諸々の事情でWindowsやMacベースのOSに飽きており、質を落とさずに新しいOSに変えたい…と思ってはいませんか?それならば、いい選択肢がありますよ。Linuxです。
多くの開発者が自分のプロジェクトでLinuxを使い始め、さまざまなディストロ(ディストリビューションのこと)が生み出された1980年代初頭に、Linuxは大きな注目を浴びるようになりました。その後すぐにLinuxはUnix系OSの中心的存在となったのです。
現在では、すぐにインストールできるLinuxのディストロは数百種類に上ります。それぞれのディストロはそれぞれに応じた長所と短所があるため、自分のニーズに合わせて慎重に選ぶ必要があります。Linux界の新参者にとって自分に合った最適なディストロを選ぶことは難易度が高いでしょうが、心配する必要はありません。私たちがお助けします。
Linuxベースのディストロの中でおすすめのものを選び、それぞれの長所、使うべき理由、逆に使わない方がいい理由をまとめました。もちろん、経験豊富なLinuxユーザー向けの選択肢も用意しています。
Peppermint OS
長所:小綺麗でユーザーフレンドリーなインターフェース
短所:アップデートの頻度が少ない
Peppermint OSはLubuntuベースのLinuxディストロで、ロングタームサポート(LTS)コードベースで作られています。このOSは、ローカルとクラウド両方のアプリケーションを統合したハイブリッドなデスクトップを創り出したという点において、唯一無二の存在となっています。
このOSのもつ便利なクラウド&ウェブアプリケーション管理ツール「Ice」はウェブアプリケーションをシステムメニューへシームレスに統合することで、ウェブアプリをローカルにインストールされたアプリケーションと同等に扱えるようにしてくれます。
Peppermint OSはFirefox, Dropbox, Nemo, VLC, Google Drive, 2D/3D Chess, Solitaireなどたくさんのネイティブアプリやクラウドソフトがインストールされています。また、他のLinuxディストロと同様にSkype, LibreOffice, GIMPなどのパッケージをインストールすることもできます。UbuntuベースのOSなので、Ubuntuがサポートするものは全てサポートしているのです。
Deepin
長所:スタイリッシュで使いやすい
短所:パフォーマンスが悪く、遅い
DeepinはPC上でもネットワークサーバー上でも手軽に使える、LinuxベースのスタイリッシュなOSです。DDE(Deepin Desktop Environment)として知られる独自のデスクトップ環境を備えています。また、Debianを土台としており、Debianのもつ全てのパッケージも備えています。
DistroWatchによると、このOSは2017年に中国で最も人気のあるLinuxベースのディストロでした。しかし、Deepinはその低迷ぶりも有名です。リソース使用量の問題以外にも、システムがアイドル状態のときでさえ他のLinuxディストロに比べてデフォルトリポジトリからパッケージをダウンロードするのに時間がかかるという問題を抱えており、イライラさせられることがあります。
CentOS
長所:安定性
短所:日常のデスクトップでの使用には不向き
CentOSはコミュニティ主導のLinuxディストロで、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) との互換性が高く、基本的には企業向けの標準的ディストロの無料版となっています。技術的にはPCでCentOSを使うことができますが、あまりオススメされていません。サポートサイクルは10年となっており、安定性に重点を置いています。
もし家庭用サーバーのOSを探しているならば、CentOSはピッタリな選択肢です。2014年にバージョン7.0がリリースされてから、CentOSは公式にx86-64命令セットアーキテクチャしかサポートしなくなりました。しかし、古いバージョンならx86命令セットの32bitバージョンをサポートしています。
Gentoo Linux
長所:高速で適応度が高い
おすすめユーザー:やや上級者
Gentoo Linuxは、機能が豊富で高度なカスタマイズが可能なLinuxディストロで、自分のコンピューター上のアプリ全てを完全にコントロールしたい人向けとなっています。もちろん簡単ではありませんが、必要に応じてシステムをカスタマイズできます。重要なシステムのツールについて十分な知識があれば、Gentooシステムを微調整して使うことができるでしょう。
まず、システムのメモリ使用量を削減することができます。また、他の多くのディストロと異なり、必要のないカーネルサービスや機能をいくらでも消すことも可能です。加えて、Gentooディストロとパッケージの高度な管理システムであるPortageを通じて、大量のアプリケーションを自由にインストールすることまでできます。
Elementary OS
長所:スマートなデザイン、適切なデスクトップ環境
おすすめユーザー:初心者
スマートで魅力的なLinuxディストロを探しているのなら、Elementary OSを試してみるといいでしょう。UbuntuベースのOSであり、GNOMEソフトを土台として作成されたPantheonデスクトップ環境を売りにしています。このOSの現在のインターフェースや今後のアップデートは全て、Human Design Guidelinesとして知られる設計思想に従っています。
特にこのOSのシンプルなデザインは、多くのユーザーから賞賛されています。しかし、UXとUIどちらの点でもmacOSに似ていると批判も多くされています。OSの新バージョンであるLoki (0.4) は好評で、前身であるFreya (0.3) と比べて大きく改良されています。
また、この新バージョンで始めてのオリジナルのアプリケーションインストーラー、AppCencerが備わりました。
openSUSE
長所:高度なカスタマイズ性
おすすめユーザー:システム管理者や開発者
openSUSEは非常に人気のあるLinuxベースのプロジェクト及びOSで、世界中のシステム管理者や開発者に広く使われています。セキュリティプロトコルの追加レイヤーを備えているため、開発者は攻撃される心配をせずに仕事をすることができます。
このOSには2種類のリリースモデルがあります。最新のシステムが必要な人向けのローリングリリースモデルのopenSUSE Tumbleweedと、安定性が高く商用利用に最適なopenSUSE Leapです。
TumbleweedはopenSUSEの原則的なコードベースである「Factory」がサポートしているため、パッケージやさまざまなアップデートがテスト後すぐにダウンロード可能になります。非商用利用や家庭での利用においては最適なモデルです。
openSUSEにはYaST (Yet another Setup Tool) と呼ばれる独自の管理プログラムが搭載されています。YaSTはファイヤーウォールの設定やRPMパッケージの管理、ディスクパーティションなど重要な機能を担っています。
Kali Linux
長所:軽くて速い
短所:ユーザーフレンドリーでない
おすすめユーザー:倫理的なハッカー、ペネトレーションテスト
セキュリティに特化したどのディストロも、Kali Linuxにはかないません。Debianから派生したKali Linuxは、システム管理者や開発者がシステムのセキュリティを評価する、つまりペネトレーションテストを行うのに丁度よい環境を提供してくれます。
KaliはDHCPigやBBQSQlなど、ストレステストや脆弱性診断に役立つツールを数多く備えています。重要なデジタルフォレンジックツールであるBinwalkやVolatilityなども含まれています。他に含まれているツールを知りたい場合はツールリストが役に立つでしょう。
Tails
長所:セキュリティの高さ
おすすめユーザー:プライバシーを重視するユーザー
Tailsは、どのような状況でもユーザーのプライバシーと匿名性を維持する能力で知られています。Tailsがあれば、検閲の心配をせずに自由にネットサーフィンをすることができます。このOSはLive USBまたはLive DVDを用いてしか起動できないため、システムにデジタルフットプリントが残りません。
インターネットトラフィックはすべて、データの匿名性を確保してくれる特殊なプログラムであるTorネットワークを通過するようになっています。また、Tailsはファイルやeメールを守るため、高度な暗号化ツールも備えています。
その効果は絶大で、多くの海外ニュースサイトでは、長年にわたる秘密のデータ収集に対してこのシステムがどれほどの脅威をもたらすかというNSAの内部報告書が掲載されています。
Lubuntu
長所:軽量
短所:ユーザーフレンドリーでない
おすすめユーザー:古いシステムのユーザー
LubuntuはUbuntuの最も能率的なディストロかもしれず、古いシステムやネットブックのユーザーには最適なディストロとなるでしょう。現在、このOSは、能率性、低RAM使用量、そして高速に特化して設計された最小かつ軽量のアプリケーションを備えたLDXEデスクトップ環境を使用しています。
Debian
長所:安定性、速さ、安全性
おすすめユーザー:あらゆるユーザー
DebianはUnix系OSの中で最も古いもののひとつで、現在人気のある多くのディストロがこのOSをベースに作られています。Debianがあれば、5万以上のソフトウェアパッケージを入手することができます。通常、ソフトウェアは無料でオープンソースですが、多くの有料ツールもリポジトリからダウンロード&インストール可能です。
さらに、デスクトップ環境を自分で選んでインストールすることも自由です。ブートメニューからKDE, XFCE, LXDEを選ぶことができます。また、興味深いこととして、Debianという組織はそのポリシーやマニフェストで知られています。これらの方針はさまざまな方向から、OSの在り方に直接影響を与えています。
Arch Linux
長所:カスタマイズが簡単
短所:初心者向けではない
Arch Linuxは、プログラマーやUnixベースシステムの上級者にとって、金の延べ棒のようなものです。技術的に考えるとこのディストロは誰にでも使用可能なのですが、上級者の特別なニーズに合わせて作られています。
このディストロは、可能な限りシンプルにしようと努める、ある厳しい設計思想に従っています。他の多くのLinuxディストロと異なり、Arch Linuxはシステムのコアオペレーションをマスターするために、かなりの専門知識を必要とします。
しかし、このディストロは軽量で、多様なカスタマイズに必要なツールを提供しています。例えば、インストールやアンインストールするパッケージを自分で決めることができます。プログラマーにはこのくらいの自由度が好まれますが、初心者はそうではないでしょう。システムアップデートには、ローリングリリースモデルを採用しています。
まとめると、Arch Linuxは既にLinuxディストロを使った経験が少しあり、他のものを試してみたいと思っている人にピッタリの選択肢です。
Ubuntu
長所:セキュリティと安定性の高さ
最適なユーザー:初心者
Linuxの世界に触れたことのない多くの人々にとって、UbuntuとはLinuxを意味し、逆にLinuxとはUbuntuを意味することでしょう。このことはUbuntuの人気の高さとも、ただの悪運とも言えます。いずれにせよ、もしあなたが初心者で、シンプルかつ強力なLinuxベースのディストロを探しているのなら、悩まずUbuntuを選びましょう。Ubuntuは3種類の異なる形があります。Ubuntu Desktop, Ubuntu Server, Ubuntu Coreです。
UbuntuはWordの代替アプリであるLibreOffice, 人気のメールクライアントであるThunderbird, Linux用のトレントクライアントであるTransmissionなど、たくさんのデフォルトアプリケーションを備えています。他のソフトウェアパッケージもUbuntu Softwareから簡単に入手することができます。
このディストロは安全で、ファイルの安全性を確実にするため特別なセーフティー機能も実装しています。全体として、Ubuntuは初心者にとって素晴らしいOSです。
Linux Mint
長所:使いやすい、幅広いマルチメディアのサポート
最適なユーザー:初心者
Linux Mintは強力かつ使いやすいディストロで、Linuxの世界に初めて飛び込んだ人にも素晴らしい驚きを与えます。また、このディストロの高い柔軟性とそれほど労力をかけずにプロプライエタリソフトウェアを使えることから、ベテランのLinuxユーザーにも敬愛されています。
Mintでは、デスクトップ環境の選択肢が幅広くあります。デフォルトのCinnamon環境を使い続けることも、KDEやMATE, Xfceなどに移行することもできます。他にもSynapticやAdvanced Package Tool (ACT) を用いてインストールできるデスクトップ環境もいくつかあります。
まとめると、Linux MintはWindowsやMacからオープンソースのOSへの移行を考えている人にとって素晴らしい選択肢です。このディストロはスムーズな移行を可能にするあらゆる要素を持ち合わせています。