マキシマリズムとは?
近年のWebトレンドとしてミニマリズムの影響が挙げられることは以前の記事でもお伝えしました。
「ミニマリズム」(minimalizm)は一言で言ってしまえば「引き算」のデザイン手法。余分な要素をそぎ落として、そぎ落として……最終的に残った要素がミニマルな単位となり、時には反復しながらデザインを形成していきます。
一方、その対極である「マキシマリズム」(maximalizm)は真逆のアプロ―チ。要素をすべて網羅するかのように過剰なほど「足し算」していくデザイン手法です。
どちらのデザインも根源にあるものは同じですが、ミニマルなデザインが全盛となった現在、次に来るのはその反動も加わり「マキシマリズム」的なアプローチかもしれませんね。
そこで今回は「マキシマリズム」をデザインに取り入れるための10のポイントをご紹介します。ぜひテンションMAXでお読みください!
マキシマリズムデザインの10のポイント
【1】派手な色遣いを無作法に!
「いたずら書きのプロ」こと Hattie Stewart
マキシマリズムにおいて、色の組みあわせを恐れてはいけません。実際に無作法であればあるほどよりよい作品に仕上がります。大胆で明るくてど派手な色と実験精神をパレットに混ぜ合わせましょう!
赤、ピンク、オレンジはマキシマリストである証となります。
【2】パターンとモチーフで大胆さと混沌を!
フランスのデザインスタジオAtelier Bingo
マキシマリストのデザインとなれば、モチーフやパターンも色と同じように大胆で混沌としたものになるかもしれません。しかしながら、カラーパレットで色を衝突させることとと同じくらい、調和やデザインとしての成立を意図しているものです。
【3】美的なエフェクトを反復!
特にマキシマリズムに美的なエフェクトを付加したいとき、反復を用いるにこしたことはありません。上の画像は、ビビッドな色に装飾された顔のパーツを描いたワイン瓶のラベルです。「衝突」と「反復」――これがマキシマリズムのやり方です。
【4】錯視でメッセージをじっくり伝える!
錯視は現実のものの見え方とは異なる事物への視点を与えてくれます。錯視がマキマリズムのデザインで使用されると、目を惑わせその像がなんであるかを脳が理解するまでに時間がかかるようになります。
その結果、デザインを見た人はそのメッセージをじっくり読み取ろうとするようになりますね。
【5】余白を残さず画面全体でデザインを!
現代的なミニマリズムのデザインにおいて、空白部分を作ることは鉄則となっています。しかしマキシマリズムでは、余白もなく画面いっぱいを埋め尽くすアプローチもとられます。
ただ覚えておいていただきたいのは、ページいっぱいに描くことがその目的ではありません。むしろマキシマリズムは画面全体もデザインの一部なのです。
【6】レイヤー化で深みと退廃性を出す!
階層化されたデザインは、密集した見た目とマキシマリズムのフィーリングを感じさせてくれます。デザインに深みを持たせるだけでなく、退廃的なイメージも出せます。
マキシマリズムにおいて、濃密さや過剰さは重要なポイントなのです。
【7】コラージュで新しい意味やメッセージを!
コラージュはあるグラフィックに違うイメージを混ぜ合わせることで、新しいイメージや、意味やメッセージを生み出します。
上画像はあるジュエリーブランドに作られたコラージュですが、ブラジルのファベール(スラム街)の家が積み重なったような雑多なイメージにインスパイアされているそうです。でもブラジルのビーチカルチャーを思わせるようなトロピカルなデザインになっていますね。
【8】色やパターンで幻想性を与える!
マキマリズムは、その過剰さが特徴なのと同じくらい幻想的であることも特徴です。こうした幻想性は、ビビッドな色、目を惹くパターン、退廃的な想像力、濃厚なデザインによって醸し出されます。
【9】ポストモダンで伝統的なデザイン慣習を無視!
ポストモダンのデザインは近代デザインやその厳格なルールに反発して誕生しました。そのためマキマリズムと同様に、デザイン上の伝統的な慣習はすべて無視されます。
上図のように、名作を盗用したりハイカルチャーとポップカルチャーが同居しているようなアプローチもポストモダンのやり方なのです。
【10】マキシマリズムとは「体系だったカオス」
マキシマリズムのデザインを言い表す言葉として「体系だったカオス」があてられます。色、パターン、反復、想像力、コラージュは、見る者の視線を惹きつけ、感覚に訴えながら、メッセージを伝達します。
いかがだったでしょうか?
実務的なところだと、こうしたインパクト満載なマキシマリズムのデザインは広告表現ととても相性がよさそうですね。(作業工程のことを考えると、少々頭が痛くなりそうですが……
しかしこうしたマキシマリストたちのクリエイティブを見ていると、大胆で豪快な気持ちになってきます。制作者のテンションや熱量はそのまま受け手に伝わるもの。
ぜひご参考ください!
(※この記事は「Big and Bold: 10 Ways to Create Amazing Maximalist Design」を翻訳・編集したものです。また2017年5月17日に加筆・修正を行っています。)