・レオナルドダヴィンチは、間欠的外斜視と呼ばれる眼の障害を持っていたと言われています。
・斜視は不規則に発生し、コントロールができます。
・これにより、レオナルドは平面のキャンバスに立体を表現するという特殊な能力があったとされています。
レンブラント、エドガードガ、グエルチーノ、パブロピカソなどの有名な芸術家の多くは、自画像や絵画作品から特定の眼の障害を持っているといわれています。
近年、ロンドン市立大学の神経科学者であるクリストファーW.タイラーがレオナルドダヴィンチの作品を分析し、片方あるいは両眼がわずかに外側を向く外斜視と呼ばれる目の障害と一致する瞳のずれに気がつきました。それがレオナルドダヴィンチに芸術面で優れたものをもたらしたのです。
外斜視は斜視の一種で、物体に焦点を合わせたときに目が適切に揃いません。米国だけでも毎年300万件以上の斜視が報告されています。通常、特殊な眼鏡や眼帯で治療できますが、最悪の場合、手術が必要になります。
主要作品と眼位測定
タイラーは、2枚の描画、2枚の油絵、2体の彫刻を含む、レオナルドの6つの自画像、肖像画を調べました。瞳孔は、まぶた部分からの位置を測ります。
・ウィトルウィウス的人体図で5.9°
・老年の自画像で8.3°
・洗礼者ヨハネで−9.1°
・若き戦士で-12.5°
・サルバトーレムンディで−8.6°
・ダビデで-13.2°
眼位の差異は、検眼医が眼鏡を調整するときに使用するのと同じ手法で計算されました。マイナスは発散を示し、全ての作品 (ウィトルウィウス的人体図を除く)は外斜視の値を示しています。
これらの値は、レオナルドが間欠性外斜視を持っていた可能性を意味します。斜視は不規則に発生し、コントロールができます。つまり、注意して集中していれば、目を調整して3次元で見ることができます。
著者によると、レオナルドが自分の外斜視をコントロールできていたとしたら、大きな芸術的恩恵になっていたことになります。たとえは平坦な(2次元)キャンバスに3次元空間を表現することができるからです。
これは通常、世界を3次元で見ている普通の人にとっては非常に困難なことなのです。
通常3次元視点で見るには、両眼を同じ物体に焦点を合わせる必要があります。よって多くの芸術家は、対象物を表現するときは片目を閉じて、複雑なものを2次元に簡潔に見るようにして、平面に描画します。
レオナルドが3次元から2次元に、またその反対へと簡単に切り替えるのに間欠的外斜視が役立ちました。現実世界で3次元物体と顔を描写する彼の並外れた能力と、遠距離の山岳地帯の深い窪み表現に活きているのです。