製品開発やUXデザインにおいて、ユーザージャーニーとユーザーフローという用語がよく聞かれます。この2つには共通部分もありますが、違いを知らずに使ってしまうと思わぬ誤解を招きかねません。
この記事では、ユーザージャーニーとユーザーフローの共通点と相違点を紹介します。
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1.用語の定義
まずは用語の定義について確認しましょう。
ユーザージャーニーはカスタマージャーニーとも呼ばれ、ユーザが製品に触れる際のシナリオを4〜12程度のステップで表現したものです。主に、現在と将来において実現可能な製品の使い方が描かれます。
対してユーザーフローは、製品に組み込まれた、ユーザの目的達成のプロセスを描いたものです。ユーザが製品を使う際に、どういったルートをたどるのかを想定しています。
定義だけ見ても、まだピンとこないでしょう。ここからは、具体的に2つを比較しましょう。
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2.共通している点
・デザインの軸
どちらも、ユーザの要求をキーポイントとし、彼らが製品でどんなことを達成したいのか検討します。
・ゴール
ゴールはUXを向上させることです。得られたデータから、デザイナーは製品をより洗練させます。
・必要なデータ
どちらもペルソナが決定した後に作られます。これは、ユーザの目的、モチベーション、ペインポイントが必要になるためです。
・要求されること
制作の際には、いくつかの点を考慮します。ユーザの目的は何なのか、次の段階に進んでもらうのに必要な情報は何か、ユーザが疑問を持ちそうな点は何か、ユーザの障害になるものはないか、などです。
ここまで読んでも、きっと、この2つが全く同じような印象を受けるでしょう。しかし大切なのはここからです。いよいよ違いについて解説します。
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3.異なっている点
・最大の違い:全景か一部か
ユーザージャーニーは全体のUXデザインに焦点を当てています。ユーザがどのようにアプリを見つけ、使い始め、目標を達成するかまでを問題にしています。一方ユーザーフローは製品使用のプロセスを取り上げ、製品を使い始めてから目標を達成するまでのプロセスを考えます。
・状態とルート
ユーザージャーニーのポイントは、ユーザが目標を達成するためにどんな状態を望むのか、という点にあります。ユーザーフローは、目標を達成するためにどんなルートが考えられるかを考えます。
・ガイドと機能
ユーザージャーニーは、製品に触れたユーザが取る可能性のある手段を分析し、目標達成に向けてユーザをどう導くかを考えます。重要なのは全体のプロセスです。
ユーザーフローでは、ゴールへの道筋をデザインします。製品における目標達成へのルートを複数検討します。たとえばECサイトでは、欲しいものを検索してすぐ購入するユーザーもいれば、購入前にレビューを読むユーザもいます。このように、同じ目標に到達するルートが複数発生するのです。
いかがでしたか?紛らわしい2つの用語も、基本的な思想には大きな違いがあります。用語の意味と働きをしっかり理解し、プロジェクトを円滑に進めましょう。
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※本記事はUser Journey Vs User Flow — Differences & Similaritiesを翻訳・再構成したものです。