デフォルト、初期設定とは、その名の通り初期値として設定されている数値や内容のことです。
それほど重要に感じませんが、実は、初期設定(およびそれを設定したプログラマー)はユーザーの意思決定に大変大きな影響力を持っています。
この記事では、より良いユーザーエクスペリエンスの為に、データ入力欄へあらかじめ用意しておくべき情報や、アプリケーションの初期設定について説明します。
フォームの初期値について
長ったらしいフォームほど入力に辟易するものはありません。ユーザーは、入力欄が少ない他のサイトへ逃げてしまうこともあります。適切な初期値を用意しておくことで、ユーザーが入力したり選択したりする手間が省けます。
初期値はターゲットユーザーの大多数に当てはまるものを
事前に分かるのであれば、入力欄へあらかじめ値を用意しておきましょう。しかしその値は、ユーザーの大多数(例えば95%以上)に当てはまるものでなければなりません。ユーザーがインターネット上でフォームを入力するとき、簡単にしか目を通さないので、選択肢の全てを確認してもらうことは期待できません。何かしら値が入っていれば、ユーザーは内容を確認することなく次へ進んでしまいます。
初期設定は賢く使う
ユーザーに文章の打ち込みを求めるのは大変リスキーです。入力間違いが起こりやすい上に、時間がかかります。たとえキーボードを使っていたとしても、です(タッチパネルの場合はさらに手間ですね)。文章の打ち込みは最小限にとどめ、極力ユーザーが入力間違いをしない、賢い初期設定にしましょう。例えば、以下のような初期設定だったら、入力間違いもないし、生産性も上がります。
・ 位置情報を使って、ユーザーの国をあらかじめ選択しておきましょう。
・ 計算はできるだけインターフェース上で完結させるようにしましょう。以下では、ドルの合計金額の他に、クライアントが使用する通貨、ユーロでの合計金額も計算・表示しています。
ユーザーの同意が必要になるような内容に初期値は入力しない
ユーザーの同意が必要になるような内容や質問(例えば、ニュースレター配信の申込みや、利用規約への同意など)には、初期値を用意するべきではありません。
初期値は変更しやすく
よく調査され、的を得た初期値だったとしても、それ以外の選択肢を必要とするユーザーは必ずいます。初期値はユーザーが簡単に変更できるようなつくりにしましょう。
アプリケーションの初期設定
アプリの初期設定は、ユーザーのニーズにピッタリ合ったものになるよう、最大限努力しましょう。
気の利いた初期値
統計的に言うと、アプリの初期設定に変更を加えるユーザーはほとんどいません。変更可能なオプションがあるにも関わらず、です。ジャレッド・スプールの記事Do users change their settings? (ユーザーは設定変更するか?)で、彼は以下のような見解を出しています。
「初期設定に変更を加えるユーザーは5%以下」
別の調査、Analyzing Facebook Settings: User Expectations vs. Reality (Facebookの設定分析:ユーザーが求める設定 対 実設定)では、Facebookユーザーは、プライバシー設定について混乱しており、実際よりも高いプライバシー保護がかけられていると思い込んでいる、と説明しています。つまりこういうことになります。
「初期設定はユーザーの為を思った設定になっている、とユーザーは想定している」
以上の2点を加味すると、アプリは快適で気の利いた初期設定が施されている必要があります。
・ 人々がどのようにその製品を使うかをよく調査しましょう。何を欲しているかをユーザーに尋ねるのではなく、ユーザーが目的を果たすために何を必要としているかを見つけ出し、初期設定をそれに合わせるようにします。
・ 重要な初期値は安全で使いやすい値になるよう設定しましょう。例えば、テキストの自動保存機能などは、初期設定でオンになるようにする、などです。
設定を使って推奨されたアプリ動作を定義することも可能
初期設定を使ってユーザーを行かせたい方向へ誘導することもできます。Slackが良い例になりますが、ユーザーに初期設定の存在を分かりやすく伝え、アップデートを促しています。
まとめ
ユーザーは初期設定を変更しない傾向にあります。初期設定は、ユーザーを導いたり、システム使用状況を改善したり、促すことで回答に影響を与えたり、本当に強力なツールですよ!
※本記事は、The Power of Defaultsを翻訳・再構成したものです。