・研究者たちは、安全性はそのままにリチウム金属電池の持ちを良くする機械的および化学的に安定したインターフェースを開発しました。
・この超薄界面(10nm)は窒化ホウ素から成り立っています。
私たちは電気自動車から携帯用機器まで、あらゆるものでバッテリーに頼るようになっています。科学者たちはこのエネルギー源をの安全性と安定性はそのままで、持ちも良いものにする方法を模索しています。
現在、ほとんどの機器は、低エネルギー密度と高引火性の液体電解質を含むリチウムイオン電池を使用し動いています。これは電池寿命が短く、安全性の面で大きな懸念が常にあります。
そこで、コロンビア大学の研究者らは、リチウム金属電池の固体電解質を安定化させるため、窒化ホウ素のナノコーティングを統合して、持ちの良い電池を製造する新しい方法を考え出したのです。
固体リチウム電池
電池のグラファイトアノードをリチウム金属に置き換えることにより、エネルギー密度を高めることができます。理論計算上では、それはグラファイトよりもほぼ10倍高い電荷を保持することができますが、交換には安全性の懸念もあります。リチウムめっき中に樹枝状結晶がしばしば形成され、膜セパレータを容易に通過して電池内にショートする可能性が出てきます。
エネルギー密度と安全性の両方を高めるために、研究者たちは固体のセラミック(不燃性)電解質に注目しました。具体的には、将来のエネルギー貯蔵技術で使用される可能性がある充電式の固体リチウム電池を使うことにしたのです。
参照: DOI:10.1016 / j.joule.2019.03.022 |コロンビア大学
この固体セラミック電解質は、優れた機械的強度を持っていますが、大部分はリチウム金属によって腐食してしまいます。したがって、リチウム電池を作るのに使用することはできません。
超薄型インターフェース
この研究において、研究者らはリチウムアノードと固体電解質を分離する機械的また化学的に安定性のある保護層を開発しました。電子イオンを移動させるためには、イオン伝導性と電子絶縁性の界面を構築することが重要になってきます。また、バッテリーのエネルギー密度を低げないよう、インターフェイスはできるだけ薄くする必要があります。
この界面(保護層)を構築するために、チームは、厚さ約10ナノメートルの窒化ホウ素のナノフィルムを使用しましたこれでイオン伝導体とリチウム金属との間の電気的接触を隔離するのです。
安定したイオン経路を提供しながら、窒化ホウ素はリチウムアルミニウムチタニウムホスフェート(LATP)をリチウムから電子的に分離します。(研究者提供)
ナノフィルムは、完全なセパレータとして機能しますが、リチウムイオンは通過させる固有の欠陥をもちます。そして、窒化ホウ素は、化学的気相を堆積させて原子的に薄い連続膜を製造することによって容易に調製することができます。
厚い層(最大200マイクロメートルまでの厚さ)を使用した初期の研究とは異なり、窒化ホウ素フィルムは電池のエネルギー密度を減少させません。研究者らによると、固体電解質とリチウム金属の間の隔離バリアとして、そして長持ちするリチウム金属電池を製造するために働くための優れた材料だということです。
研究チームは現在、インターフェースをさらに最適化し、その技術を不安定な固体電解質に拡張する方法を研究しています。目標は、長く持ち性能の高い固体電池を作ることです。