新しいクライアントとの会議で、私たちはこれからのプロジェクトについて話し合っていました。クライアントはペルソナについて熱心に議論し、もっとユーザーを知ろうとしていました。多くの資料を読み、初期段階の調査はすでに済ませていました。素晴らしいことです。しかし私が、製品にどうペルソナを組み込むのかたずねると、会議室は沈黙に包まれてしまいました。
これは実はよくある問題なのです。私はウェブ中心に仕事をしていますが、ペルソナが全く役に立たないことがしばしばあります。その理由が完全にわかったわけではありませんが、今回はこれまでに発見したことをシェアしたいと思います。
混乱の発生
ペルソナには大きく分けて2種類あります。
- 1.デザインもしくはユーザーのペルソナ:目標や現在の振る舞い、スキル、属性、弱点、環境に焦点を当てたもの。特定のデザイン問題に関連した詳細が扱われ、一般化されていない。
- 2.マーケティングもしくはブランドのペルソナ:ブランドや製品を使ってくれるかもしれないユーザーに焦点を当てたもの。より一般的で、マーケティングや販売の見込みに関連して使われる。
実は多くの組織において、デザインの決定を下すのにペルソナは必要ないのです。その理由として、ほとんどの問題はそれほど複雑ではないことがあげられます。決定の基準が、時間とリソースをどこに費すか、ということも多いのです。特に小規模な組織では、ユーザビリティテストやアクセシビリティの確認に時間を使った方が効果が高いこともあります。
ペルソナの作成にコストがかかることも問題です。これに気付いたチームは、ペルソナの空白部分を埋めようと想像で物事を考えてしまいます。これではペルソナに何の意味もありません。
ロールアウトの問題
たとえチームが完璧なペルソナを作ったとしても、デザインのニーズはもっと複雑で、乗り越えるハードルが多いのです。特にコミュニケーションとロールアウトの問題は重要です。出資者のいるチームはペルソナやユーザー重視デザインの重要性を知っていますが、解決するのが難しい問題であり、テクノロジーを専門としない企業にはさらにハードルが上がります。これはつまり、熱意のある伝道者がペルソナを全員に「売り込まなければならない」のです。
大規模でセクシーな製品には問題にならないでしょうが、そうではない普通の製品はそれほど複雑でない現在のデザインを変えなければなりません。こうした作業に必要な時間と労力は割に合いません。
まとめ
ユーザーペルソナは、それほど複雑な問題を抱えているのではないチームには役に立たないことがあります。これからも似た事例に遭遇すると思い、ぜひこうしてみなさんに知らせておきたかったのです。ペルソナを作る価値が本当にあるのか、もう一度考えてみてください。
※本記事はWhen User Personas Just Don’t Matterを翻訳・再構成したものです。