのが最善である」ということをクライアントに知らせることが重要なのです。
コミュニケーション
クライアントは、アクセシビリティやプライバシー保護、セキュリティ対策などの知識を全く持っていないかもしれません。自身の仕事で忙しく、ウェブサイトの問題に対して集中する時間がないクライアントも多くいます。
クライアントの知識の有無にかかわらず、ウェブデザイナーは、クライアントに情報を提供する義務があります。
クライアントとしっかりコミュニケーションをとり、この記事で紹介した問題を回避できるようにサポートしましょう。このコミュニケーションが、さらにデザイナーの収入を生み出す可能性もあります。このようなWIN-WINの関係を築くためにも、コミュニケーションを心がけてみてください。